2015年11月01日

自動車工場のすべて

本日は青木 幹晴氏の
自動車工場のすべて
です。
自動車工場のすべて

本書はちきりんさんのブログで取り上げられていて
興味を持って購入しました。


著者はトヨタで長年にわたり生産管理の仕事を担当し、
今は生産のコンサルタントをされている方です。
まさに、トヨタの生産現場を知る人といって良いでしょう。


自動車の製造工程についての記述はもちろんですが、
トヨタ生産方式の話にも重点がおかれている印象です。

ただし、生産方式の話も生産方式そのものの本に比べると
はるかに具体的なので、ここからも自動車の製造ラインについて
学ぶことができます。


個人的にはトヨタの正社員応援制度、
特に、成績優秀者から応援に行かせるというルールが印象的でした。


自動車業界を顧客にしている、
する予定がある方にお勧めの一冊です。
コンパクトに自動車の生産を学ぶことができるでしょう。



鋳造(casting)とは、高温で金属材料を溶かし、鋳型に流し込み、
目的の形を取り出す成形方法のことだ。
こうしてできたものが鋳物である。
金属を液体状にして流し込んで作るために、
複雑な形状のものでも自在に作り出せるメリットがある。


ゴルフクラブのヘッドは鋳造品であることが多いが、
プロが使うヘッドの多くは鍛造品だという。


軽さと強靭さを求められる部品には、鍛造品が適している。
なぜ鍛造品にはこのような機能があるかというと、
打ち付け、加圧することで金属組織が稠密となり(引張強さ、固さが増す)、
さらに同じ強度を保ちながら薄くすることで軽量化にもつながるからである。


工場の中では、かんばんは「お金」と同様に扱われている。


機械仕掛けは電気仕掛けに優る


この工場のすべてにトヨタ生産方式の手法は一つも入っていなかったし、
必要もなかった。
トヨタ生産方式=量産工場の生産手法
ということを再認識させられたしだいだ。


トヨタでの正社員作業者の応援は、
日本中のトヨタの工場や部品メーカーの工場との間で行われている。


自部署から応援を出す場合、
「成績優秀者を出す」というルールになっている。


トヨタ系の企業はこの「応援受援制度」を完璧に運用しているため、
現場労務費は完全変動費となっており、ここが最大の強みである。


トヨタは次のような手法を考案した。
1,海外工場で生産する車種と同じ車種を、日本国内でも生産し
輸出するようにする。
2,もし、その車種の受注量が減った場合、海外工場はフル生産に
しておいて、日本工場の生産を減らす。
3,減産になった日本工場は、他の工場の応援に出す。


改善を英訳しようとした際、「improvement」が思い浮かんだが、
この言葉には「お金をかけて改良する」というニュアンスが強い。
そこで改善はそのまま「KAIZEN」と日本語で発音することにした。

  
「できるかできないか」ではなく、必要性から目標を決めて、
そのあとで可能性を考える。


シングル段取りの8つの定石
定石1,準備し得るものは、前もって全て準備せよ
定石2,手は動かしてもよいが、足は動かすな
定石3,ボルトを見たら、親の仇と思え、徹底的に取れ(ワンタッチのカセット方式)
定石4,ボルトは取るな、外すな
定石5,型や治具の基準は動かすな
定石6,調整はムダ
動かすなら先端部の小物(リング、コマ、ブロック、スペーサ)を動かせ
定石7,メモリを見ての調整作業はすべてブロックゲージ化せよ
定石8,突き当て基準(ストッパ)やガイドを設定せよ


当初は「バカヨケ」と呼んでいた。
しかしある女性作業者が「私はバカなんですか!」と泣いてしまったことがあり、
それ以降、「誰でもついうっかり起こしてしまうポカミスを未然に防止するしくみ」
という意味で「ポカヨケ」に変更された。


トヨタのエンジン工場のすべての現場に標準作業票が掲げられていた。
合計すれば何百枚にもなるが、すべてに製造課長印が押してあり、
製造課長は作業者の動きまで把握していると実感。
現場管理はここまでやらないとできない。








engineer_takafumi at 00:08│Comments(0)TrackBack(0)★理系本の書評 | ⇒ その他の工学

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