2017年07月27日

コンビニ人間

本日は村田 沙耶香氏の
コンビニ人間
です。
コンビニ人間

本書は村田 沙耶香さんが
芥川賞を受賞した作品です。

ふとしたところで、一部分を読むことがあり、
それが面白かったので、買って読むことにしました。


世間と全く異なる価値観を持つ主人公が、
コンビニ店員として生きる日常を描いた一冊です。

就職も結婚もせず、
36歳までコンビニでバイトを続ける主人公に
普通を押し付ける社会をこっけいに描きます。

ギャク漫画を読んでいるような面白さと、
強烈な皮肉への爽快感を味わいました。

周りがいくら騒いでも、
主人公だけは何も影響を受けず淡々としているのです。


世の中には、主人公のような人間もいるかもしれませんが、
それならそもそも、周りに合わせようとも考えません。

そのあたりが、リアルな日常を描く中で、違和感となり、
小説に強烈なインパクトを与えています。


個人的には、
白羽さんのダメっぷりが印象的でした。
全く救いがなく、いままで小説で
これだけダメな人間を見たことがありません。
そのダメさを描ける著者の描写力に驚かされます。


『常識』が嫌いな人にオススメの一冊です。
これでもか、と『常識』の不自然さが強調されるので、
快感を感じることができるでしょう。




皆口をそろえて小鳥がかわいそうだと言いながら、
泣きじゃくってその辺の花の茎を
引きちぎって殺している。


小鳥は、「立ち入り禁止」と書かれた柵の中に
穴を掘って埋められ、
誰かがゴミ箱から拾ってきたアイスの棒が
土の上に刺されて、花の死体が大量に供えられた。


完璧なマニュアルがあって、
「店員」になることはできても、
マニュアルの外ではどうすれば普通の人間になれるのか、
やはりさっぱりわからないままなのだった。


泉さんを見本にしているのだから
趣味が合うのは当然でもある。
周りからは私が年相応のバッグを持ち、
失礼でも他人行儀でもないちょうどいい距離感の
喋り方をする「人間」に見えているのだろう。


泉さんと菅原さんの表情を見て、
ああ、私は今、上手に「人間」ができているんだ、
と安堵する。


子供の頃スコップで男子生徒を殴ったときも、
「きっと家に問題があるんだ」と根拠のない憶測で
家族を責める大人ばかりだった。
私が虐待児だとしたら理由が理解できて安心するから、
そうに違いない、さっさとそれを認めろ、
と言わんばかりだった。


でも、変な人って思われると、
変じゃないって自分のことを思っている人から、
根掘り葉掘り聞かれるでしょう?
その面倒を回避するには、言い訳があると便利だよ


興味深いので私は見下している人の顔を見るのが、
わりと好きだぅった。あっ、人間だという感じがするのだ。


何かを見下している人は、特に目の形が面白くなる。
そこに、反論に対する怯えや警戒、
もしくは、反発してくるなら受けてたってやるぞ
という好戦的な光が宿っている場合もあれば、
無意識に見下しているときは、
優越感の混ざった恍惚とした快楽で
できた液体に目玉が浸り、
膜が張っている場合もある。


僕は確かに今は仕事をしていないけれど、ビジョンがある。
起業すればすぐに女たちが僕に群がるようになる


さっきまで文句をつけられて腹をたてていたのに、
自分を苦しめているのと同じ価値観の理屈で
私に文句を垂れ流す白羽さんは支離滅裂だと思ったが、
自分の人生を強姦されていると思っている人は、
他人の人生を同じように攻撃すると、
少し気が晴れるのかもしれなかった。


コンビニ店員にとって、いつも130円のからあげ棒が
110円のセールになるということより、
店員と元店員のゴシップのほうが
優先されるなんてありえないことだ。
二人ともどうしてしまったのだろう。


じゃあ、私は店員をやめれば治るの?
やっていた方が治ってるの?
白羽さんを家から追い出したほうが治るの?
置いておいたほうが治っているの?
ねえ、指示をくれればわたしはどうだっていいんだよ。
ちゃんと的確に教えてよ。







engineer_takafumi at 23:39│Comments(0)★一般書の書評 | ⇒ 小説

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