2016年08月26日

数学は世界を変える

本日はリリアン・R・リーバー氏の
数学は世界を変える
です。
数学は世界を変える あなたにとっての現代数学

本書は現代数学の古典的名著と聞き、興味を持って購入しました。


本書は第二次世界大戦のさなかの1942年に書かれたものです。
当時まだ教養水準がさほど高くなかった一般の人に、
現代数学の考え方をやさしく説くために作られたそうです。

結果、アメリカのあらゆる世代の人に読まれ、
(戦地の兵士に読ませるため、野戦糧食セットに同梱されたそうです)
いまでも古典として高い評価を受けています。

現代数学はその抽象度の高さが特長であると考えられます。
そのため、非常にとっつきにくく、一般の人に伝えることは
とても難しいことだったでしょう。

しかし、本書はやさしい文章とイメージあふれるイラストで
その難題をうまく解決しています。
さすが半世紀以上の時を越えて、残ってきた本です。
数学の哲学を学ぶために、最適の一冊だと思います。


個人的には、現代数学の抽象性と現代絵画の抽象性が
つながっている、という部分が特に印象的でした。


哲学としての数学を学びたい人にお薦めです。
実際の数学の知識は最小限でも、
抽象的な数学の意義を理解できるでしょう。




数学は素手では歯が立たないよなことをするための
道具なのだから、数学を知れば知るほど生活は楽になる。


「あなたのやっていることは実際何の役に立つのですか?」とか
「平均的な人にとってどういう意味があるのですか?」
などと質問攻めにするのもやめるべきだ。
彼ら自身も分からないのだから。


幾何学で扱うのは、
物理世界に存在する実際のものを抽象化したものである。
そして、抽象化したものだからこそ、近似的でなく正確だ。


数学者は、数学の基礎についてどんどん考えるにつれ、
人間の思考の能力と限界の両方に
思い巡らせるしかなくなってきた。
たとえば、人間にとっての人間の手による「証明」は、
どんな性質を持っているのか?


紀元前300年のユークリッドでさえ、
全ての用語を定義するのは不可能だと気づいていた。
(中略)
どんな思考体系でも一番初めは何も土台がないのだから、
定義されていない用語と証明されていない前提から
出発するしかない。


間違っていることもあるからといって、
直観を頭ごなしに否定するな。
ファラデーなど偉大な科学者のもともとの著作を読めば、
彼らの研究の多くが「直観」から始まったことに
驚かされるだろう。


数学はここ100年で、それまでのすべての世紀を合わせたよりも
大きく発見しているのだ!


幾何学は、基本的な公理から論理を使って定理を導く学問だ。
三角形の「内側」と「外側」の定義が与えられていなかったら、
そのような定義されていないものに基づいた議論は成り立たない。


数学者も苦い経験から、「暗黙」の前提をもとに
議論してはいけないと学んできたのだ。


ある前提を置き、そこから論理を使って、
矛盾を生じさせることなしに別の事柄を導く。
それだけを問題とする。
私の仕事は論理的な思考で何ができるかを見つけることだから、
ある幾何学が成り立つような表面を実際にみつける
という問題にも興味はない。
それはいわば心理学の問題だ。


彼は、どこまでが自由でどこからが野放図なのかを
とてもはっきりと自覚している。
矛盾によって体系を壊してしまうようなものは
何であれ導入することはできないと、
しっかりわきまえているのだ。


たとえ民主主義であっても、民主主義の敵が言論の自由を使って
民主主義を破壊するのを許すのは論理的ではないのだ!


数学者と違って細心の注意を払って考える訓練をしたことのない
多くの人がいいかげんに議論しているさまざまな分野に、
数学は光を当てることができる。
論理的な思考のモデルというものがあって、
みんなそれを真似るよう努力しないといけない。


過去を完全に壊すのでなく、その形を変えて手を加え
新しい要求に合うようにする。


「ばらばら」になった奇妙で現代的なものにたどり着くかもしれない。
でもその奇妙さに怖気づくな。
根深い先入観は奇妙さよりもっと悪いのだ。


どれが1つが絶対的だということはない。
どれも唯一無二の真理を表してはいない。
それでもそのほとんどはとてつもなく役に立つ。


人間は神にはほど遠く
決して唯一無二の真理を知ることはできないだろう。
だから人間は尊大になるのでなく謙虚でなければならない!


人間は、自分の能力を最大限に使うことで
とても立派な結果を出すことはできるけれど、
神の道理でなく自分なりの道理しか持っていないのだから、
決して自分は唯一無二の心理を「知っている」と
得意になってはいけないのだ!


現代物理学では、わたしたちの4次元空間における
OとAという2つの事象の「距離」を考えると、
τを4番目の数字である時刻に関連した値として
√(x^2+y^2+z^2+τ^2)が一定になる。
そして√(x^2+y^2+z^2)は一定でなくなる。


科学者は自分が変わることも覚悟している!
新しい観測結果がでるか
または自分の基本的な説を考えなおすことで
新しい変換を導入しなければならなくなると、
それまでの不変量を捨てて
新しいものに置き換えないといけない。


この小さな本では、
それらをすべて数学との関係で理解できたと思う。
でも代わりに、現代音楽、現代航空技術、現代絵画について
考えてみても、これらの特徴があることに気づくはずだ。


奇妙でばらばらな絵だろうと思うかもしれないけれど、
奇妙さが現代性の特徴だということはもうお分かりだろう。
たとえ数学や物理学でも。


人間の偉業には民主主義が欠かせない
でもその基本的な原理に忠実でなければ
偉業を達成することはできない。







engineer_takafumi at 21:06│Comments(0)TrackBack(0)★理系本の書評 |  ⇒ 数学

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