2016年05月02日

ジョナサン・アイブ

本日はリーアンダー・ケイニ―氏の
ジョナサン・アイブ
です。
ジョナサン・アイブ

本書はアップルのデザインの頂点にいる人間に
ついて知りたくて購入しました。

ジョナサン・アイブはアップルの
チーフ・デザイン・オフィサー(最高デザイン責任者)で
ジョブズの右手となって、iMac、iPod、iPhoneなどの
アップルのプロダクトを生み出してきました。

ジョブズ亡き後も、アップル製品のスタイリッシュさは
変わりませんが、それは彼がいるおかげなのかもしれません。


本書はそんなジョナサン(愛称ジョニー)の
半生についてまとめたものです。

ジョブズと一緒に、アップルのプロダクトを作ってきた人間なので
優秀なのは当たり前なのですが、
それ以前にデザインに対する思想が
既に常人ではないなと感じられました。

例えば、iMacを開発したときに、
「手に触れてもらいやすくするためにハンドルをつけた」
(コスト的には大問題であるのにもかかわらず…)
というエピソードが心に残っています。

製品の外観だけでなく、製品に流れる思想というものは
使い手に伝わっていくものなのです。

そのような思想を持った製品が、
現代に求められているのだ、と感じました。


ものづくりに携わる人にお薦めの一冊です。
アップル製品のデザインの本質をつかめるでしょう。




デザインとは、ただ電子基板に皮を被せて化粧を施すことでない。
消費者にどんな商品を提供して、
どう彼らの生活を変えたいかに思いを巡らせることである。


今でも多くの日本メーカーは、何かの機能を追加しようとするとき、
半導体部品でそれを実現しようとする傾向が強いが、
IT業界から家電に進出するアップル型の21世紀企業は、
同じような機能をソフトで実現する。


アップルに戻ってきたばかりのジョブズは、
同社に立て直す価値があるかに疑問を持ち、
経営者になることを頑なに拒んでいたのだ。
それでもジョブズが経営に返り咲いたのは、
アップルにまだ優秀な人材がいるのを発見したからだ
と語っていた。


絶対に必要なもの以外はすべて取り除くことを心がけたけれど、
そうした努力は人の目には見えないね。


ジョニーは学校で識字障害の診断を受けていた。


ノーザンブリア大学のもうひとつの特色は、
二度の企業研修を必修にしていることだ。
4年間のうち、学生は2年次と3年次の2度にわたって、
インターンとして働かなければならない。


つい触って遊びたくなるような、
なんともいえない魅力があったのだ。
触りたくなるデザインは、その頃すでに
ジョニーのトレードマークとなりつつあった


人材の採用には、スタジオが欠かせなかった。
退屈な仕切り机の中でデザインなんてできない。
そんなところじゃだれも働きたがらない。
天井が高くて気分の高揚するようなオープンスタジオが
絶対に必要だ。それがものすごく大切なんだ。
それが仕事の質を左右する。やる気を生むんだ


人材探しは贅肉を削ることにもつながった。
ジョブズは、組織の一番下まで行き届く
明確な命令系統にこだわった。
だれに報告するのか、
自分が何を求められているのかを全員が知っていた。


絶対的な基準にこだわると、
評価しにくい特徴や売り込みにくい品質が失われてしまう。
コンピュータ業界は、感情に訴えるような目にみえない
特質を見過ごしてきた。
だが、僕がはじめてアップルのコンピュータを買った
理由はそれなんだ。僕がアップルに入った理由もそこにある。
アップルはただ必要最小限をやるだけでは
満足できない会社だと思うから、僕はここにいる。
機能と必要性がみたされればいいとは思わない。
僕は初期の製品に、隅々まで心遣いがなされていると感じた。
ハードにもソフトにも、
人の気づかないところに気配りがあったんだ。


どんなコンピュータ会社や自動車メーカーより、
私たちはCAD業界に多くのソフトウェアを開発させていた


怖そうなものには、ふつう手を触れない。
僕の母も怖がってパソコンに触らなかった。
だから、持ち手があればつながりができるんじゃないかと
思ったんだ。ハンドルなら触りやすい。
思わず手にとってしまう。
触っていいんだよ、という合図になる。
それは人への従順さを示しているんだ。


エンジニアはだいたい今可能なことしか考えないの。
だけど工業デザイナーは、
明日や未来に何ができるかを思い描くのよ


できたてほやほやの試作品を前に
プレゼンテーションの練習をしていたジョブズは、
前面のボタンをおしてみた。するとトレイが出てきた。
「なんだこれは!?」とジョブズが言い出した。
高級ステレオに搭載されはじめていた
スロット式ドライブを使うものと思い込んでいたからだ。
だれひとり口を開かず、ジョブズは怒り狂った。
(中略)
ジョブズは怒りのあまりイベントを中止するとまで言い出す。
「それは私にとってはじめてのスティーブとの製品発表会で、
『完璧でないなら発表しない』という彼の態度を
はじめて見たのもその時だった」


