2017年03月23日

おもかげ復元師

本日は笹原留似子 氏の
おもかげ復元師
です。
おもかげ復元師

本書は知人より、本当にいい本ですと、
勧められて購入しました。


著者は納棺師という職業をされています。
これは亡くなった人を棺に納めるために
必要な作業を行う人です。

遺族が故人とお別れするかけがえのない
時間を作り出す職業といえるでしょう。

それゆえ著者はたくさんの死と
向き合ってきています。

大往生だけではありません。
不幸な事故により命を失ってしまった人。
また、子どもの死は想像しただけでも
つらいものだと思います。

大切な人の死を受け容れられない家族が、
著者がなきがらに笑顔を戻すことにより、
別れと向き合えるようになるのです。
本当にかけがえのない仕事です。

特に、東北の震災の際には、
300人以上のなきがらをボランティアで
復元されたということです。

皆が極限状態にある中で、
復元された少女のなきがらを
かわいい、かわいいと言いながら
何回も見ていた方の話が印象的でした。

著者は希望を与えていたのです。


大切な人を亡くした人に読んで欲しい一冊です。
著者の言葉から、その出来事の意味を
つかめるかもしれません。




死化粧というと、化粧で変える、作る、
というイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、
そうではありません。
あくまで、戻す。だから、復元なのです。


亡くなった人も傷つくと血が出てきます。
しかも、止まりません。
亡くなった人は、かさぶたを作る機能が
止まっているからです。


硬直はご本人が元気であった証拠なんですよ


交通事故のなきがらも、自殺でひどい状態のなきがらも、
最初に身体の汚れを洗ってくれたり、
ウジ虫を退治してくれたりするのは、
警察の方々なのです。


言葉に出すことで、人は心の整理ができます。
言葉には、そういう力があります。


こういうとき、お父さんはなかなか近寄れません。
現実をすぐに受け容れることが難しいのが男性なのです。
お母さんからお父さんになきがらを手渡してもらい、
ようやくだっこしてもらうことができました。


死は、亡くなったご本人が、身をもって
愛する家族に最後に大事なことを教えてくれる機会。
学びのチャンスでもあるのです。


死は不幸なことじゃない。
死に携わる仕事をしている人は、みんなそれを知っています。


ある納棺に行くと、
三人の小学生くらいのお子さんたちは一見、
まるで普通に見えました。
これは危ない、と思いました。緊急事態です。
まだ死を受け容れられていない。


事故死や自殺で、死後長時間が経過したなきがらは、
納体袋から出さずにそのまま棺に入れられ、
家族と対面することなく火葬されることも
少なくありません。
(中略)
しかし、そうはしないのがわたしの主義です。
なぜなら、絶対に最後にいいお別れをしてほしいから。
在りし日の姿を見れば、
家族はちゃんとお別れがいえるのです。


お父さんの目から、大粒の涙がこぼれ落ちました。
でも、泣くことが、大事。泣けることが、必要です。
そのために、復元があるのです。


お子さんには、たくさん話しかけて、
たくさん触らせてあげてください。
感情を思いっきりぶつけるのが、
子どもにとっては何より大切なことです。


「これはちがう。こんな顔じゃない」
と、もし誰かにいわれたら、
復元ボランティアはやめようと思っていました。
でも、一度もそういうことはいわれませんでした。


子どもって、本当にすごい。
亡くなっても、微笑んでそこに横たわっているだけで、
癒されるのです。
安置所に詰めていた警察の方は、見回りをしながら、
何度もふたを開けて見ておられました。
かわいい、かわいい、と。


忘れたくても、忘れられるはずがないのです。
こんな一言が、どれほど酷なことか。
無責任に投げかけられる言葉に、
家族はさらに傷つき、ショックを受ける。
そんな事態が広がっていました。


人は、本当は強い。
亡くなった人を大切に思うからこそ、
必ず立ち上がれる瞬間が、みんなにあるのです。


早く立ち直って、いつも通りに振る舞わないといけない、
などと思う必要はありません。
時間をかけて、一緒に過ごした時を思い、
大切な人の存在をしのぶ。
そして、ゆっくり、じっくりと、
新しい生活に入っていけばよいのです。






engineer_takafumi at 00:42│Comments(0)TrackBack(0)★一般書の書評 | ⇒ その他の本

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