2009年07月07日

生涯発達のダイナミクス

今日は、発達心理学の研究者で
大学教授の鈴木忠氏による
「生涯発達のダイナミクス」です。


この本は、実践的知識について調べていて、
キーワードがヒットし、興味を持ったので
購入しました。


研究者の本のわりには読みやすく、
知能という一見とらえようのないものですが、
見事に定量化されており、説得力があります。


論旨は本を読んでもらうとして、
人間は年をとると知能が低下するといいますが、
実際は70代、80代などかなり高齢になるまで
脳の機能はそう衰えるものではないのです。

年を理由に、新しいチャレンジをあきらめては
いけないな、と感じました。





後の世代ほどIQが高い(フリン効果)
例えば1952年と1982年のIQを調べてみると
明らかに後の世代の方がIQが高くなって
いることがわかっています。
(この場合は15ほと上昇した)

理由は、教育が行き届いたとか、
コンピュータなど、日々の生活で頭を使うものが
増えたなど諸説ありますが

気をつけないといけないのは、
世代間のIQを比較するとき、若い世代のほうが
ベースのIQが高くなるということです。

高齢になるとIQが低下するという論理は
同じ世代の若い時と、年をとった時の比較
で議論しないといけません。


知能の種類
本書によると、知能は分析知能、創造的知能、実践的知能
の3種に分けられるということです。

例えば、日本史の問題でいうと、

分析知能は、
「ペリー来航から明治維新までの主要なできごとを
 関連づけてまとめなさい」

創造的知能は、
「もしもペリーが来なかったら日本の歴史は
 どう変わっていたと思うか」

実践的知能は
「幕末から明治にかけての外交の歴史は、
 現在のアメリカやアジア諸国との外交に
 どんな教訓や示唆を与えるか」

以上のような問題に的確に答える能力とのことです。

大事なのは、この3つの知能の
相互の相関は、極めて弱い、ということです。

教科書的な、分析的知能が優れているからといって
他の知能も優れているとはいえません。









engineer_takafumi at 06:42│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ 勉強・教育・心理

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