2012年01月18日

もうダマされないための「科学」講義

本日は菊池 誠氏の
もうダマされないための「科学」講義
です。
もうダマされないための「科学」講義 (光文社新書)

本書はタイトルを見て、興味をもって購入しました。


3・11の大震災以降、原発事故の影響で
科学技術と社会のありかたが見直されています。

そんな問題について考えていると、
素朴な疑問が生じてきます。

例えば、なぜニセ科学は問題なのか、
なぜ専門家の話はわかりにくいのか、
報道はどうやって科学をゆがめるのか、
などといった疑問です。

この本はそういった問題を鋭く考察する、
いままでありそうでなかった一冊です。

科学技術と社会がぎくしゃくしている、
根本的な原因が理解できました。


ただし、この本の読みにくさには閉口します。
いかにも学者や公務員といった文章で、
読み続けるのにかなりのエネルギーが必要です。

この手の問題に非常に関心が強い私でもそうなのですから、
ふつうの人ならなおさらでしょう。

著者たちは、口をそろえて、
専門家と一般人との対話が必要といいますが、
それなら、まず自分達から
受け入れられやすい情報発信を心がけて欲しいものです。

少々辛口になってしまいましたが、
それも内容が素晴らしく、
少しでも多くの人に伝わって欲しいからのことです。


科学技術に携わる人は必読です。
むしろ、必ず読んで社会との関わり方を考え直して欲しい、
と思わせる一冊でした。





ニセ科学が批判される理由は、単にそれが間違っているからではない。
ニセ科学を選択すること自体が、さまざまな社会的損失を招くためだ。


「捨てられた学説」はいくらでもあって、
それをそ知らぬふりで科学的根拠として使うのが、
怪しい人たちの常套手段でもあるわけです。


科学は白か黒かはっきり決めるものというイメージはあまり正しくないんです。
一方でニセ科学は、すぐに白か黒かはっきり断言してくれます。
白黒をはっきりつけてくれるニセ科学のほうが、
一般の人の科学イメージには合致しているのかもしれません。


ゼロリスクを求められたからといって、
現実に存在するリスクを説明することをさぼって
「絶対安全」を主張してはいけなかったわけです。


食品や農業など、暮らしに密接に結びついている「科学」については、
社会部や経済部の記者が平気で記事をかいてしまう。


じつは野菜は農薬作用を持つ毒性物質を自らの力で数多く作り出しており、
それらには発がん物質もふくまれる


食用油や、清涼飲料水に使われている異性化糖液などは、
遺伝子組換え作物を原料として作られていても、表示義務がありません。
分析しても遺伝子組換え材料をつかっているかどうか判別がつかないからです。


食品企業は、判別がつき表示義務がある豆腐や納豆などには、
組換え作物を使いませんが、表示義務がない食品の原料には使っています。


人類が長く食べ続けて安全性を証明してきた食品など
存在しないのにもかかわらず、なぜ遺伝子組換え食品だけが、
そのような論理で反対されるのでしょうか。
ほかの方法によって品種改良された農作物は何も言われないのに、
遺伝子組換え作物だけが反対されるのは不公平ではありませんか。


リスクの検証には限界があります。
「絶対に危険はない」「リスクはない」などと言い切ったら、
それは科学ではない。


賛成か反対かの二者択一の議論は、
答えを決めかねている大多数の「疑問派」の人々には息苦しく、
かえって無関心を誘ってしまうきらいがあります。







engineer_takafumi at 01:31│Comments(0)TrackBack(0)★理系本の書評 | ⇒ 一般・その他の科学

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