2010年04月30日

科学技術は日本を救うのか

本日は北澤宏一氏の
科学技術は日本を救うのか
です。
科学技術は日本を救うのか

Discover社が新たに創刊したサイエンスシリーズということで
興味を持って本書を購入しました。

この本は「科学技術」と銘打っていますが、
科学技術というより、むしろ日本の経済の本になっています。


そして、研究者らしくその論旨は明確で論理的です。

なぜ、日本は不景気なのか?
どうすれば、不景気から抜けられるのか?
その中で科学技術が果たす役割はどのようなものか?

この本の中に明確な答えがありました。


私はエンジニアをしているのですが、
その仕事がどんな道筋で、日本を良くすることに繋がるのか?
そのイメージを持つことができた一冊でした。


研究開発という仕事は面白いのですが、
反面それが社会に及ぼす影響に十分配慮できないことがあります。

そんな、研究開発の仕事についている人には
ぜひ一読してもらいたい一冊だと思います。




世界で最も注目を集めるような論文が、
2004年以降日本からずっと生まれているのです。


アメリカ国民の収入の成長の85%は、技術革新に由来するものである。


日本の社会が非常に閉塞感にとらわれているのは、
GDPが飽和したことが最大の原因だと私は思っています。


自然に合理化できる2%の分だけGDPが伸びないと、
働き手が余ってしまい、失業者が増えます。


つまり、日本という国は貿易立国というよりは、海外からみれば
むしろ「金貸し国日本」になったといってよいといえます。


私たちが投資せずに手堅い預貯金のみに励んだことが
現在の不景気のひとつの原因となっているのです。


これだけ多額の借金をすると、金利を払うのも不可能です。
たとえば4%の金利として毎年44兆円です。
税収が40兆円しかないのに、払えるわけがありません。
こうかると、国全体としては金利をゼロにせざるを得ない。


誰かが貯めたお金は、誰かが借りる。
借りた誰かはそのお金を必ず使ってしまう。
すなわち、社会全体としては後世に貯蓄を残すこともできないし、
逆に後世に借金を残すことはできない。


後世に残せるのは、モノやインフラ、制度、人材ということになります。
われわれは、現在持っているお金をそれらに変えて
残さなくてはいけないのです。


日本は常に貿易黒字を毎年10兆円ほどもだしています。
それが海外に投資され、毎年の対外所得黒字が
16兆円という巨額なものになってしまっています。


国民の預貯金は郵貯や銀行の定期にあつまり、
それを政府と地方自治体が借りました。
これが財政赤字となっています。


現在、日本の娯楽産業の市場規模は100兆円近くになっています。
国民一人当たり、年間100万円ほども娯楽に使っていることになります。


大人たちが若者から見放されている社会は、いくら豊かであっても、
いつか道徳的に崩壊する危機をはらむ社会です。


現在の日本の状況をひとことで表現すると、
「元気な出稼ぎ父さんの居つかない、淋しい家庭」
というところでしょうか。


若者たちは「しらけている」「夢を持てない」という一方で、
環境問題に関心があり、社会や地球をよくしていきたいのです。


世界最大のサハラ砂漠の大きさは、そこで太陽電池発電をすると、
世界で使われる全エネルギー(電力だけでなく)を賄うのに
必要な4倍ものエネルギーが得られるといわれています。
(発電効率10%として)



●技術革新が日本で起こらない理由
ヾ覿箸漏こ梓覿箸稜禺や生産拠点の海外移転に投資しているが、
 国内で新規事業を起こす投資をしていない。
 このため国内で新規技術を開発する努力が低調
国民の資産は貯蓄に向かっており、消費や株式などの投資に回らない。
 そのためこのお金は政府に貸し出され、
 政府の巨額な財政赤字を作り上げてきた。





engineer_takafumi at 10:43│Comments(0)TrackBack(0)★理系本の書評 | ⇒ その他の理系本

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