2015年08月05日

「シュレーディンガーの猫」のパラドックスが解けた!

本日は古澤 明氏の
「シュレーディンガーの猫」のパラドックスが解けた!
です。
「シュレーディンガーの猫」のパラドックスが解けた! (ブルーバックス)

本書はシュレディンガーの猫のパラドックスに
興味があって購入しました。


シュレディンガーの猫のパラドックスを解くことを
期待して購入したのですが、実際には量子光学の本でした。

最終的にレーザーを使って、シュレディンガーの猫と
同じ状態を得るまでの過程が書かれた本です。

ただ、量子光学は大学で勉強しようとはしたものの、
入門さえできずに終わっていたので、
この本はとても興味を持って読むことができました。

シュレディンガー描像とハイゼンベルグ描像の違いなど
基本的なことから、初心者が陥りやすい間違いを
的確に指摘しながら書かれているので、
とても読みやすかったです。


特に「なんども繰り返すが」と言って、
重要なことを繰り返しているのが本当に助かります。

恥ずかしながら「なんども繰り返すが」で、
前の重要ポイントを覚えていたことは
ほとんどありませんでした。



量子光学の概要を知りたい人にはお勧めの一冊です。
私が読んだ限りでは、最も分かりやすい本だと思います。




シュレディンガーがこの思考実験で提案したかったことは、
ミクロな世界の粒子だけでなく、たくさんの粒子が集まった
マクロな存在である猫でも、量子力学で規定する
重ね合わせの状態ができるのではないかということである。
これに対する今のところの答えとしては、猫をはじめとする
マクロな存在は外部からの影響を常に受けているので、
量子力学の特性は壊れてしまうというものだった。


量子力学の理解を困難にしている原因のひとつに、
このシュレディンガー描像とハイゼンベルグ描像をあまり注意せずに、
混ぜて使っていることが考えられる。


ここで、物理量を用いて量子力学を記述することを
ハイゼンベルグ描像、状態を用いて量子力学を記述することを
シュレディンガー描像とよぶ。


波動関数は複素数の値を取るので、
物理量として実数しかありえない我々の世界では、
直接何かに対応させることができないのである。


波動関数の場合、本質的に複素数であり、
実部と虚部は独立な2つの波であって、
sin成分とcos成分のように重ね合わせて
1つの波になることはない。


実は、波動関数も時間的に変動する波である。
初心者がよく目にする波動関数は、時間に依存する部分と
時間に依存しない部分に分けられた後の、
単に時間に依存しない部分なのである。


波動関数そのものは確率振幅(変位)で、
そのままでは物理的な実体はないが(あるという人もいるが)、
我々が目にできるものは確率振幅の絶対値を
2乗した値だけなのである。


水素原子のように質量があり粒子としての実体がある量子は、
シュレディンガー描像で状態について考える方が
わかりやすい場合もあるが、
光子のように、もともと電磁波という波で、無理矢理粒子としての
描像を生み出した量子集団では、むしろハイゼンベルグ描像の
方が便利なのである。


量子光学(光を量子力学的にとらえる学問)では、
ハイゼンベルグ描像を用いる場合が多い。


量子力学では単なる値をc-数(classical number)とよび、
ゆらぎを含んだ物理量をq-数(quantum number)とよび区別する。


ハイゼンベルグ描像では、物理量をq-数で表し、
かけ算の順番が入れ替えられないことに注意さえすれば、
高校でやった物理の数式がほどんどそのまま使える


振幅a^ と振幅b^ の2つの光を個別に測定したときのゆらぎが、
干渉後に足しあわされて2倍になることはない。


光の波の振幅が大きくなってもゆらぎの大きさに変化はないから、
振幅がおおきくなればなるほど相対的に
ゆらぎの大きさは小さくなっていく。


波の干渉はあくまでもハイゼンベルグ描像において、
q-数である振幅同士が足し算できるという話であって、
シュレディンガー描像での状態の重ね合わせとは
全く別の話なのである。


「知るよしもない」という状況が本質的に大切なのである。
これはシュレディンガーの猫の話の前提とも全く同じである。
つまり、猫の入った箱を開けて見ることがないから
重ね合わせを生成できるのである。


光子1個の状態や、真空中で絶対零度付近まで冷却した原子などは、
量子力学的に純粋な状態なので、単に純粋状態とよばれることがある。


光子2個の状態 |2> は光子1個の状態 |1>を2つ用意する
というのとは全く異なる。







engineer_takafumi at 00:14│Comments(0)TrackBack(0)★理系本の書評 | ⇒ 物理・科学哲学

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