2011年05月26日

物理数学の直感的方法

本日は長沼 伸一郎氏の
物理数学の直観的方法
です。
物理数学の直観的方法

本書が物理数学の名著として語られているのを知り
興味を持って購入しました。


数学は分かりにくいと言われますが、
実は高校レベルであればまだまだ序の口です。

なぜなら、受験という大きな需要があるので
予備校の先生などが、頑張って分かりやすい本を
書こうと努力されているからです。


これが大学の数学になると一変します。
教科書や参考書は分かりやすさなど全く考えておらず
ただ著者(教授)の都合と自己満足だけの産物です。

かなり読み手に努力が要求されるので、
「わからないのは読み手が悪い、もっと勉強しろ!」
と言われているような気分です。


そこでこの本の登場です。
当時20代半ばという著者は研究者の世界では
まだ学校を出ただけというレベルです。

そんな著者が書いた、学者の都合に左右されない
読み手の直観的な理解にフォーカスしたこの本は
専門書としては驚異的なベストセラーとなりました。

しかも、長い間学生の支持を集め続け、
初版から20年以上もたった今でも売れ続けている
数学・物理学科の学生のバイブルともいえる本になっています。


読んでみるとベクトル解析、複素関数、熱力学など、
学生の時に唐突すぎて理解できなかった部分が
まさに目からウロコが落ちるように理解できました。

その嬉しさももちろんなのですが、
学生時代にこの本に出会えなかった悔しさが
こみ上げてきます。


もし、あなたが物理学科の学生だったら
何も考えずにすぐ買って読んでください。

注文は後にしようなんて思わないで下さい。
すぐ行動です。忘れてしまっては大変です。

僕のような悔しさを味わうことのないように…




うっかりしたことを書くと、同僚の目が恐ろしい。
できるだけ厳密に手堅くまとめたほうが、たたりが少なくてすむので、
学生にとって理解しやすいかどうかという点がだんだんお留守になるのである。


一般に対角化ということは、
n乗の手間が非常に簡単になるという利点ゆえに重要になっていた


rotの意味というのは、ベクトル場を水流と考えたとき、
その流れにある微小な水車の回転速度と解釈できる


現代数学の勉強というのは、法学の勉強にかなり近いところがあるらしい。


とにかく現代数学は、この有限と無限の間で生じるギャップを埋めるために
ほとんどの手間をついやしていると言っても過言でない


フーリエ級数というものを最初に考えたフーリエという人について語る時、
たいてい言われるのが、その照明の厳密さというものに対する無関心である。


本当に有用な概念というのは、多くの場合極めて単純であればこそ、
広範囲にわたる応用が可能なのである。


複素関数論のそもそもの目的は、これを応用した複素積分を用いて、
実数関数の積分値を求めることにある。


複素関数論には特殊事情がある。
すなわち1/Xという項だけが宝物のように重要だということである。


温度を2倍に拡大する断熱仮定で100Kから200Kに温度を上げるとき、
1calの熱量を加えて101Kにしてから2倍にすれば202Kになるが、
温度を200Kに拡大してから同量の熱量を加えても201Kにしかならない。


エントロピーはつまるところ、熱量を足したり引いたりしたとき、
それが全体の温度を何倍にしたのかを示す指標であると言える。


採用される見込みが五分五分の二つのプランを実行可能なように準備して、
相手をジレンマに陥れることは兵学のかなり基本的な部分に
位置する原則である。


地球・太陽・月の3つの天体の影響が絡み合う「三体問題」になるや、
途端に問題は解けなくなってしまい、ニュートンから三百年を経た現在なお、
その天体の運行状態を示す解や関数はいまだに見つかっていないという


ニュートン以来の解析学が三体問題という壁を迂回して進んで、
当時はそれで良かったのだが、次第にどこでもそれに似たような壁にぶつかり、
解けない問題が増えるばかりで、
まともに解ける問題がとうとうなくなってきてしまったのである。


複雑系などにおいてはとにかく問題を解くなどということ以前に、
肝心のデータ自体が悲惨な虫食い状態になっていて、
まともな解析(コンピューターを用いてさえも)を
受け付けない状態に陥ることが多く、結局そこがネックになって
実戦でつかいものになるツールがなかなか作れない


極論すればそもそも数学は何かを簡略化したことがあるだけで、
何かを「発見」したことなど一度もないのだと言うことさえある。






engineer_takafumi at 01:25│Comments(0)TrackBack(0)★理系本の書評 |  ⇒ 数学

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