2017年04月07日

最も伝わる言葉を選び抜く コピーライターの思考法

本日は中村禎 氏の
最も伝わる言葉を選び抜く コピーライターの思考法
です。
最も伝わる言葉を選び抜く コピーライターの思考法

本書はコピーライターの本が読みたいと思って購入しました。


コピーライターの本が好きで、何冊か読んできました。
その中に共通して書かれていることは、
質も大事だが、量が非常に大事、ということです。

どれだけ高い能力をもったコピーライターでも、
10本書いて、そこから選ぶ、ということは決してなく、
100本、200本と書いて、そこからNo1を選んでいくのです。

そんな話を聞いて思いました。
これだとコピーというものは、「書く」能力よりも、
「選ぶ」能力の方が本質的ではないのだろうか?

この本はまさに、そんな始まり方をします。
「いいコピーを書いているコピーライター」は
実は「いいコピーが選べるコピーライター」なのです。


実際、新人コピーライターのいいコピーはゴミ箱にある、
なんてことも言われているようです。

ということで、本書ではコピーをどうやって選ぶか、
ということに焦点が当てられています。

個人的には、
ワインの味を見極められるようになる方法、
『SKAT.』を審査員になったつもりで見てみる、
という部分が特に心に残りました。


人の心に響く言葉を書きたい、
と思っている人におすすめの一冊です。
本書を読めば、言葉を選ぶ基準が作れるでしょう。



「いいコピーを書いているコピーライター」は
実は「いいコピーが選べるコピーライター」なのです。


新人コピーライターのいいコピーは、ゴミ箱の中にある


企業の言いたいことを言うだけが、広告コピーじゃないよ


広告なんて誰も見たいと思っていない


コピーライターに必要なのは、文章力ではないと思っています。
必要なのは創造力です。
どれだけ相手のことを思い至れるか。
その思い至る量で、伝わるかどうかが決まるのです。


いいコピーを書こうとせずに、
自分が素直に思ったことをそのまま書けばいいんですよ


いいコピーを書く前に、たくさん書けること。
つまり、柔軟な発想ができること、
視野を広く持つことが大事だということです。


ダメなコピーをいいコピーだと思い込んでいたら、
ダメなコピー目指してコピーのトレーニングをしてしまい、
ますます、いいコピーが書けなくなってしまいますからね。


その時代の隠れた飢餓に命中することが
ヒットではなかろうか


「気づいていなかったけど、言われてみればそれいいね」
ということに気づけると、
人の心に届くコピーが書けるようになると思います。


「どお?カッコイイでしょ?」的なコピーを書くことは、
人を騙そう、ごまかそうとしているんだよ
と指摘されました。


生まれた時から純度の高いダイヤモンドしか
見たことがなければ、ガラス玉なんか一発で「違う」ことが
わかるのでしょう。


例えば、イタリアのピエモンテ地方のバルバレスコ。
それしか飲まなければ、もし他のワインを飲んだ時、
「いつものアレのほうが上等だな」とか
「いつものよりいいなあ」とかがわかる、というのです。
昨日はあの人のおすすめワイン、
今日はこの人のおすすめワイン、というふうに
飲んでいては、いつになっても「基準」がつくれません。


大事なことは、いいコピーを見ることと、なぜこれがいいのか、
自分なりの答えを用意することです。
それが次に書くコピーの大事な指針になるのです。


クリエイティブな仕事とは、
芸術家が「わかる人にだけわかればいい」
作品をつくって発表することじゃなくて、
お客さんに買ってもらったり、好かれたりするには、
どうしたらいいかを「工夫」すること、だと思うのです。


広告コピーという言葉には目的があります。
その目的を明確にしないままに書けるわけがありません。


人から意見を言われて怒ってしまうのは、
自分だけが正しいと思い込んでいるからです。
だから「それは違うと思う」と言われて腹がたつのです。


オリエンの場で、「え!そうだったの!」
と思った話は、広告に使えます。
そうです、コピーライターは、
消費者の最前線にいるんですから。


コピーを書く時、課題について考える前に、
一般の人を観察して、勝手に頭の中で相談するんです。
「どうですか、実際のところ?」と。
生身の人間に下手なことを言ったり、
失礼なコピーだったりすると怒られます。


