2016年10月12日

経済は「予想外のつながり」で動く

本日はポール・オームロッド氏の
経済は「予想外のつながり」で動く
です。
経済は「予想外のつながり」で動く――「ネットワーク理論」で読みとく予測不可能な世界のしくみ

本書は書評で興味を持って購入しました。


本書は経済は古典的な経済理論ではなく
「ネットワーク理論」で動いている、と主張する本です。

古典的な経済理論には落とし穴があります。
それは「皆が経済的に合理的な判断をする」
という仮定の元に組み立てられているということです。

実際は皆が合理的な判断などできません。
そもそも、実際には何が本当に合理的なのかなんて
事後でさえも判断することはできないのです。

だから、人は模倣という選択をします。
それが故に、一旦みんなが一つの方向に向かい始めると
すごい勢いとなるのです。

そして、何が選ばれるかというのは、
本質的にはランダムなものなのです。

最近は「バズる」という言葉が使われますが、
バズる確率を増やすことはできても、
最終的には確率的なものであるということがわかります。


企業でマーケティングを担当される方にお勧めです。
マーケットの本質を知ることができるでしょう。



経済学者が知的刺激を求めるなら生物学を学ぶべきだという
主張は昔からあって、しかもよく知られている。


私たちの脳が(他の哺乳類に比べて)異常に大きく
発達したのは、進化を遂げる上で模倣がとてもいい戦略だったからに
ほかならないと主張している。


たしかに税金が高くなればタバコの販売量は減る。
インセンティブは思った通りの働きをする。
でも同時に、喫煙者たちは、タールとニコチンが高い銘柄に乗り換え、
さらに健康にいっそう悪い吸い方をすることで、
本数が減った分を補っていたのだ。


ほとんどの状況では一番いい選択が何かなんてまったくわからない。
事後になってすらわからないし、
どれだけ頭がよかろうと決してわからない。


犯罪が急激に減少したのは、中絶が増加したからだ。


「1つ買うともう1つタダでついてくる」とか
「2つのお値段で3つ買えます。とかいった割り引き―は、
1個の値段をまったく同じだけ割り引くより、
ずっと売り上げを後押しする効果があることに、
販売にかかわる人たちは気づいている。


ある経験則が、最適でなくとも満足のいく結果をもたらす限り、
エージェントはその経験則を使い続ける。


統計熱力学の概念を使えば、
それまでほとんど存在すらしていなかったとてもたくさんの市場で、
価格やインセンティブを決めることができるようになる。


銀行業界は
「互いに互いがやっていることを模倣しようと
躍起になっている者たちの集まり」である。


日本の当局はポジティブ・リンキングを利用するという
難易度の高い技を成功させた。
彼らは金融市場や日本の企業と消費者といった
あらゆる人びとに、地価と株価が華々しく暴落したからといって、
日本が1930年代並みの大恐慌に再び陥ることはないと
信じさせることに成功したのだ。


政策が信頼を呼び起こすかどうかは具体的な
内容で決まるのではない。
政策がもたらしうる結果を経済学の言う意味で「合理的に」
計算して信頼感が湧くといえるかどうかが問題ではない。
金融市場に前向きな気運、前向きな態度を
作り出せるかどうかが鍵なのだ。


品質の劣る製品―古臭い経済学で埋め尽くされた教科書―が、
より優れた品質を持ちうる製品を市場から
締め出している状況が存在する。
参入障壁は高く、なかなか越えられない。
素朴な経済学だと、そういうことは起きようがない。


主流派のトップ・レベルには業界全体を覆うネットワークがあって、
何がよくて何がいけないかはそこで決まる。


つながりがとても濃く、強いために伝播しないのだった。


ヘルメットをかぶらないのは愚かなことだ。
でもオレはかぶらない。他の連中がかぶらないからだ。


同じ1つのネットワークが頑健になるか脆弱になるかを
「決める」のは、まったくランダムな過程なのである。


当局が人びとの行動に影響を与えようとしているのが知れわたれば、
それ自体がネットワーク効果を通じて、その誰か以外の人が
いままでよりももっとかたくなになるかもしれない。
それこそ、まったく逆の行動をとらせてしまうかもしれない。


正規分布に従わない結果は、
ネットワーク効果が働いたことを示す代表的な痕跡だ。


ひとたび知識人の活動的な一派が何かの信念を採用すれば、
その信念が広く一般に受け容れられる過程が自動的に動き出し、
そうなればもう覆すことはできなるなると言っても過言ではない。


いずれも同じくらい確からしい選択肢を一定の数だけ与えられると、
人がその中から1つを選ぶためにかかる時間の長さは、
平均ではその選択肢の数の底を2とする対数に比例する。


21世紀の現代、選択を行うに当たって理にかなったやり方は、
他人のまねをすることである。


成功したプレイヤーは、ネットワーク上の他のプレイヤーを観察し、
彼らの行動がうまくいくのを見て、それを真似し、
そして勝ち残ったのである。


いろいろな選択肢がどんな割合で選ばれるかは、
それぞれの相対的な人気の高さで決まる。これが基本原理だ。
それに加えて、小さな確率で、人はランダムに選択を行うことがある。
具体的には、人はそれまで誰も選ばなかった
まったく新しい選択を行うことがある。


エージェントは多くの状況における自分の行動の原理として、
他人を模倣することを自ら意識して選んでいるのだ。


ネットワーク効果が働いているなら、インセンティブを変えてやれば
なんだってできるという漠然とした考えに基づく政策が
もっとも有効である可能性は低い


最初に行動を変えるエージェントたちがネットワークで
どのような位置にいるかも重要である。
彼らが互いにとても近いとき、または広く散らばっているとき、
当初のインパクトがネットワークに広がる可能性は高くなる。


どんな意思決定にせよ、意思決定を分散化することで
正しい判断が行える可能性が高まる。







engineer_takafumi at 22:28│Comments(0)TrackBack(0)★一般書の書評 | ⇒ 経済・会計・お金

トラックバックURL

コメントする

名前
URL
 
  絵文字