2014年08月29日

計算とは何か

本日は新井 紀子 氏、新井敏康 氏の
計算とは何か
です。
計算とは何か (math stories)

本書は東京図書のMath Storiesシリーズを
全部読んでみたいと思い購入しました。

Math Storiesは数学の深いところを、
高校生程度の数学で記述する、
というコンセプトのシリーズで
本書のテーマは「計算」です。


計算をする、というのは、
小学生からしている当たり前のことです。

それを基礎の基礎から徹底的に見直してみる
ということが本書のコンセプトです。

現代社会では「計算」というとコンピュータに任せれば良い、
と思われがちなのですが、コンピュータに任せるには
適切なアルゴリズムを用意しなくてはいけません。

そのアルゴリズムを考察するのが、本書の主題です。


私も大学の授業で、アセンブリ言語による
プログラム実習を行ったとき、
ルートや三角関数などをどうやって計算するか、
という問題に悩まされたことがあります。

計算という技術は初歩的なようで、
現在の情報社会の根幹となっているのです。


個人的には、半ば哲学化した数学の、
「計算できない問題が存在する」とか、
「どのような工夫をしても2つの実数の大小はわからない」
などの結果には驚きました。

純粋数学の世界では、少し足を踏み外せば、
未開(そして永久に開拓されうることはない)の地が
広がっていることを、感じることができました。


プログラミングを本格的に学ぶ人が、
数学のおさらいをするのにお勧めの一冊です。
コンピュータにどうやって計算をさせるか?
その方法と問題点を知ることができるでしょう。





彼らが平方根の計算方法を編み出したのは、
単なる知的好奇心からではありません。
ましてや後世の私たちを計算で苦しめるためでもありません。
それは、測量の必要から生まれた工夫だったのです。


微分係数さえ求めれば、四則演算で近似できる


コンピュータに計算をさせるためには、何よりもまず、
問題を解釈し、それを式にする、
という前操作をする必要があります。


式に変形されたとしても、やはり、
それをどう計算するかのアルゴリズムは
人間がコンピュータに教えてやらなくてはならないのです。


高校までの計算に関する授業は、
実際の計算に困らないようにという側面もありますが、
より重要なのは、アルゴリズムの仕組みを理解し、
新たなアルゴリズムを生み出すことができる
人間を育てることにあるといえるでしょう。


sin15°の値をもとめよ
という問題自体には目的はなく、何か大きな目的のための
計算の途中でたまたま必要になったと考えるのが自然でしょう。
計算をする上で重要なのは、その「より大きな目的」を
見失わないことなのです。


実は、どのような工夫をしても、2つの実数が異なること
(あるいは、等しいこと)を計算によって示すことはできない、
ことが数学的に知られています。


アルゴリズムによって表現されるものは人間の思考の内で
明文化できるものの大きな部分である


数学が将来どんなに発展したとしても、
定義できたり、計算できたりする無理数は、
圧倒的な少数派であり続けます。
そして、残りの無理数は、どうやっても表現できない、
大小さえもわからない数だらけなのです。


計算できる実数に考える対象を限ってしまうと
実数の連続性が成立しなくなってしまいます。
「計算できるもの」に実数を限ると、当初の意図に反して、
かえって不自然な事態を招いてしまうのです。


明確に表現された自然数に関する命題のうち、
それが正しいとも、間違っているとも証明できないものが存在する。


「計算」という概念をはっきりさせたことによって、
それによって解けるということの限界が明確にできた、
つまり「計算」の外に私たちは立つことができた、からです。
その結果、そのすべてを見渡せる場所から、
「あらゆる計算アルゴリズムの裏をかくような関数」を
定義できてしまった、ということでしょう。






engineer_takafumi at 10:59│Comments(0)TrackBack(0)★理系本の書評 |  ⇒ 数学

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