先に進もうとすれば、置いていくものが出る。
だれがなんと言おうと、フロッピードライブは、古臭い技術だ。
批判は承知しているが、前進に摩擦はつきものだし、
進化が段階的に起きるとは限らない。


初代iMacがクールに見えるのは、色や形のせいではない。
頭でっかちなコンピュータデザイナーが無視してきた
層に向けてインターネットの可能性を開く姿勢を示したことが、
クールなのだ。


ジョブズが即決したことにジョニーは驚いた。
ということは、5種類のケースを作らなければならないし、
小売店の在庫管理にも新たに5品目が加わることになる。
だがそんなことは議論にものぼらなかった。
純粋にデザインによってすべてが決まっていた。
スティーブ・ジョブズが新色を欲しがったのだ。
ロジスティクスは後でなんとかすればいい。


今では当たり前となったWiFiを世に広める
歴史的役割を果たしたのもまた、iBookだった。
アップルがWiFiを発明したわけではないが、
iMacでUSBを使用したように、
その可能性をはじめて認めたのはアップルだった。
他社のラップトップでもWiFiを使えたが、
それには脇から醜いアンテナが突き出た
外付けのカードが必要だった。
iBookにはWiFiがすっきりと内臓されていた。


あそこまで秘密主義の環境は生まれて初めてだった。
なにか少しでも漏らせばクビになりそうで
いつもびくびくしていたよ。
社内でさえ、隣の人間が何をしているか知らないことも多かった。
常に頭に銃をつきつけられているような感じだった。
少しでも動くと引き金を引かれそうなんだ。


アップルの調査では、電池を交換すると答える人でさえ、
実はだれも交換していないことがすでにわかっていた。
ユーザー(とりわけ批評家)は交換可能な電池に
慣れていたため、密閉バッテリーに抗議する人が
出ることはもちろん予想できた。
だが、それを削ることで、iPodの筐体は
2枚のパーツのみで作ることが可能になった。


この製品の内部構造と僕らの加工方法には、
それ自体に美しさが内在する。
たとえば段差のあるアルミニウムレーザーを
レーザー溶接によってなめらかにつなぐ方法もそうだ。
少量生産やバッチ生産でしか細部にこだわった製品が
できないと思い込んでいる人は多い。
だが、一番細かい部分に気を遣うのが、アップル流だ。
工芸品ではそれができるが
大量生産ではそれができないと思われている。
だけど、僕らにとってはそこがなにより大切なんだ。


あるときアップルの一団は大きなガラス窓のある
会議室の外でわざと待たされた。
会議室の中ではフォックスコンの重役が
社員に怒鳴りちらしていた。
アップルの一団がそのまま見ていると、
重役がガラスのテーブルに拳を振り下ろして
粉々に割ってしまった。
「完全な芝居だった」とサツガーは言う。


スティーブはすぐに思いついたことを口にするので、
ほかに人がいる場では新しいものを見せないようにしていた。
『クソだ』とけなしてアイデアを殺してしまう可能性もあったから。
アイデアというのは、とても壊れやすい。
だから大事に育ててあげないといけない。
このアイデアはとても大事だと思ったので、
スティーブが切り捨てるのを見たくなかった。


ジョブズはiPhoneの試作品と鍵を一緒に
ポケットに入れて持ち歩いていた。
それでスクリーンに傷がついたために激怒したというのだ。
「傷がつくようなものを売るのはご免だ。ガラスのスクリーンにしろ。
6週間で完成させるんだ」


「死は生命の最良の発明だ」と語ったジョブズは、
わずか56歳で逝ってしまった。
2日後にパロアルトのアルタ・メサ記念公園で
行われた葬儀にアップルから出席したのは4人だけだった。
ソフトウェア部門のバイスプレジデントだったエディー・キュー、
広報のケイティ・コットン、CEOのクック、そしてジョニーだ。


ジョニーの関心は常にハードウェアとソフトウェアの融合にあったの。
ハードとソフトの接点は今一番注目されている領域だけど、
ジョニーはある意味でもう何年もこの分野を導いてきたわ。


大量生産の準備中に、自分たちの中でいい面ばかりを
あげつらっていることに気づくことが何度もありました。
私にとって、それはいつも危険な兆候でした。
自分がなにかを強く言い募っているとき、
自分を納得させようとしているときはたいてい危険なのです。


ジョニーの究極の目標は、デザインを消すことだ。
ユーザーがデザインを意識しないこと、
それがジョニーにとって一番うれしい。


デザイナーがこれみよがしにしっぽを振っているような
製品を目にすると、いやになるんだ。
僕の目標はシンプルなもの、持ち主が思い通りにできるものだ。
デザイナーが正しい仕事をすれば、ユーザーは対象により近づき、
より没頭するようになる。


アップルには秘密主義が染みついていて、
みな息をするように自然に口を閉ざしている。
社員はアップルの泡の中に生きている。
カンファレンスに出席することもなく、
シリコンバレーでの人づき合いもあまりない。







engineer_takafumi at 17:07│Comments(0)TrackBack(0)★一般書の書評 | ⇒ クリエイティブ

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