2009年09月26日

最新ケータイを支える技術

本日は西田宗千佳氏の
最新ケータイを支える技術
です。


本書は担当の編集者の方と知り合いで、
紹介のメールを頂いて、興味を持って買いました。


僕は半導体の仕事をしていて、携帯電話の開発は
ある程度身近に考えられる立場です。

しかし、この本を読んでみると、自分の視野の狭さに
気づかされました。

やはり、一つのセットを作り上げる苦労、
しかもコンシューマー向けの商品を作ることは
様々な配慮が必要だと実感しました。


この本からの一番の収穫は、日本の携帯メーカーの
技術的な課題点が見えたこと。

世界的に日本メーカーの存在感がなくなる中、
経営アナリストのような人間が好き勝手言っていますが、
技術的な観点から見た問題点は別にあるのです。

その問題点をiPhoneと比較して述べた部分は
特に読み応えがありました。



携帯電話というと「動き続けている機械」という
イメージがあるかもしれませんが、
中身を見ると、動作はかなり「止めて」います。


iPhoneのように新しい操作性は、
皆さん採り入れていきたいと考えています。
ですが、日本の携帯電話には、それが非常に難しいものがあります。
(携帯電話内の)ほぼすべてのアプリケーションを
入れ替える必要が出てくるからです。
それをできるだけの予算を許すほど、
日本の携帯電話の市場は大きくありません。


日本の携帯電話メーカーからは、
「日本語で日本のエンジニアに質問ができる」
ということが非常に重要と言われます。


iPhoneの場合はそうではない。
800×480ドットのディスプレイの半分以下の
解像度であるのにも関わらず、
文字表示は日本の携帯電話より自然で美しい。


今の携帯は、1984年のパソコンの立場に似ている。
現在、携帯電話で使われている技術は十数年前のもの。
動作も遅く、日本語などへの対応も不完全。
開発効率も悪く、企業側の負担も大きい。
まったく新しいOSをつかえば、これらの問題は解決できる。


パソコンはソフトの不具合などにより、
ある程度「動作が止まる」ことを許容する作りになっている。
(中略)
他方、家電や携帯電話は少し事情が異なる。
パソコンに比べはるかに均質なハードウェア・ソフトウェア資産上で
動作するため、パソコンよりも安定した動作が見込める。
(中略)
石橋を叩いて渡るような苦労が行われているのが、
日本の携帯電話なのである。







engineer_takafumi at 22:31│Comments(0) ★理系本の書評 | ⇒ 電子・電気

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