2015年12月02日

ぶっつけ小論文

本日は樋口 裕一氏の
ぶっつけ小論文
です。


本書は高校生向けではありますが、論文を書く際の
バイブルと聞き、興味をも持って購入しました。


本書は大学入試の小論文で高得点をとるために
書かれた受験参考書です。

しかし、その中には大人顔負けの思想が多く詰まっています。

まずは「型」という考え方です。
小論文でオリジナリティを出そうとすると、
いかに斬新な構成で書くかが重要のように思えます。

ただし、それは中身だけで、
構成はあくまで「型」にはめることが大事なのです。

本書ではどんな問題であったとしても
「YESかNOか」という型に持ち込め、と説かれています。

特に普段に書くことが多い仕事をしている人は
このような「型」を活用しているのですね。


また、問題の掘り下げ方も非常に参考になります。
論文の優劣の一つは、どれだけ広い視野でものごとを見ているか?
ということで判断されます。

具体的に自分だけでなく、子供や老人、会社勤めや自営業、などなど
できるだけ広い人の視点で、物事を眺めることが重要なのです。


論文を書くという目的だけでなく、
ある課題について、自分がどのようなポジションを取るのか?
また、それをどのように表現するのか?
受験を超えた本質的なことを教えてくれる一冊です。


子供に作文を指導するときに、ぜひ一読したい一冊です。
ものごとを論ずるための「型」を習得し、教えることができるでしょう。




何かを論じて、初めて論文になる。


論文とは、すべて、何かの命題に対して
賛成か反対かを論じるものなのだ。


問題とされている事柄の本質は何か(定義づけ)を描かねばならない。
そして、賛成・反対の理由を書かねばならない。
それが優れた論文かどうかは、どれほど説得力をもって、
どれほどの深みにまで踏み込んで
ものごとの本質を見つめて判断を下しているかによる。


論文とは基本的には「YESかNOか」を答えるものだ。
したがって、どんな形式の出題でも必ず、「YESかNOか」が隠されている。
もし、それが表面に現れていない場合には、君自身が命題を設定し、
それについて「YESかNOか」を答えなければならない。


逆に言うと、「YESかNOか」という基本型の書き方さえマスターしておけば、
どんな形式の出題にも対応できるということだ。


論文の良し悪しは、まず視野の広さで決まる。
自分のことばかり考えてはいけない。
さまざまの場合を想定してみる。
君がテレビをどう見ているかだけでなく、
君の両親・祖父母・兄弟の場合も考えなければならない。
老人・幼児・都会に住む人・田舎に住む人・体の不自由な人
病人・仕事で忙しい人…、あらゆる立場に立って考えてみる。


どうしても思いつかない場合は、極端な仮定をしてみる。
「もし世の中にテレビがなかったら」などと考えてみる。


世の中には全面的に良いことも、全面的に悪いことも
ないと言ってよい。


自分がどう考えているかではなく、どれが鋭いかによって主題を決める。


「〜であるべきだ。」という論理を振り回すのは避けるべきだ。
「人間は○○に影響されるほど弱くない。」といった
非科学的な考えも改める必要がある。
高いところに立って世の中を嘆くのではなく、
冷静に分析しなければならない。


視野を広く見せる方法はいくつかあるが、
「確かに〜ではあるが」という文でこの部分を始めるのが最も効果的だ。


問題提起の部分で、単に「YESかNOか」に転換するのではなく、
その転換の必然性に触れること。
「YESかNOか」の形式を表面に出せば出すほど、
必然性を述べる必要がある。


もし、課題文の中に弱点を見つけたら、
君は真っ向からその文章に反論すべきだ。
YESよりNOのほうが一般的に言って優れた論文になる。


だれもが正しいと信じている命題が必ずしも正しくないと証明できれば、
君の論文は鋭い論文になる。


最も効果的で、最も刺激的なのは、冒頭から自分の意見、
それも常識をくつがえすような意見を打ち出す型だ。


一見無関係な問題との関係をこじつけることで、
面白い着想が生まれてくるのだ。








engineer_takafumi at 05:54│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ 書き方・話し方・言語

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