2009年11月28日

動物たちの反乱

本日は河合雅雄氏、林良博氏ら編の
動物たちの反乱
です。


当面PHPサイエンス・ワールドは全てチェックしようと思い、
本書を購入しました。

この本は野生動物による獣害
(つまり農作物が被害を受けること)
を中心に、人と動物のあり方を論じたものです。

都市部に住んでいると野生動物に出くわす機会など
そうあるものではありませんが、
山間部などを中心に被害を受けている人たちは、
確実に存在しており、
人ごとですますわけにはいきません。


野生動物の生態などに始まり、
日本人と動物の付き合い方の特殊性などまで
説かれていて、興味深い一冊でした。





農作物を採食することが多くなると、
野生の食物だけを食べているときに比べ
栄養状態がよくなるため、出生率が上昇したり、
新生児死亡率が低下したりする。


ところで、そもそもなぜ樹木は豊凶を起こすのだろうか?
(中略)
凶作年をつくることで動物の数を抑え、
豊作年をつくることで、食べ残される種子を生み出すのだ、
という理屈である。


多くの人々が科学の成果を正しく理解する時間的余裕がないこと、
また科学者たちはえてして無言であることにつけこんで、
一部の過激な活動家たちが自分たちの主張が
科学的・論理的に正しいという印象を国民に与える。


捕鯨に強いアレルギーを示す欧米のキリスト教教徒が
牛肉や豚肉を喜んで食べることができるのは、
多くの日本人からみると不思議ではあるが、
神が食用に与えた動物たちの肉であるという信仰によって
心の葛藤は生じないようである。






engineer_takafumi at 23:59│Comments(0) ★理系本の書評 | ⇒ 生物・化学

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