2009年11月08日

寿命はどこまで延ばせるか?

本日は池田清彦氏の
寿命はどこまで延ばせるか?
です。
寿命はどこまで延ばせるか? (PHPサイエンス・ワールド新書)

本書はPHPにてサイエンスの新シリーズが創刊されて、
創刊同時刊行ということで興味をもちましたので購入しました。


科学的な内容は高度で難しく、読みやすい本ではありませんが、
それを差し引いても「寿命」って何だという、
問題提起ができるということで興味深い本でした。

例えば、生物の起源は何か?、生物にとっての寿命とは何か?
人の寿命は何で決まるのか?、人の寿命は延ばせるのか?
ついには、人の寿命を延ばすことは本当に善なのか?
というような、科学を超えた哲学的な問いにさえ
議論が及びます。


読んでいるうちに、専門用語がたくさん出てきて、
わからなくなるので、巻末に用語辞典でもあれば
多少は読みやすくなるのにな、と思いました。

でも、専門的な議論以外の部分を飛ばし読みしても
「寿命」の本質に触れられるので、有意義な一冊です。



がん細胞は何の治療もしなければ、無限に分裂を続け、
やがて正常な細胞の機能を奪って、個体を死に至らしめる。
なぜ、そうなるかというと、がん細胞の系列には寿命がないからである。
(中略)
がんで死にそうになったら、医者に頼んでがん細胞を培養してもらえば
少なくとも細胞レベルでは不死身になれる。


人間の体を形作っている組織の中で
最も物質の入れ替わり速度が遅いのは骨であるが、
それでも7年間で物質はほぼ全部入れ替わると言われているので、
十年前の私と今の私は異なる人である。


生命の起源が遺伝系、すなわち自己複製からはじまったと考えると、
自己複製の機能しかもたないウイルスこそが
生命の原始形態のように感じられても不思議はないが、
生命が代謝系からはじまったのであるならば、
ウイルスは進化の途中で生じたパラサイトであるとの考え方のほうが
真実に近いように思われる。


有性生殖は親の遺伝的組成とは異なる
多種多様な子を作ることができる。
それに対し、無性生殖はただ細胞が分裂するだけなので
親と同じ遺伝的組成の子ができるだけだ。
すなわちクローンである。


傷ついたほうの染色体は対号の際に、
傷ついていない相方の染色体を参照して、
自身のDNAを修復するのである。
これが減数分裂の一番大きな役割なのである。


細胞や個体の寿命の有限性という性質を高等動物から抜いてしまえば、
高等動物のシステムは崩壊してしまうだろうということである。


フランスのジャンヌ・カルマンさんの
122歳を超えて長生きした人はいないのだから、
ヒトの最大寿命はせいぜい120歳くらいなのであろう。
日本では百歳以上の長寿者の数は1980年に約1000人だったものが
2007年には32000人を超えたが、最長寿の年齢は伸びない。
これは最大寿命が確率の問題ではないことを示している。


カロリー制限がラットの寿命を多少なりとも延ばすことは
ずっと以前から知られていた






engineer_takafumi at 23:56│Comments(0)TrackBack(0)★理系本の書評 | ⇒ 医学・人体

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