2013年07月25日

ドキュメント遺伝子工学

本日は生田 哲氏の
ドキュメント遺伝子工学
です。
ドキュメント遺伝子工学 巨大産業を生んだ天才たちの戦い (PHPサイエンス・ワールド新書)


当面PHPサイエンス・ワールドは全てチェックしようと思い、
本書を購入しました。


糖尿病の治療で重要なインスリンですが、
実は30年ほど前は豚や牛から抽出された
”天然物”を使っていたらしいです。

しかし、それでは増大する糖尿病患者に対応できず、
また、元々ヒトのインスリンでないので、
患者によっては不具合を起こす場合もありました。

そこで、遺伝子工学を駆使して、
ヒトのインスリンを「生産」しようとしたのです。

本書はこの開発の様子を描いたものです。


ただ、普通の科学書と違うのは、
科学そのものよりも、研究の人間模様を
詳細に描いているということです。

研究者の個性、チーム間の競争、当時の世論など、
研究は様々なものに影響を受けます。

科学の研究活動にも人間ドラマがあるのです。

そんな意味で、生物科学がわかっていなくても
楽しめてしまう一冊です。


研究職を志望する高校生などにお勧めです。
研究職というものがどういうものなのか
イメージがつかめると思います。



バイオテクノロジーは1970年代に4年という短期間に誕生した。


科学における画期的なアイデアは、楽観主義、
それも極端な楽観主義から生まれることが多い。


全長207塩基対をつくるのに、世界中から集まった24人の有能なポスドクが
早朝から深夜まで週7日働いて9年もかかったのである。


科学研究におけるプロポーザルは、まだ実現していないものを
提案するものであるから、実現できるかどうかは、
どこまでいってもやってみるまでわからない。


彼はMITで化学の学士とMBAを取得した秀才であるが、
その程度の知識では科学というのは失敗することが多いという現実を理解できない。
それは、教科書にはうまくいったことだけが書いてあるからだ。
これが科学研究に従事したことのない人には決してわからない事実なのである。


研究が成功するのは、彼らがたくさん働くからだけではなく、
正しい決断を下すからである。


当時、伝統的に分子生物学者は、大学などのアカデミック職から
企業への移動をとても嫌っていた。
彼らは、それは降格であり、一度企業に入れば二度とアカデミック職には
戻れないと考えてきたからだ。
単純化していうと、一流の科学者はアカデミック職に、
二流の科学者は企業にという棲み分けができていた。


だが、実験というのは、論文に書かれているほど美しくすすむものではない。


科学の成果は、まず科学の世界で専門家(レフェリー)によって
審査され評価されねばならないというルールがある。
要するに、このルールは、科学の専門家が素人を騙さないための自己規制である。








engineer_takafumi at 00:42│Comments(0)TrackBack(0)★理系本の書評 | ⇒ 生物・化学

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