ビッグデータって日本語で何と訳す?
と聞いたらどうでしょう。
ある人の答えに、ボクは膝を打ちました。
「大量の履歴みたいなもんです。というのです。


制約は発明の父、ですかね。
制約があることで、ホントに大事なことは何か?
が見えてきたりします。


ダメなコピーがあって初めて、
いいコピーが見えてくるのです。
ようするに、ダメなコピーも書けないヤツに
いいコピーは書けない、ってことです。


ボクはコピーを書くことを「掘る」と言ったりします。
地面の中に何か埋まっている。
それを掘り起こすイメージです。
どこに埋まっているか、わからない。
この辺にありそうだ、とか、この辺が面白そうだ、
と思ったら、そのあたりを集中的に掘るのです。


手で考えるというやり方。
つまり、頭で考えないで手を止めないで書き進めるうちに、
ポロッと、無意識の中にあった言葉が出てくるのです。


売り場の空気を吸って、そこにいるお客さんの姿を記憶して、
デスクで書けばいいのです。


稚拙な文章でも本当の本気で書いた言葉には
チカラがあるんだと思いました。


そのコピーの目的を見失ったまま、ぼんやり見ているから、
自分の狭い好みだけで選んでしまうのです。


ボツコピーはただ、自分の状況を言っているに過ぎない。
それがどうした?このコピーを見せられた人に、何の関係があるの?
共感する部分がない。勝手にどうぞ、と言われて終わり。
だからボツ(→なんじゃないかな)。


建前の言葉にはどこか下心のような不純物が混ざっている。
本音の言葉は純粋だから透き通っている。
そう思えるのです。


自分で自分のコピーをけなします。
可哀想ですが、世間の目のほうがもっと厳しいですからね。
少なくとも自分が本当にそう思う、
というコピーでないと世の中では通用しないのです。


小柄な女性は赤ちゃんを抱っこして、
片手には大きな紙袋をいくつも提げている。
実家に帰っていろんなものをもらってきたのでしょうか。
その小柄なお母さんが力強く階段を上がっていくのです。
ボクは後ろからその様子を見ながら、コピーを当ててみます。


広告コピーのターゲットや、
その人のいる風景にコピーを貼りつけてみて、
そのコピーがイケるかどうか、確かめるやり方です。


広告を見る相手は専門家でもありません。
評論家でもありません。
ふつうの人がその広告を見て、どう思うか。
それが大事なのです。
「よくわからない」という答えは、
「そんな広告、どーでもいい」という声なのです。


コピーはこねくり回してこさえるものではなく、
だって、そうじゃん、と言える本当のことを見つけること。
自分の書いたコピーの後に、
「だって、そうじゃん」と言えるかどうか。
自分は本気でそう思っているか、
それは自分の本心なのか、を確かめてみる。


憧れのコピー、
あんなコピーが書きたいなぁと思うコピーがあるなら、
それをどういう時に思いついたかを「勝手に」
想像してみるといいでしょう。
自分でも今まで気づかなかったヒントが
そこにあるように思います。


『SKAT.』を審査員になったつもりで見てみる、
と審査の練習ができます。
(中略)
自分が審査員になったつもりで
グランプリまで決めてみるといいと思います。
それが審査員の意見が同じだったら。
それはもう、あなたにコピーを見る目が
できてきたことになりませんか。


「もしも自分が、○○だったら」と想像してみる。
いろんな職業を想像してみる。
どんな職業であろうとも、その顧客は一般人。
つまり自分もその一人です。
自分がお客さんになって考えてみればいいのです。


本当は何と言いたかったんだろう?と思いを至らせる。
ひと呼吸おいて、相手を思うことで冷静になれるし、
気づかなかった相手の気持ちに気づくことができる、


考えてみれば広告は、知らない人、
会ったことのない人に届けるメッセージです。
そうでなきゃいかんのです。
コピーが人に届いたんだという快感と実感。
この感動こそが、広告というしんどい仕事を
続けさせてくれるエネルギーになっているのかもしれません。





engineer_takafumi at 19:56│Comments(2)TrackBack(0) ★一般書の書評 | ⇒ クリエイティブ

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この記事へのコメント

1. Posted by 中村禎   2017年04月12日 21:45
5 『最も伝わる言葉を選び抜くコピーライターの思考法」お読みいただき、ありがとうございます。コピーライターのために書き始めた本ですが、どんな職業でも共通するポイントがあると思っています。理科系のエンジニアライターの方のお役に立てたとしたら、光栄です。
2. Posted by engineer writer   2017年04月16日 22:51
中村さん、コメントありがとうございます。

これからは理系といえど、語る言葉、特に普通の人と専門分野を結びつける言葉を作ることが大事だと考えています。
そういう意味で、とても学ぶところの多い一冊でした。

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