2010年10月29日

相対性理論から100年でわかったこと

本日は佐藤勝彦氏の
相対性理論から100年でわかったこと
です。
相対性理論から100年でわかったこと (PHPサイエンス・ワールド新書)

当面PHPサイエンス・ワールドは全てチェックしようと思い、
本書を購入しました。

先端物理がわかる、がコンセプトのこの本ですが、
今まで何回も挫折してきたので、
あまり期待しないで読み始めました。

ところが、すごいことに、少し理解できてしまいました。

この本の良いところは理論そのものでなく、
理論が登場した背景やその意義について、
言葉で明確に説明してくれることです。

普通の入門書を読んでも(専門書は問題外)、
目の前の事象について理解しようとするのが精一杯で
とても理論と理論の関係までケアできません。

ところがこの本だと、常に現代物理の思考の流れにそって、
話している事柄の意義を明確にしてくれます。

逆に意義がわかるので、詳細が全くわかっていなくても、
わかった気にさせられるのかもしれません。


今まで、先端物理に挫折してきた人ほどおすすめです。
この本からだと、必ず何かしらは得られるでしょう。



ほんとうに価値があるのは「なぜそういえるのか」
という点にあるからです。


なぜマクスウェル方程式によると光速度は定数cになるのか、
その意味を考えると、光速度不変の原理に当然行き着くということです。

どうも理解できないのは、アインシュタインが
「宇宙の膨張」や「ブラックホールの存在」を認めなかったことです。


あまりにも常識外れの理論であるために、
量子論はアインシュタインやシュレディンガーなど
大物の物理学者にさえ嫌われてきたのです。


(量子論の意義について)
物理学者の立場から一つだけあげるなら、
「自然現象の未来はただ一つに決まっている」
というそれまでの物理思想を根本から変えたこと、これに尽きるでしょう。

量子論は「何もない」という状態を許さないんです。
哲学的な意味での「無」や「ゼロ」という状態は、物理的にはあり得ないんだ、
というのは量子論が発見した重要な真理の一つなんです。


現時点でいえるのは
「相対性理論も量子論も、その綻びを示す自然現象は何も見つかっていない」
ということです。


現代物理学の二大基礎理論である相対性理論と量子論は、
不思議なことに両立しません。
両者を融合した量子重力理論の完成は物理学者の悲願です。


湯川先生は紙と鉛筆だけを使って未知の粒子・中間子の存在を予言し、
予言どおりに中間子や新粒子が続々と発見され、
素粒子物理学の時代が開幕したのです。


素粒子論の世界は「秀才の墓場」と言われるくらいに難しいんです。

論理に貫かれたこの世界を表現するのに必要不可欠なのが数学です。
数学を駆使することで、私たちは直観の働かない
未知の世界を描くことができるのです。


数千万光年のスケールではじめて現れる「宇宙の膨張」という真実に、
方程式を解くだけでたどりつける、
それがアインシュタイン方程式のすごさです。


「無」から宇宙を作り出すという神の御業のようなことを、
ビレンキンは科学の言葉で語ったのです。


宇宙は虚数の時間において、
どこが始まりなのかわからないようにして始まったのだ。


現在の宇宙に残っている真空のエネルギーの値を理論的に求めた値にくらべて、
観測から推定される暗黒エネルギーの値は120桁も小さくなるんです。
この「小さすぎる問題」は理論物理学における最悪のミスマッチと呼ばれています。

超ひも理論によると、時空は4次元ではなく、
10次元または11次元だと言います。
私たちが余剰次元に気づかないのは、それが小さく丸まっているからです。


宇宙は私たちの住む宇宙だけではない、
10の200乗個という無数の宇宙が存在する
ブレーン宇宙論が示すのはまさに曼荼羅図の世界のようです。


宇宙論が抱えている問題に対して人間原理を安易に適用することは、
物理学の放棄だと思います。
私たちはまだ、自然の理を探求する道を諦めてはいけません。





engineer_takafumi at 00:12│Comments(0)TrackBack(0)★理系本の書評 | ⇒ 物理・科学哲学

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