2008年11月18日

水はなんにも知らないよ

今日は左巻健男氏による
水はなんにも知らないよ
です。


本書は知り合いの編集者の方が担当された、
科学系の本ということで興味を持ち購入しました。

江本勝さんの「水は答えを知っている」に代表される
水が言葉を理解するというニセ科学に対して
待ったをかける一冊です。

江本さんの論理のほころびを突くことはもちろん、
浄水器など水にまつわる科学やニセ科学を科学的に解説し、
水に関しての理解が広がりました。
日本の水道水は、世界的に見てとても質が高いんですね。


でも、科学的・論理的にはこちらの方が正しいのでしょうが、
江本さんの本のように人の感情にせまってくるものがありません。

これでは、多くの人が江本さんの主張を支持しても
無理はないでしょう。論理の力よりことばの力ですから。

科学者の側としても、論理的に正しいだけでなく、
どう伝えれば人の心を打てるのか、
ということを考えるようにしないといけませんね。


ニセ科学を信じさせる教育を進めれば、
まともな理科教育の基盤はさらに崩壊していきます。
わが国に大人の科学リテラシーは今でも非常に弱いことが
問題になっています。それがもっと弱くなります。


科学とは無関係でも、論理などは無茶苦茶でも、
科学っぽい雰囲気をつくることができれば、
ニセ科学をホイホイと信じてくれる人たちがいるのです。


ニセ科学に共通するキーワードは
「波動」「共鳴」「クラスター」「マイナスイオン」
「エネルギー」「活性」
などです。


"愚民教育"はこの20年余続いてきた「ゆとり」教育の
隠された目標でもありました。


もし水道水に残留塩素がなければ
病原菌に汚染されている可能性があります。
残留塩素はあって当然なのです。


おいしい水の第一の条件は「冷たいこと」



プラシーボ効果
薬理作用のないもので病気が良くなったり
悪くなったりするなど、薬理作用に基づかない効果のこと。

「よくなった」という体験談がいくらあっても、
それは商品そのものの効用ではなく、「これは…によく効くよ」
ということばの暗示が効果をもたらした可能性がある。






engineer_takafumi at 22:58│Comments(0) ★理系本の書評 | ⇒ 一般・その他の科学

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