2012年06月09日

私、社長ではなくなりました

本日は安田佳生氏の
私、社長ではなくなりました
です。
私、社長ではなくなりました。 ― ワイキューブとの7435日

元ワイキューブの安田氏が会社について本書を書いたと聞き
興味を持って購入しました。


この本はすごいです。
会社が倒産するまでの社長の心理が飾ることなく
ありのままに書かれています。

そして、この本を読んでみると、
安田さんのお金に対する考え方に疑問が生じるのですね。

例えば、高いオフィスに引っ越したけど
家賃が払えずに6ヶ月で退去したとか、
社員にタクシー通勤を提案してみたが、
「そこまでする必要はない」と却下されたとか…。

もちろん、本を面白くするために、
そんなことを誇張して書いてある部分もあるでしょう。

それにしても、起業して10年後に会社が
残っている確率が数%というなかで、
よくこれで20年以上も生き残れたものだと思います。

恐らく、著者はお金を使う才能があったのでしょう。
もちろん企業はお金がなくなって潰れるのですが、
お金が使えなくても生存できないのです。


また、ワイキューブはワインバーなどを備えた
豪華なオフィスが話題になっていましたが、
この投資は、広告効果で十分元が取れたそうです。


結果的に失敗してしまったとはいえ、
経営のヒントはたくさん詰まっている一冊です。
起業を考える人は必読の一冊でしょう。

また、単に小説がわりに読んでも楽しめます。
起業に関係ない人でも気軽に手にとって欲しいですね。



十年後の将来が決まっていないことよりも、
十年後の自分がみえてしまうことのほうが頭がおかしくなりそうだった。


「やりたくないことを避ける」ことは、決して悪いことではない。
イヤなことを無理してやっても、不満が募るし、仕事の効率も悪くなるだけだ。
ただし、やりたくないことの線引きにはセンスが必要である。


サンフランシスコでは滞在費用が底をついただけではなかった。
社員は気づいていなかったと思うが、このときは帰国があと三日の延びたら
会社が倒産してしまうところだったのだ。


本当はリクルートを辞めないで残っている人材のほうが圧倒的に優秀なのだ。


市谷のオフィスへの投資に関しては、元は十分にとれた。
メディアに取り上げられた分を広告費に換算すると、
年に一億円から三億円くらいにはなっていたはずだ。
五年間くらいはコンスタントにメディアに露出していたから、
合計すれば十億円以上にはなったと思う。
オフィスへの投資は一億五千万円くらいだったので、
得られた広告効果に比べれば安いものだった。


オフィス戦略は、広告効果としてはおおむね成功したと思っている。
ただ、社員のモチベーションアップや売上につながったかというと、
残念ながら期待したほどではなかった。


会社のお金もすぐに使ってしまうので、
いつの間にか社員が売り込みの営業マンを私に会わせなくなっていた。


世間では優秀な社員から会社を辞めていくものだという俗説があるようだが、
私はそれは違うと思う。


銀行に対して返済計画を見直してもらうよう交渉したときよりも、
「民事再生します」と告げたときのほうが、気持ちはずっと楽だった。


大関は横綱に昇進できるが、
いったん横綱になった力士が大関に戻ることはできない。
横綱を辞めるときは、力士を辞めるときだ。






engineer_takafumi at 03:33│Comments(0)TrackBack(0) ★一般書の書評 | ⇒ 経営

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