2012年07月31日

模倣の経営学

本日は井上達彦氏の
模倣の経営学
です。
模倣の経営学―偉大なる会社はマネから生まれる―

本書は模倣というキーワードに反応して購入しました。

ビジネスをする上で模倣というと、
あまり良いイメージはありませんが、
実はこれは仕事で一番基礎となるものです。

世に独創的なビジネスを生み出した企業、
例えば宅急便を日本に広めたヤマト運輸や
コンビニを日本に広めたセブンイレブンなども
また、他社の模倣から始めていたのです。

ただ、もちろん単純に模倣すればよい
というものではありません。

自分の領域に応用するためには、
必ず工夫が必要となってくるのです。

その力加減が非常に難しいので、
ただ模倣といっても簡単なものではないのです。


本書では、成功した企業がどのように
他社を模倣したのかという例が示されています。

変わったところでは、
バングラディッシュのグラミン銀行は、
既存の銀行と全て逆のことをする、
という意味で逆発想のモデリングをしていたそうです。

個人的には、子供の頃に公文式で学んでいたので、
KUMONは簡単にマネできそうでできない、
という話が印象に残りました。


模倣という言葉に反応するビジネスマンは多いと思います。
その手の人には必読の一冊です。




クロネコヤマトの宅急便のアイデアが、
牛丼の吉野家から生まれたという事実をご存知だろうか。


『ピカソが来ると自分の作品を盗まれるからかなわない』と言って、
ピカソが来ると回りの画家が作品を隠してしまったという逸話があるほどだ。


愚者が賢者から学ぶことよりも、賢者が愚者から学ぶことのほうが多い


トヨタ生産システムが、スーパーマーケットからヒントを得て
生まれたことをご存知だろうか。


自社が参照すべきは同業他社ばかりではない。
新しい発想を得るためには、遠い世界のお手本も役に立つ。


写真の模倣には30年もの歳月が必要とされたが、
コンパクトディスクの模倣には3年しか必要とされていない。


これだけ模倣のペースが早いと、
製品レベルでイノベーションを引き起こしてもすぐに追いつかれる。
仕組みの模倣が伴わなければ、本当の意味での差がつかないということである。


ひとたび自動販売機網を作り上げれば、たとえ製品開発で遅れをとっても、
すぐに追随して、類似製品によってシェアを奪回することができるわけだ。


宅急便を始めた以上、荷物の密度がある線以上になれば黒字になり、
ある線以下ならば赤字になる。
したがって荷物の密度をできるだけ早く"濃く"するのは至上命令である。
そのためには、サービスを向上して差別化を図らなければならない。
コストが上がるから止める、というのはこの場合、考え方としておかしい


結果的には、創造的模倣をしたことになったとしても、
最初から何を模倣すべきかを達観していたわけではないのかもしれない。
むしろ、その過程では徹底的に模倣し、その模倣の成功や失敗から、
いろいろなことを学んだように思える。


ユヌス氏は、グラミン銀行のアイデアをどのようにして
思いついたか尋ねられたとき、
「一般の銀行のやり方をよく見て、あらゆることを逆にしてみたんですよ」
と答えるという。


特徴の際立ったものを反転させると際立ったモデルが描けるのだが、
コンセプトが明確でない事業を反転させても曖昧なものしか出てこない。
グラミン銀行の場合、既存の銀行を反面教師にしたからこそ、
非常識を常識に変えてしまうようなイノベーションを引き起こせたのである。


たとえ、社内のモデルであったとしても、
トヨタから抽出したモデルだと言っています


KUMONの学習は、学年を追い越したところから真価が発揮される。
ところが、教えられてその水準に達した生徒は、
たとえ学年を越えていても自分で学ぶ力がついていない。


これから生まれようとする市場の潜在的な規模を
実データで証明するのは原理的にきわめて困難である。






engineer_takafumi at 01:34│Comments(0)TrackBack(0) ★一般書の書評 | ⇒ 経営

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