2011年07月05日

躍進する新興国の科学技術

本日は 科学技術振興機構 海外動向ユニットによる
躍進する新興国の科学技術
です。
躍進する新興国の科学技術 (ディスカヴァーサイエンス)

当面ディスカヴァーサイエンスシリーズは
全部チェックしようと思い、本書を購入しました。


本書は中国を除く、新興国の科学技術開発の
現状について書かれたものです。


新興国というと、急激に成長している、
というイメージがあるのですが、
本書では負の面もきちんと書かれており、
それぞれの国が抱える課題などが明らかになり
大変参考になりました。

新興国とひとくくりにしますが、
世界に目を向けると多種多様な状況なのだな、
と感じました。


本書ではロシア、インド、ブラジル、南アフリカ、韓国
台湾、イスラエル、ASEAN諸国が対象になっています。

特に新興国の中でも、イスラエルや南アフリカなど、
日本ではあまり情報の入らない国の様子が
大変興味深かったです。

国の体制や社会システムなどに重点が置かれた本ですので、
科学技術に直接携わる人はもちろん、ビジネスマンなどにも
おすすめできます。



ソ連崩壊とその後の経済低迷は、これまで100%国家予算でまかなわれてきた
科学技術に壊滅的な打撃を与えました。


ソ連自体には国家発注に基づいた製造が行われていたため、
消費者や市場の指向に沿うモノやサービスを創りだそうという発想が、
そもそもロシア社会に欠けていると思われます。


インドは原子力開発を平和利用目的だけでなく、
国の安全保障の視点からも行っているのは前述の通りです。
その立場から、核拡散防止条約は核保有国に有利な不平等条約と主張し、
これに加盟していません。
同じように包括的核実験禁止条約にも加盟していません。


(インドは)いまだ少数の優れた人材によって科学技術活動が担われ、
その成果も広くいきわたっていない状況を示しています。


ブラジルは原油の輸入国でしたが、近年、リオデジャネイロやサンパウロ沿岸に
多くの油田を発見し、掘削を行うことで、原油を2006年に100%自給、
その後、輸出するまでに至りました。


第二次世界大戦後の科学の歴史、なかでも医学分野で、
南アフリカはいくつかの鮮明な足跡を残しています。


南アフリカはかつて核兵器を開発・保有しながらも、
これを放棄・廃絶した世界唯一の国でもあります。


戦略や政策、研究開発予算はあっても、
実際に科学技術と研究開発の現場で活躍すべき人材が不足していることが、
南アフリカの科学技術にとって最大の課題なのです。


(米国がイスラエルに)手厚い支援を毎年行っている背景には、
米国議会内にイスラエルを支持する強い勢力があるため、
そして協力なロビー団体があり
反対勢力を封じこめているためともいわれています。


ユダヤ教では、イエス・キリストを救世主と認めていない
と解釈できるのです。


イスラエルの男性は、3年間の兵役に加え、
毎年一定期間兵役に従事することが決められています。
しかし、兵役をいっても、体を鍛えたり、兵器の使い方を習うだけではなく、
有能な理工系大学の卒業生の場合、軍事技術者として
研究・開発部門に携わる場合が多いのです。


(イスラエルでは)通常の自動車には80%の取得税をかけますが、
ハイブリッド車には30%、電気自動車には10%のみと優遇し、
電気自動車の導入をうながしています。


幸い日本にはヨーロッパの悪弊ともいえるユダヤ教徒排除の
差別思想を受け取らなかった歴史があります。


多くの研究人材が海外からシンガポールに移転する最大の理由は、
潤沢な研究費と整備された研究環境です。






engineer_takafumi at 06:22│Comments(0)TrackBack(0)★理系本の書評 | ⇒ その他の理系本

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