2017年08月03日

人類の未来を変える核融合エネルギー

本日は核融合エネルギーフォーラムの
人類の未来を変える核融合エネルギー
です。
SUPERサイエンス 人類の未来を変える核融合エネルギー

核融合について勉強しようとした時、
日本語の本は思いのほか少ないようです。

この本は2016年刊行と比較的新しいので、
なるべく新しい知識を得るために購入しました。


本書は核融合発電の原理から、
プラズマの制御方法について、
実現に向けての課題、開発の歴史と
一通りの知識が学べます。

大学の初級程度の物理の知識があれば、
理解できる内容となっており、
読みやすいです。

また、燃料はどうするのか?
安全性は?放射性廃棄物は?といった、
実用化に際して、普通の人が疑問を抱きそうな点
について丁寧に説明されています。

核融合は技術的なハードルが高いという
問題点があるものの、
実用化された時のインパクトが非常に大きいので
ぜひ、一人でも多くの方に知って頂きたいと思いました。


エネルギー問題に興味がある方には
お勧めしたい一冊です。
究極のエネルギーとしての
核融合についてコンパクトに学べます。




核融合炉の燃料は、ウランでもプルトニウムでもなく、
水素です。
核融合反応は、太陽の中で起きている現象と同じです。


燃料の水素は、普通の水素とはちょっと違う
「重水素」という水素です。
水素のほかに、リチウム(化学記号Li)も燃料に使います。


学術的には「水素は2次エネルギーである」
という言い方をします。
2次エネルギーとは、外部で作ったエネルギーを蓄積(蓄電)、
または、その形態を変換したエネルギーという意味です。


核分裂が常温でも起こるのに対し、核融合は常温では起こらず、
1億度という高温が必要になります。


核融合燃料の重水素は、海水中にあります。
重水素を含む水(「重水」と呼ばれます)の形で
海水の0.0158%を占めます。
少ないようですが、世界中の海には50兆トンもあります。
「エネルギー源として具体的に何年分なのか?」
と聞かれるなら、
「地球の寿命より長いくらいである」
と答えておきましょう。


三重水素のほうは、核融合反応で出てくる中性子を利用して、
リチウムを原料にプラント内部で生産します。
幸いにして、リチウムも海水中にたくさん含まれているので、
重水素とリチウムを海水から抽出すれば、
燃料が尽きることはなく、核融合でエネルギーを供給できます。


ヘリウムは核融合炉1台から年間100〜200kg程度
出てくると思われます。


核融合では、中性子の大部分をリチウムから三重水素を
作るために利用しますが、
一部の中性子は核融合反応容器を作る金属などに吸収され、
放射性物質を作ります。
したがって、核融合でも放射性廃棄物は完全にはなくせません。


容器を作る材料を吟味しておけば、
高レベル廃棄物にならないようにはできます。
その管理すべき時間を短くすることも可能なので、
放射能の危険度を100年で100万分の1の
レベルまで落ちるようにできます。


どんなに悪い方向に考えても、
核融合炉の延長上には核暴走も核爆発もありません。


この地上で核融合をもっとも起こさせやすいのは、
重水素と三重水素の反応です。


軽くなった分の質量はどこに消えたのか?
実は、それは反応後の粒子の位置エネルギーに変換されたのです。


太陽では、電子と原子核(太陽の場合は水素なので陽子)が
自由に運動している状態であり、これを「プラズマ」と呼びます。


太陽表面の約6000度では温度が低すぎて核融合反応は起こりませんが、
太陽中心の1600万度くらいになると、
ゆっくりですが核融合反応が起こります。
したがって、太陽では中心部のみで核融合反応が起こっているのです。


蛍光灯のプラズマ温度が1万度と聞くと、
それを閉じ込めている容器(ガラス管)は
すぐに溶けてしまうのではと考えがちですが、
容器が溶けるかどうかは、温度に加えて、
その温度の粒子がどれくらい多いか、
すなわちエネルギー密度がどの程度であるかによります。


