2014年09月07日

知的複眼思考法

本日は苅谷剛彦氏の
知的複眼思考法
です。
知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社プラスアルファ文庫)

本書は考え方を学ぶための名著と聞き、興味をもって購入しました。


本書の著者は東大で教鞭をとっている教授です。
そんな、教授が学生の指導を通して感じていることを元に
「自分で考える」ための考え方のコツを説いたものです。


「自分で考える」上で一番障害となるのは、
なんとなく正しいと考えられている常識のようなものです。

例えば、「偏差値教育は良くない」と社会的な常識があり
それに従っていると、自分の意見を述べているような気がします。

塾通いの小学生や一部の高学歴者が犯罪を起こすのを見て
偏差値教育はダメなのだと言ったりするのが典型的な例です。

しかし、これは本当に自分の意見なのでしょうか?
結局は社会的な常識のようなものを、
自分の意見に置き換えているだけで、
実は何も考えていないのです。


ただし、日本人にとって、常識から踏み出ることは
非常に難しいことです。

本書は具体的な例を出して、丹念に考え方の道筋を追い、
この手の常識から逃れて、「自分で考える」ための
方法を説いてくれます。

教えるのは簡単ではないと思うのですが、
スッと入ってくる本です。
さすが、教育者ですね。


卒論を控えている大学生にお勧めの一冊です。
本書をマスターすれば論文にキラリと光る「自分の意見」を
入れることができるようになるでしょう。




他者を批判するとき、人は簡単に、自分を善玉の側に置く。
ところが、そういった区別自体が、どういうからくりで出来上がっているのか、
区別自体を生み出す線引きのしかたが、どういう文脈から生まれてきたのか、
その線引き自体にはどういった意味があるのか、
といったことには目が向かない。


ステレオタイプの単眼思考は、心地よいものです。
なぜなら「常識」的なものの見かたは、私たちに「他の人と同じだ」という
安心感を与えてくれるからです。


世界のことすべてを説明してくれる大正解がある。
それを求める態度からは、ものごとには多様な側面があること、
見る視点によって、その多様な側面が違って見えることは
認めがたいがたいでしょう。


対等な立場に立って、本の著者の考える道筋を追体験することで、
自分の思考力を強化しようというのが、批判的読書の方法です。


まずはものごとに疑問を感じること、「ちょっと変だな」と疑いを持つことが、
考えることの出発点になるのです。


複眼思考とは、ものごとを単純にひとつの側面から見るのではなく、
その複雑さを考慮に入れて、複数の側面から見ることで、
当たりまえの「常識」飲み込まれない思考のしかたです。


学生たちと議論していると、しばしば、抽象的な概念を
よくこなれないまま使っている例に出会う。
「構造」とか「個性」とか「人間形成」とか「権力」といった
ビッグワード(概念)が典型的な例である。
(中略)
こうしたキーワードは、容易にマジックワード(魔法のことば)に変わる。
つまり、魔法の呪文のように、
人々の考えを止めてしまう魔力を持っているのだ。


あることがらが問題になるかどうかは、
その問題の深刻さだけで決まるわけではないということです。
セクハラのように、以前から深刻な事態が存在していたのにもかかわらず、
それがどれだけ重要な問題であるかが広く社会で共有されるまでは、
水面下に隠されているような問題もあります。


「何が問題か」を考えるだけではない。
「なぜそれが問題になったのか」という、
<問うこと自体を問う>視点を持つことが、
複眼思考へのもうひとつの道になるのです。






engineer_takafumi at 13:06│Comments(0)TrackBack(0)★一般書の書評 | ⇒ 仕事術、思考法・ツール

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