2010年03月17日

未来思考

本日は神永正博氏の
未来思考
です。


本書は著者の前著不透明な時代を見抜く統計思考力
とても良かったので購入しました。

例えば、「日本の借金は増え続けて近い未来に破産する。」
「経済的な格差がどんどん広がっている」
「関東では近い未来に大地震が起きる」
など、世間でよく言われている事です。

普段、疑いもなく聞いていますし、
少なくとも、ある一面から見れば真実なのでしょう。

しかし、本当にデータを見て論理的に考えると、
こんな通説は本当に本当なのですか?
ということがこの本の大きなテーマです。

世間で示されているデータは、
巧妙にねじまげられたものも多いです。

本当にフラットな目でデータを見るとどうなるか?
そんな世界がこの本には広がっています。


統計思考なので、物事を断定することはしません。
この点で欲求不満を感じる方もいるかもしれませんが、
真実はマスコミなどが騒ぎ立てるように、
白黒はっきりさせられるものではないと思います。

この本に書かれている世界の方が、
確実に世の中の真の姿に近いと確信します。

真実に少しでも近づきたい。
そのための考え方を学びたい。
と考えている人は必読の一冊だと思います。



子どもの死という悲劇がほとんどなくなったのは
素晴らしいことでしたが、その結果として、
少子化が進んでしまったのです。
これは、世界中の多くの地域で起きている現象です。


日本のおける母子家庭の相対的貧困率は、
OECD諸国の中でもかなり高く、
トルコに次いで2位というありさまです。


子どもに注目してみた統計によれば、驚くべきことに、
所得そのものでみた貧困率よりも、
社会保障制度や各種控除などを含めた
再分配後の所得の貧困率の方が「高く」なります。
社会保障制度や税制度によって、
日本の子どもの貧困率は悪化しているのです。


「子どもの数を増やすことで、社会の状態がよくなる」
わけではありません。
「社会の状態がよいから、子どもを安心して産める」のです。


その県の中核都市に人口が集中し、
その他の地域はどんどん過疎化していくという傾向は、
その他の地方でも同様です。


「大都市では人口増加率が下がっているのに、
その他の地域では人口減少率が上がる」
ということが起こっても、まったく不思議ではないのです。


これからの人の動きを考えると、
不便な場所に住んでいる人を中核都市に集めることは
避けられないような気がします。


意外なことに、
「最低賃金で働いている人の多くは、貧困層でない」のです。


最近は、勉強ができないと困ったことになります。
仕事が抽象化して、だんだんと学校の勉強に
近いものになっているからでしょう。


問題を考えるときの最大の罠は、
問題にすべきでないことを問題にしてしまうこと、
そして、問題にすべきことを問題にしないことにあるのです。





engineer_takafumi at 00:07│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ 仕事術、思考法・ツール

コメントする

名前
 
  絵文字