2016年06月22日

ニュースの"なぜ?"は世界史に学べ

本日は茂木 誠 氏の
ニュースの"なぜ?"は世界史に学べ
です。
ニュースの

最近、世界史の本はあたりが多いので、本書も購入しました。


本書は予備校のカリスマ世界史講師による
社会人向けの世界史の本です。


最近、社会人向けの歴史という
同じようなコンセプトの本は何冊かありますが、
本書の特徴は「今」に注目していること、
学校で習う知識で取りこぼしがちなところに
焦点を当てているということです。

例えば、ウクライナやロシアとヨーロッパとの関係、
イスラム世界にしても、イラクやイラン、クルド人など
ある程度絞ったテーマの中を掘り下げています。

世界史の教科書を勉強しても、「クルド人」とは
といってもほとんど詳細な記述は出てきませんから、
相当世界史に詳しい人でも、詳細まではわからないことでしょう。

しかし、現在ホットな話題である、
ISや中東問題を理解する上で
クルド人の理解は必須なのです。

また、日本人にとってなじみが薄い
宗教についても、かなりページを割いて説明されており
宗教間の対立の本質が理解できるように配慮されています。

さらに、中国やアメリカといったメジャーなテーマでも、
「今」のニュースを正しく理解するために
教科書とは少し違う角度で語られています。

本書を読めば、時事ニュースの理解が
深まることは確実と思います。


特に、ロシア、イスラムなどについて、
勉強したい人が最初に読む一冊としてお勧めです。
現在の状況を理解するために
必要な知識を学ぶことができるでしょう。



イスラム教にも「豚肉を食べてはいけない」という決まりがありますが、
もともとはユダヤ教の律法に由来しているのです。


大工の息子であるイエスを神と認めるか認めないか―。
これが、ユダヤ教とキリスト教の根本的な違いです。
この1点において両者は絶対に相容れません。


「父なる神」と「子なるイエス」、そしてマリアに宿った「精霊」―。
これを「三位一体」といいますが、このように解釈しないと、
キリスト教はイエスの存在を説明しきれないのです。


モーセが語った神の言葉は『旧約聖書』に、
イエスが語った神の言葉は『新約聖書』にまとめられた。
しかし、神はまだ語り終えていなかった。
最後に選んだ預言者がアラブ人のムハンマドであり、
ムハンマドが語った神の言葉をまとめたのが『コーラン』である。
イスラム教徒はこう考えるのです。


イスラム教は、イエスを完全否定することはありません。
「イエスは立派な預言者だった」と考えています。
ですから、イスラム教徒は『コーラン』だけでなく、
『旧約聖書』も『新約聖書』も重んじます。
しかし、ヤハウェが唯一絶対の神ですから、
「イエスを神と呼ぶのはおかしい」というわけです。


中国において、時の権力者を越える権威は存在しないので、
政府の批判はできない。
だからこそ、権力者を倒す唯一の方法が、暴力なのです。


もともとロシア人とウクライナ人は兄弟みたいな民族。
多少言葉は違いますが、同じ系統の言語です。
宗教も同じギリシア正教会、文字も同じキリル文字で、
ギリシア文化の影響を受けています。


クリミア半島をロシアが編入する際に、
「覆面をした正体不明の武装集団があらわれ、
ウクライナ軍基地を襲って武装解除させた。
というニュースが流れました。


ヨーロッパからすれば、ロシアは確かに困った国ではありますが、
一方でパイプラインを通して
安くエネルギーを売ってくれる国でもあります。


イギリスやフランスは、絶対にギリシアをロシア側につけたくない。
だから、ロシアの何倍もギリシアを支援して、なんとかギリシアを
仲間として引き止めようと頑張るのです。


イタリアやスペイン、ポルトガルといった南ヨーロッパの国々が
財政赤字に陥った原因は、彼らが信じる
キリスト教のカトリック教会の教えにあるのです。
(中略)
「金儲けは罪」「教会に寄進をすれば救われる」―
という教えでは、頑張って働いて、お金を稼ごうという
モチベーションが起こりません。


現在、財政赤字に陥っている南欧諸国とアイルランドが
カトリック教国であるのは、偶然ではありません。


プロテスタントの勤勉さこそが、現代の「資本主義」の
バックグラウンドとなっています。


ギリシアからロシアに広まった正教会(東方教会)は、
もともと原罪の意識が希薄なのです。
そういう意味で、「何かを一生懸命やらなければ」
という切迫感が乏しい。


シーア派の思想は、極めて神秘的です。
お隠れになっている5歳の少年が最高指導者(イマーム)
だと信じているわけですから。
合理的なスンナ派からすれば、神秘的なシーア派は
理解しがたい存在です。


私たちから見れば、火あぶりにするのは残酷な行為ですが、
イスラムから見れば、残酷という以上に、
「神への冒涜だ。けしからん」という理屈になるのです。


アラビア半島の豪族であるサウード家と、
イスラム原理主義の源流であるワッハーブ派の融合が
サウジアラビアの起源です。
サウジアラビアという国名も「サウード家のアラビア」という意味です。


平等が第一であるイスラムの教えがあるにもかかわらず、
なぜサウード家は国民の反発を買わずに、
長年、国を維持してこられたのでしょうか。
国民に富を分配しているからです。


適当に引かれた線で誕生したイラクという国には、
南東部にシーア派、西部にスンナ派、北部にクルド人、
というように異なる民族や宗派が混在する結果となったのです。
(中略)
異なる民族や宗派の住民達がいきなり
「今日からおまえたちはイラク人だ」と言われて
できた人工国家。これがイラクです。


フセイン大統領の側近だったアジズ副首相兼外相は、
なんとキリスト教徒でした。
そういう意味で、フセイン政権は非常に世俗的、
脱宗教的な政権だったといえます。


少数民族とはいっても、人口は約3000万人といわれていますから、
ヨーロッパだったらポーランド程度の人口をもっています。
国をもたない世界最大の民族が、クルド人なのです。


産油大国であるサウジアラビアが自分達の儲けを減らしてでも
原油価格を下げる理由は、
ISを本気でつぶすことにあると考えられます。


本気で中東問題を解決しようと思えば、
「サイクス・ピコ協定はおかしかった」
というところから議論を始めなければなりません。


FRBはアメリカの国営ではありません。
ニューヨークの金融資本(JPモルガンやロックフェラー)が
共同出資した、純然たる民間銀行です。
民間銀行が中央銀行の仕事をしているのです。


単に乗り遅れただけなのですが、中国人から見ると、
「アメリカは一度も中国を侵略しなかった、すばらしい国だ」
ということになります。








engineer_takafumi at 22:08│Comments(0)TrackBack(0)★一般書の書評 | ⇒ ビジネスその他

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