2017年06月07日

東芝解体 電機メーカーが消える日

本日は大西 康之 氏の
東芝解体 電機メーカーが消える日
です。
東芝解体 電機メーカーが消える日 (講談社現代新書)

私は日本の半導体業界に勤めているので、
よくわかっていることなのですが、
日本の電気業界は酷い状況になっています。

日本の半導体の最後の砦であった、
東芝のフラッシュが原子力のあおりを受けて
売却されそうな状況に陥っており、
事実上、半導体の先端技術は
日本から消え去ることになりそうです。

また、シャープや東芝の危機に比べると、
日立、ソニー、パナソニックなどは
まともに見えますが、テレビなどの失敗から
抜け切れておらず、病み上がりの状態です。

さらにNEC、富士通といった旧電電ファミリーも
グローバルではZTEやファーウェイなどに
全く歯が立たない状況です。


惨状を嘆いていてもはじまらないので、
何が悪かったのか、何が失敗したか
総括しなくては次につながりません。

本書は日本の敗戦を記した名著「失敗の本質」の
総合電機版と言われています。

著者の主張では根本の間違いは、
国に保護されすぎていて依存体質になっていた、
総合電機なので一つ一つの事業に対する
本気度が低かった、ということです。

業界にいる私からみると、
細部に事実誤認なども見られますが、
失敗の構図自体は変わらないと思います。

失敗から謙虚に学んでこそ、
次の未来が開けてくるのです。


日本企業の経営者には一読して頂きたい一冊です。
同じ失敗は繰り返してはいけません。






なぜ日本の電機大手は、半導体や家電や携帯電話で
トップの座から転がり落ちてしまったのだろうか。
一言で言えば、それらの事業が各社にとって、
絶対に負けられない「本業」では
なかったからである。


NECの西垣浩司社長(当時)は撤退を決めた理由を
「ボラティリティー(業績の不安定さ)の高い
半導体ビジネスのことは、私にはよく分からない」
と説明した。


日本の電機大手にとって、半導体事業は、
いわば「副業」に過ぎなかった。
実際、何千億円と投資を行った上で惨敗し、
半導体から手を引いたNECや日立は
その後も潰れることはなかった。


NECなどの携帯電話メーカーが直接接する顧客とは、
最終消費者ではなく、
ドコモのような通信会社なのである。


ドコモが本気でスマホに取り組むまで、
日本メーカーは動くに動けなかったのである。


2兆円の資金を持つ産業革新機構は、
またの名を「経産省の隠しポケット」ともいう。
ベンチャー支援、技術振興を隠れ蓑に、
経産省が産業政策を進める上で必要な「実弾」を
供給するのがこのファンドの役回りである。


国家プロジェクトに対抗するような研究・開発を
単独で進めれば、国策に背いているようで、具合が悪い。
「すぐにビジネスにならない難しい研究はお上に任せよう」
という甘えが生まれた。


「半導体で負けても会社は潰れない」
というモラルハザードを生んだ


NECの時価総額は実に6800億円。
16年前の5分の1という惨状に陥っている。
この成績でトップに「60点」と自己採点されたのでは、
株主はたまらない。


通信自由化が始まってからこれまで、
NECには30年という時間の猶予があった。
だが、その間、関本以降の経営者は誰一人として、
通信機器に代わる新規事業を育てることができなかった。


堺工場を手に入れたホンハイは、
米新興テレビメーカーのビジオなどに販路を広げ、
わずか数年でSDPを黒字化してしまった。
作る力と売る力のバランスが
いかに大切かがわかるだろう。


無駄なプライドの虜になって
巨額赤字に沈む大手電機メーカーを尻目に、
電子部品メーカーがしぶとく利益を上げているのは、
常に勝ち馬に乗るしたたかさを
持ち合わせているからだ。


当時のサムスンが恐れていたのは、
シャープが液晶テレビの海外生産に乗り出すことだった。
シャープとサムスンの液晶パネルの
画質の違いは一目瞭然。
それを中国で安く作り、新興国の店頭に並べられたら、
サムスンに勝ち目はない。
液晶技術で追いつくには数年の猶予が必要だった。


大塚価格がJDIにとって「肉を切らせて骨を断つ」、
すなわち捨て身の戦法であったことは
JDIの決算から窺い知ることができる。
シャープからシャオミという大魚を
奪ったにもかかわらず、2015年3月期は
122億円の最終赤字だったからだ。
このJDIの捨て身の戦法からは、
一つの推論が浮かび上がる。
大塚価格の目的はJDIの業績を伸ばすことでなく、
シャープを追い込むことだったのではないだろうか。


永守とテリー ―
共通の危機感を抱く二人の創業者が、
シャープという企業を触媒に
手を組もうとしているのだとしたら…。


平井が目指す方向に進めばソニーはもはや
「電機大手」ではなくなる。
だが、それは決して悪いことではない。
むしろ「電機大手」の群れから抜け出すことが、
ソニーが生き残るための道である。


インターネットが普及した1990年半ば以降に生まれた
「デジタル・ネイティブ世代」にとっては、
ネットにつながらないテレビなど
「なくてもいい」製品なのである。


半導体やAVが目立ったのは時代の趨勢であり、
フィリップスはずっと「医療」という、
もう一つの柱を持ち続けていたのである。


三菱電機は独シーメンス、米ロックウェルと並び、
「シーケンサー」に代表される制御機器や
通信ネットワークで事実上の業界標準を握る
「世界3大FAメーカー」の一つに数えられる。


三菱電機の株式時価総額は
2017年1月13日時点で約3兆5000億円。
約3兆1000億円の日立製作所、
約2兆9000億円のパナソニックを抑え、
約4兆4000億円のソニーに次ぐ
電機大手の2位につけている。


「勝てるところで勝つ」を実践してきたのは、
三菱電機だけではない。
欧州の電機大手も同じ戦略でサバイバルしている。


日本の総合電機で唯一、
当たり前の経営を実践した三菱電機は、
その結果として「機械メーカー」に変身した。
やはり日本の「総合電機」は「壊滅」したのである。


ウェスチングハウス(WH)やアレバは火の車。
その火消しを日本の東芝と三菱重工が
引き受ける構図になっている。
ゼネラル・エレクトリック(GE)の
肩代わりをさせられている日立の危機は
まだ表面化していないが、
日立だけが無傷というのも考えにくい。







engineer_takafumi at 22:26│Comments(0)TrackBack(0)★一般書の書評 | ⇒ 経営

トラックバックURL

コメントする

名前
URL
 
  絵文字