2015年04月03日

トマ・ピケティの新・資本論

本日はトマ・ピケティ氏の
トマ・ピケティの新・資本論
です。
トマ・ピケティの新・資本論

ピケティの『21世紀の資本』を買おうとしましたが、
書店でおじけづいて、代わりに本書を購入しました。


本書は数年に渡って、フランスの日刊紙リベラシオンに
連載した時評をまとめたものです。


少し古くなっているものがあったり、
フランスの国内事情で日本人にはわかりにくい部分もありますが、
ピケティの思想を色濃く反映している本です。

連載のまとめですので、重要な思想は何度も繰り返されていて、
斜め読みでも十分頭に入ってきます。

ピケティは富の一極集中を危惧していますが、
その背景や事実が数字で示されていて説得力があります。

結局、資本主義の社会では、ある意味、
富の集中は避けられないものなのでしょう。
そのために、国は税をつかって、是正しないといけないのです。

フランスの国内事情が垣間見えるのも、面白かったです。


ピケティの思想をざっと知りたい人にはお薦めの一冊です。
『21世紀の資本』よりは、楽にピケティを学べるでしょう。



グローバル・ベースで見ると、
正味金融資産は世界全体でマイナスになっている。
これは理論的にありえない―
地球の資産を火星が所有しているなら、話は別だが。


実際には、経済学者のガブリエル・ズックマンがこのほど発表したように、
金融資産の相当額がタックスヘイブン(租税回避地)にあり、
それを所有している非居住者がしかるべく申告していないのである。


労働時間一単位当たりの生産高は、現時点で
フランスとドイツがイギリスを25%も上回っているのである。
国民一人当たりのGDPがほぼ同水準なのは、
ひとえにイギリス人がわれわれより25%長く
働いているからにほかならない。


イギリスは生産性の低い国に成り下がっており
(生産格差はいっこうに縮まる気配がない)、
他の先進国と肩を並べるために貧しい国のとる方策、
すなわち税のダンピングと長時間労働に
頼らざるを得なくなっている。


是正の対象になるのは、アメリカの場合は人種や民族だが、
フランスの場合は地域である。


アメリカにも相続税廃止に反対の声は多く、
とりわけ自力で立身出世した人は子孫に美田を残したがらない。


よい税金とは政府支出の財源を提供し、
公平かつ累進課税(場合によってはきつい累進性)であって、
個人と企業にできるだけ干渉しない税である。


アメリカの総人口3億人のうち、5000万人が無保険だが、
4000万人を上回る高齢者は公的保険のメディケアに、
5000万人近い貧困層はやはり公的保険のメディケイドで
カバーされている。
そして、1億6000万人が民間の医療保険に加入しており、
多くは企業負担のおかげで本人負担率はきわめて低い。


1930年代の大恐慌の際には、
自分たちは肥え太りながら国を危機に追いやった
金融エリートに対し、ルーズベルトは容赦ない措置をとった。
連邦所得税の最高税率は、1932年に25%から63%に、
1936年に79%に、1941年には91%に引き上げられた。
1964年にようやく77%に引き下げられたものの、
30〜35%の水準に戻るのは、
1980〜90年代のレーガン政権、ブッシュ政権になってからである
(現在オバマは45%への引き下げを提案している)。


税のダンピングに基づく成長戦略は、多くの小国が採用しているが、
必ず悲惨な結果につながる。


アイルランドのような国は、毎年GDPの約20%を
利益や配当の形で、工場や本社の外国人所有者や
株主に支払っている。
このため、アイルランド国民が自由に使える国民総生産(GNP)は、
国内総生産(GDP)より20%も少ない。
さらに悩ましいのは、通貨同盟に加盟しているため、
目の玉の飛び出るような国債金利を払わねばならないことだ。


同じ通貨を使う国が国債投機で破綻の淵に追いやられるのでは、
通貨同盟は失敗と言わざるを得ない。


GDPは常に「グロス」である。
すなわち、モノやサービスの生産の生産の総合計であって、
その生産に使われた資本の減耗を差し引いていない。


GDPは「国内」であることだ。
すなわち、一国の中で生産されたモノやサービスだけを計測し、
その最終目的地は考慮しないので、
他国に送られる利益もGDPに含まれている。


税のダンピングに基づく成長戦略は失敗するに決まっているし、
隣国にとっても有害


隣国との取引でゆたかになった国が、
次には隣国の課税ベースを横取りするとしたら、
これは市場経済や自由主義の原則とは何の関係もない。
ただの泥棒である。


ダンピングは、それをする当の小国にとっても有害である。
要するに軍拡競争と同じで、負の連鎖に陥ってしまう。


付加価値税は、所得の大半を消費に回す低所得者に重い税だ


富裕税は、市場価格に対して課税される。
これは万人に公平だという点で優れている。


生産的な投資と金融投資を区別することは、
実際問題としてはまず不可能である。


イノベーターであるジョブズの資産が、ウインドウズの
上がりで食べているゲイツの資産の6分の1にすぎない。


フォーブス誌の長者番付を見ると、ジョブズより上に
遺産相続者が10人以上いる。


ちっぽけな国がグローバリゼーションの中で生き延びようとし、
ニッチな活路を見つけようとすれば、あまり好ましくない資金を
呼び込むために無節操な減税競争に走りかねない。


資本収益率(r)と成長率(g)はイコールではない。
両者の関係性はr>gと表すことができる。


人類の歴史の大半において、成長率はゼロに近かったのに対し、
資本収益率はつねにプラスだったのである


医療や教育といった部門では、利用者の払う料金では
費用のごく一部しかカバーできない。
(中略)
もう一つの理由は、完全競争モデルでは事業者が利益の最大化に走り、
この種の事業にそぐわないことを歴史から学んだからである。


何よりも望ましいのは、アメリカと協力して、
証券や資産の国際登記システムを構築することだ。
金融の不透明性や富の一極集中は重大な脅威であり、
世界のどの国も無縁ではいられない。


フォーブズ誌が1987年から行っている調査によると、
1987年から2013年にかけて、世界の最富裕層の資産は
平均して年6〜7%のペースで増え続けているという。


なるほどフランスは、付加価値税(VAT)を生んだ国である。
そして著者がしばしば怒っているように、
あれこれ新奇な税が次々に作られる。







engineer_takafumi at 01:40│Comments(0)TrackBack(0)★一般書の書評 | ⇒ 経済・会計・お金

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