2012年07月07日

アップルのデザイン

本日は日経デザイン編による
アップルのデザイン
です。
アップルのデザイン ジョブズは“究極”をどう生み出したのか

本書はタイトルを見て、即購入しました。


この本はアップルのデザインについて
徹底的に解明した本です。

その構造、製造、設計者、広告、特許など
さまざまな方面に渡ります。

そして、どれを見てもアップルの思想の高さに
驚いてしまうのです。


また、一人のエンジニアとして強く感じたのは、
アップルは決して、デザインとマーケティングの会社
ではないということです。

実は、多額の設備投資をしていますし、
多方面の高いレベル技術を保有しています。

アップルはファブをもっていませんが、
間違いなく世界最高レベルの製造技術を保有しています。

特に、製造業に携わる人間はこれを誤解してはいけません。


デザインという観点でアップルの戦略を浮き彫りにしています。
電気メーカーに勤めるエンジニアは読んでおきたい一冊です。




アップルがデザインしたのは、「顧客とのあらゆる接点」だ。


工場を持たないファブレスメーカーという印象が強いアップルだが、
その設備投資額はソニーの2049億円をはるかに上回る。
2012年はさらに増額して、5893億円もの設備投資を行う計画だ。


生産設備のみならず検査機器までをアップルが用意する。
これらをどのように使いこなせば
アップルが求める品質のデザインが出来上がるか、
というレシピも添えて設備をサプライヤーに貸与する。


アップルのモノ作りに対する知識は、
生産の現場で働く工場の技術者より豊富だ。


我々の存在がアップルにとってどんなメリットがあるのか、
アップルの幹部を前に定期的にプレゼンするように常に求められる。


世の中にないものを作ろうとしているときに、
ユーザーに聞いても何か良い答えが出てくるかい?
私がユーザーとなってあるべき姿を見せるしかない。


優れたインタラクションの代名詞のように言われるフリック入力ですが、
国内メーカーのスマートフォンで提案されていたら、
これほど受け入れられたのか、私には疑問に思われます。


ルールを決めてしまうと、
店舗開発担当者たちがルールに沿うことだけを考えてしまう。
今後の進化や、顧客のことだけを考えて豊かな経験を提案するうえで
妨げになると、アップルは常に考えていた。


日本の大企業は量販店だけを向いてモノ作りをし過ぎる。
アップルは違う。デザイン性の高い商品を好む高感度な消費者は
富裕層だけではなく、学生などにも一定数いて、
市場規模が小さくないことを知っている。


ソニーがアップルに負けたのは、
自分が何をやりたいのかを末端の従業員まで分からせ、
納得させる能力を持つ経営者がいなくなったからだ。


「究極的にはモノなんかなくなればいい」
という思想がはっきり見えるところです。


(ジョブズが愛用していたISSEY MIYAKEのタートルネックのシャツの)
生涯の発注枚数は、なんと750枚を数えた。


新製品を発表するまでに、何千回もモニター調査にかけて
「被験者は全員、他の5案よりもこの案を支持した」と出なければ、
決断できないような企業があまりに多すぎる、
こんな破綻したプロセスには絶望的な悲しさを感じますよね。
私もアップルが、そうだった時代を知っています。


彼はネクストで挫折するまで、無数のプロジェクトを破綻させてきました。
しかしそんな彼がピクサーで優秀な映画人を見つけて
『トイ・ストーリー』を成功させ、アーティストとして一皮剥けた。


彼はエンジニアに憧れていた。
しかし、サイエンスで説明できる世界をよく知っていたとしても、
そこで説明できないものにこそ、実は本質があると感じていました。







engineer_takafumi at 02:42│Comments(0)TrackBack(0) ★一般書の書評 | ⇒ クリエイティブ

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