2010年02月06日

時間はなぜ取り戻せないのか

本日は橋元淳一郎氏の
時間はなぜ取り戻せないのか
です。
時間はなぜ取り戻せないのか (PHPサイエンス・ワールド新書)

当面PHPサイエンス・ワールドは全てチェックしようと思い、
本書を購入しました。


時間の流れというものは、
生活の中でごく身近な現象なのですが、
実は物理的にみると結構難しいものなのですね。

光の速度に近くなると時間の流れが遅くなるとか、
ものの長さが短くなるとか、
我々の常識では理解できないような現象が起きます。

時間というものは、我々が考えるように
絶対的なものでなく、遅い世界もあれば早い世界もある、
という相対的なものなのです。


この本では、結局人間にとって時間とは何なのか。
科学的、時には哲学的に問題の核心に迫ります。

内容は決して簡単ではありませんが、
それでも相対論の本としては
相当やさしい本だと思います。

わかりやすいのは、数学的、物理的表現だけでなく、
人間の主観や生命についての
考察があるからでしょうか。

時間の流れに興味がある人、
哲学的な科学に興味がある人
などには、特におすすめの一冊です。



物理学は、主観という曖昧なものは排除し、
客観的事実だけを明らかにしようとする。
(中略)
けっきょくのところ、物理学が真理であると判定する基準は、
ほとんどの物理学者(すなわち主観の集合)が、
同じ結論を得るかどうかということでしかない。


「私」の体を分解し、原子まで行き着けば、
そこにあるのは原子だけであり、
その単独の原子を支配するのは物理法則だけである。


コンピュータが物理法則だけから成立しているのに対して、
「私」は物理法則プラスアルファの何かによって
成立しているのである。


もし物体が光と同じ秒速30万キロメートルで動くと、
ありそうにないことが起こる。
つまりそのような物体に乗った人から見た空間は、
完全にぺしゃんこであり、宇宙の果てまでの距離が0となる。
また、時間もまったく止まってしまう。


空間と時間の違いは、数学的にいえば虚数と実数の違いである。
それ以上に空間と時間を区別するものはない。


虚数の長さというものを不思議に感じるのは、
我々が虚数になれていないからである。


ミンコフスキー時空を時間の流れとして捉えるかぎり、
過去から未来へと進む素粒子に対して、同じ素粒子でありながら
未来から過去へと進む素粒子も現に存在するということである。


過去がどんどん非因果領域の縁から現れてくるのに呼応して、
未来はどんどん非因果領域の縁へと吸い込まれるように隠れていく!
それゆえ、ベクトルとしても「私」は
未来からの光を決して見ることができない。






engineer_takafumi at 19:39│Comments(0)TrackBack(0)★理系本の書評 | ⇒ 物理・科学哲学

トラックバックURL

コメントする

名前
URL
 
  絵文字