2010年11月30日

イマココ

本日はコリン・エラード氏の
イマココ
です。
イマココ――渡り鳥からグーグル・アースまで、空間認知の科学

本書は僕自身がとても方向オンチなので、
空間認知という言葉に興味を持って購入しました。


この本を読んで、人間の空間認識の特徴を理解できました。

すなわち、人間は位置情報を抽象化して
方向と距離という実空間と対応した尺度よりも
数学的なトポロジーのような形で位置を認識しています。

そして、その人間だけが持つ高度な空間認識の方法が、
人間の技術的発展の基礎となってきたのです。


しかし、この能力は方向や距離の認識機能の退化をまねき、
トポロジーの中で自分の居場所がわからなくなった時は、
ニッチもサッチもいかなくなってしまうのです。

また、この空間認識の方法が空間のつながりの意識を希薄にし、
環境破壊の原因になっていると、鋭く考察されています。


方向オンチで悩んでいる人には一読の価値があるかもしれません。
自分が迷う理由がわかります。
ただし、理由がわかっても対処しようもないですが…。




「何と何がつながっているのか」は把握できるが、
「どこでどうつながっているのか」についての理解は非常に頼りないのだ。


イヌイット語では物体の位置と方向が、
文法的構造の一部として必要とされるのだ。


イヌイット後の三語文で"Ililavruk manna ilunga"を英語に翻訳すると
"Please put this slender thing over there crosswise
on that end of that slender thing to which I am pointing"
(この細長いものを、私が指しているあの細長いものの端に
 交差するように置いて下さい)という20語もの文になる。


数日間、他人と接触をしないでいると、わざと捜索隊を避けようとする。


道に迷った人は、たいてい消息を絶った地点から
およそ150メートルから300メートルの範囲で見つかる。


北極とアラビアの砂漠はまったく違った土地だが、
そこに住んでいる人々は並外れたナビゲーション能力を
持っているという点では共通している。


私たちは垂直(縦)と水平(横)を好み、「斜め」を避ける傾向がある。


彼らは道路のカーブを頭の中ですべてまっすぐ伸ばしていたのだ。


私たちは空間を感じるのではなく、組み立て直しているのだ。


空間を階層的に整理する方法は、記憶の負担を減らす助けにはなるが、
他方では空間地図をゆがませる原因ともなる。


私たちは頭の中で、距離と方向はあきれるほど無視する一方、
位相的な関係についてははっきりと示そうとする。


私たちは崩壊しかかっている空間の中でよろめきながら生活しているが、
おめでたくもそれに気づかずにいられるのは、
建築物や近代のテクノロジーによって、
道しるべとなるものが過剰なほど豊富にあるからだ。


野や森に住む鳥やハチなどと違い、人間は空間をつくりあげ、
自分たちのニーズに合わせて歪曲し、
幾何学的な説明とは別のものとして思い描くことができる。


車や徒歩で何度も角を曲がるルートを通ると、
人は実際より長い距離を移動したように感じることは、
多くの研究で示されている。


北米ではとくに、都市は外側へと伸びていく傾向、
いわゆるスプロール現象があるので、
都市の規模に対応する問題もかなり悪化している。


高速の移動が可能になったことで空間がわかりにくくなったため、
私たちは空間の結びつきをまともに判断することはあきらめ、
さじを投げてしまうのだ。


私たちが空間を整理し、図式化する方法を考えると、
内部と外部の世界のあいだに有害で危険な亀裂が生じるのは避けられない。






engineer_takafumi at 01:51│Comments(0)TrackBack(0)★理系本の書評 | ⇒ 一般・その他の科学

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