2017年06月30日

技術は戦略をくつがえす

本日は藤田 元信氏の
技術は戦略をくつがえす
です。
技術は戦略をくつがえす


日本ではあまり大きな声で語られることはありませんが、
軍事には技術を発展させる強い力があります。

なぜなら、コストとか消費者の志向などに
左右されることなく、
純粋に技術を追求することができるからです。

そこからイノベーションが起きて、
科学技術の発展がもたらされてきたのです。

例えば、ナビに使われるGPSやインターネットの技術など、
現在の生活を便利にしてくれている技術の多くが、
元は軍事用途として開発されています。


本書は防衛省の技官として、
自衛隊の装備品の創製に従事する著者が
戦略と技術の関係について説きます。

中身は軍事の例ばかりではありますが、
孫子の兵法のように、
マーケットという戦場に繰り出すビジネスマンにも
役立つ一冊となっていると思います。

個人的には、
対戦車戦において、対空砲を転用して勝利した、
アラスの戦いの話が印象に残りました。


ネットなど、技術を利用したビジネスをしている
経営者の方にお薦めの一冊です。
技術をどう活かすか、ヒントが得られるでしょう。



技術への理解なくして、戦略を立てることはできない


優れた技術は、実現可能な段階に達した技術と、
それを生かす新戦略が出会ったときに生まれる


強者にとっては、戦力の分散を防ぎ、
戦力を集中することが勝利の鍵であり、
弱者にとっては、敵の戦力の集中を防ぎ、
一時的に有利な状況をつくりだせる小さな単位で
敵を各個撃破することが勝利の鍵となります。


ナポレオンが活躍できた背景の一つは、
ナポレオン自身が軍隊の花形であった騎兵ではなく、
高度な技術への理解と熟練を要する大砲の専門家である
砲兵を選んだ点にあったと考えられます。


軍事用語ではInformationとIntelligenceは
「評価」というプロセスを経ているかどうか、
で区別されます。


優れた要素技術をシステム化することで
大きな成果を生む


将来の可能性を秘めた萌芽段階の技術を見つけ、
育てたものが勝つ


複数の案がある場合、技術的な長所を生かすため、
あえて結論を絞り込まない方がよい場合がある


一見無関係に見える技術が、
システムに大きな進歩をもたらすことがある


問題を別の技術で解決した方が早い場合がある


技術には、開発者の意図する範囲外に、
有効な使い方が存在する場合がある


アラスの戦いにおいて、イギリス軍戦車部隊の強襲から、
第7装甲師団の危機を救ったのは、
戦車でも対戦車砲でもなく、対空砲でした。


機能への理解が深い者が、
既存技術そ活かし戦いを制する


科学者および技術者が採用したアプローチは、
大砲の弾に改良を加え、
「直撃しなくてもいい弾」をつくる、
というものでした。


新技術の提案には適切な時期がある


既存の組織の枠組みにとらわれてはならない


技術は先に普及させたものが勝つ


パンジャンドラムの開発中止という決断は、
サンクコストの罠を脱した好例、
と捉えることもできるのではないでしょうか。


アメリカは、ドイツ人科学者と技術者を
戦争犯罪人として裁き、復讐することよりも、
自国の軍事力強化のために活用することを
選んだのです。


1947年9月9日、ホッパーとその同僚は、
ハーバード大学に設置されたASCC MARK2を
点検していたところ、パネルFの70番リレーに挟まり、
正常動作を妨げていた一匹の蛾を発見しました。
(中略)
プログラムの誤りを示す言葉として、
「バグ」が定着したということです。


我が軍は、指揮と練度では決して劣らなかった。
しかし、技術で負けたのだ。




engineer_takafumi at 16:10│Comments(0)TrackBack(0)★理系本の書評 | ⇒ その他の理系本

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