2015年10月30日

トリーズ(TRIZ)の発明原理40

本日は高木芳徳 氏の
トリーズ(TRIZ)の発明原理40
です。


本書は特許アイデアを効率的に出す方法、考え方を身につけたくて購入しました。


この本で紹介しているTRIZは、ロシア(旧ソビエト)の
特許審査官であったゲンリッヒ・アルトシューラーによって作られた、
発明的な問題解決の理論です。

ゲンリッヒ・アルトシューラーは毎日特許を見ているうちに
「分野が違っていても、
問題解決の手法には共通要素があるのではないか?」
と気づき、何千件もの特許を元に
発明の共通要素の法則化に成功しました。

本書ではこのTRIZの中でも、もっとも肝となる
40の「発明原理」について解説したものです。

そう言うと、少し難しそうに感じるかもしれませんが、
イラストなどを交えて直感的にわかるように配慮されています。

発明と堅苦しく考えなくても、問題解決につまったときに
パラパラめくるだけで、アイデアをくれそうな一冊です。

個人的には、
発明は分析と違うのでMECEでなくて良い(重複があっても良い)
という箇所が心に残りました。


なお、イラストなどで読み易くできているので、
理系の人だけでなく、文系の人にも参考になる一冊です。
むしろ、文系の人の方が、
普段考えていることとのギャップが大きくて
より良いアイデアを出すことができるかもしれません。

この科学的な発明方法というのは、
一回覚えればずっと使えるテクニックですから、
少しでも早く覚えたほうが良いでしょう。



何かの解決策を探している人にはお勧めの一冊です。
この本から解決のヒントを見つけられるかもしれません。




IT・計算機の能力に関しては西側諸国に遅れを多くとっていたロシアが、
軍事や宇宙技術に関しては、アメリカ以外の西側諸国を抑え、
アメリカと拮抗していた裏に、このTRIZがあったという人もいます。


矛盾定義は矛盾分析ではありません。
自分が目の前の問題を、「今回はどのような矛盾として定義するか」
という主体的な姿勢です。


「漏れなく網羅的にチェック」した結果「状況を解決することができない」
ことがわかったとしても「分析としては仕事を果たした」ことになります。
また、MECEだからこそ、全ての分析が完了したと
確認することができます。
一方で、TRIZのような創造的な手法は「漏れなく網羅的にチェックすること」よりも
「優れた解決策を何か1つでも創造すること」を目的としています。


発明原理も、MECEであるよりは、重複があったほうが、
より多くの範囲をカバーすることになり、
より多くのアイデアを生み出すことができるのです。


電子レンジにはたいてい「弱」という機能がついています。
たとえば600Wの電子レンジが200Wの電子レンジとして使えるというものですが、
実際には、600Wの電磁波が1秒出ては、2秒休む、
という繰り返しによって出現しています。


設計や開発、企画の現場で「低○○」という目標が
立てられることがありますが、これを目標としていては、
革新的な解決手法にはなかなかつながりません。
そこで、究極の理想解という考えを使い「低○○」でなく「○○ゼロ」を目指すのです。


削減の対象とした部品について、
a. その部品が提供する機能が必要か?
b. 周りの部品がその機能を果たせないか?
c. 既存のリソースが機能を果たせないか?
d. 低コストの代替品はないか?
e. 動く必要はあるか?
f. 隣と同じ材料にして合体できないか?
g. 組み立て、分解を容易にしているのか?
の順で検討していくものです。


なぜ薄膜が便利なのかというと、薄膜の高さがほとんど無視できるため、
システム全体からすると
「面積としては存在しているが、体積としてはほぼ存在していない」
ことになり、面積と体積の間の矛盾を解決してくれるからです。


「サイズは大きくしたいけれども、重くはしたくない」という
矛盾した要求に対しては<#31 多孔質原理>の適用が勧められています。


夏場の「打ち水」も水が水蒸気になるときの潜熱(気化熱)を利用しています。
逆に、水蒸気から水に戻る際の熱の放出を利用しているのが「蒸し風呂」です。


TRIZの例にしばしば「凍らせる」という解決手段が見られます。
日本で凍らせるとなると相応のエネルギーが必要ですが、
厳寒のロシアでは、ちょっと外に出しておくだけで
凍らせることができるのでしょう。






engineer_takafumi at 20:03│Comments(0) ★理系本の書評 | ⇒ その他の工学

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