2011年01月12日

博士漂流時代

本日は榎木英介氏の
博士漂流時代
です。
博士漂流時代  「余った博士」はどうなるか? (DISCOVERサイエンス)

Discover社のサイエンスシリーズということで
興味を持って本書を購入しました。


「高学歴ワーキングプア」とも呼ばれるポスドクの余剰。
本書は「余る」博士について論じたものです。

著者自身も生命科学系の大学院を出た後、
それでは食えないということで医学部に編入したという
経歴をもっており、まさにこの問題の当事者といえます。

それが故にか、やや感情的になっている部分もありますが、
僕はそれもまた味わいだと思います。

科学者はもっと感情を表に出した方が良いと
思っていますから。


結局、博士は増やしすぎてはいけなかったのだと思います。

現在のシステムでは博士号の価値が下がっているのが
一番の問題なのではないのでしょうか?

博士号を得にくくして、博士に対する尊敬の念を回復させれば
現状の多くの問題は解決に向かうのではないかと思います。

ただ、現在いる人の処遇はきちんとしなくてはいけませんが…
優秀な人が職につけないのは国家的な損失ですから。


個人的には、華やかに見えるバイオサイエンス系の博士が
一番余剰に苦しんでいる、ということが意外でした。


官僚やメーカーの経営者に読んでもらって、
博士の活用法と日本の未来について考えてもらいたい、
そんな風に思わせられた一冊でした。




ポスドクがどうして増え続けているのか。
それは、科学研究の予算が増えているからだ。


輝かしいイメージとは異なり、バイオ系の学科を卒業しても就職は厳しい。
ましてや、博士号をとろうものなら…


なぜバイオは厳しいのか。
それは、バイオの技術を役立てる産業がないからだ。


大学関係者が口をそろえるのは、
優秀な学生ほど博士課程に進学しなくなったということだ。


あるシンポジウムの場で、同席した著名な大学教授が、
最近の大学院生はレベルが低いという発言をしたとき、思わず反論してしまった。
「あなたたちに責任はないんですか?」と。


日本では、大学卒業生や、修士課程までの大学院修了者には、
コストをかけて待ってくれるが、博士は即戦力が要求され、待ってくれない。
コストもかけない…


問題は、科学は国費以外の方法で人材の育成ができないということだ。


博士(医学)は、ここだけの話、
他の博士に比べて比較的簡単に取ることができると言われている。


大学がポスドクや非常勤講師として博士を安く買いたたくのも、
あんたら大学にいたいんでしょ、だから安くてもいいでしょ、
と買いたたかれているのだ。


病気の患者さんやそのご家族の医学的知識は、専門家を超えることがある。


優秀な人、ちょっと背中を押せば活躍できる人、まったくダメな人は、
だいたい1:3:6くらいです。


バイオ、ライフサイエンス系の学部、大学院は閉めるべきです。
多分3分の1でも多すぎるくらいです。


非常に厳しいことを書きますが、
ポスドク問題にあえぐ若手研究者の中には、
どう見ても今後研究活動を続けたところで
生き残っていけるとは思えないような、
資質や特性に問題のある者も存在します。


このような問題意識の前提となっているのは、
修士課程終了時点で同じくらいの研究能力を持った学生が
企業に入った場合と、博士課程に入った場合とで、
その研究能力の伸びにおいて3年後に差がないという共通認識にあるようです。


そもそも「研究ができれば食えなくてもよい」と考える人たちは、
自分のキャリアについて考えていませんので、
大学や政府がもろもろのキャリア支援策を打っても見向きもしない






engineer_takafumi at 01:22│Comments(0)TrackBack(0)★理系本の書評 | ⇒ 理系の人・理系社会

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