プラズマ推進は、従来の化学燃料による推進に対して
電気推進による方法で、太陽電池などで生成した電気エネルギーで
推進剤をプラズマ化してジェット状に噴出させ、
その反力で推力を得るものです。


核融合炉としてエネルギーを取り出すためには、
「熱」核融合であることが必要です。
熱核融合とは、温度が十分に高く、
かつ閉じ込められたプラズマにより
核融合反応が起こるということです。


太陽より大きな天体は、その中心温度がさらに高いため、
ヘリウムより重いリチウム、ベリリウム、ボロン、炭素などの
元素を生成する核融合反応が起こっています。


1億度のプラズマを容器に触れないよう
空中に浮かせて保持しなければなりません。


「磁力線で編んだかご」でプラズマを閉じ込める


プラズマを閉じ込める性能は、現在のところ、
閉じ込め時間やイオン温度などのプラズマ性能の点で、
トカマクのほうがヘリカル方式より優れており、
世界の多くは、このトカマクを採用して研究開発を行っています。


プラズマ同士の衝突過程を介して熱が伝わる理論は
ほぼ確立しているのですが、
現実のプラズマは、まさに大気の運動のように
乱流状態になっている


中性ビーム入射加熱は、35度のお風呂に沸騰した100度の熱湯を
注いで40度くらいの適温にすることにたとえられます。
ここで100度の熱湯に相当するのがビームです。


イオンに高電圧を加えて加速すれば
高エネルギービームは生成できますが、
イオンビームのままプラズマに打ち込もうとしても
プラズマのまわりには磁場があるので、
磁場に跳ね返されてしまい、
プラズマビームの中に入っていけません。
そこでイオンビームを、打ち込む途中で電気を帯びていない
中性ビームに変換してからプラズマに入射します。


エネルギー生産システムとして核融合装置をとらえると、
核融合反応で発生する中性子を受け止めて
その運動エネルギーを熱エネルギーに変え、
発電のための水やヘリウムガスなどの
冷却用熱媒体に伝えることと、
天然にはごくわずかしか存在しない燃料の三重水素
(トリチウム)を生産することが必要となります。


ITERでは、約1000万度のプラズマに1000倍くらい
高いエネルギーの粒子約5×10^20個を数百秒注いで
1億度のプラズマを作ろうとしています。


中性子が核融合エネルギーの80%を持って
プラズマの外に出てきますので、
私たちはそのエネルギーを利用できます。
ブランケットとはそのための装置です。


ブランケットの中に冷却流路を作って、
水やヘリウムなどの冷却材を流して
この熱を核融合炉の外に取り出します。
こうして取り出した熱で発電タービンを回すことにより、
核融合エネルギーを人間に利用できる
電力にすることができます。


ブランケットにはもうひとつ重要な働きがあります。
それは、核融合炉の燃料である三重水素をつくるということです。


ブランケットにはさらにもうひとつ役目があります。
それは磁場発生用超伝導コイルを中性子から守る
(中性子を遮断する)ことです。


ブランケットは接合部分が数百ヶ所もある
複雑な構造をしていますので、
ろう接で作るのは難しいのです。
そこで、金属の面同士をしっかり合わせて高温にすると、
ふたつの金属がくっつく「拡散接合」と呼ばれる
方法が採用されています。


資源的な制約がない核融合炉は、いったん実用化されれば、
次第に増設されていき、大きな電力や水素などが
提供可能な基幹エネルギーになっていくと思われます。


核融合炉が実用化され、石炭火力発電所の代わりに
核融合で発電することができれば、
1kWの電気を1時間発電するごとに、
約1kgの二酸化炭素が減らせるという計算になります。


核融合炉に搬入される燃料が重水素(非放射性)と
リチウム(非放射性)のみであるという点です。
核融合炉内で反応を起こすのは三重水素(放射性)ですが、
それはリチウムから自己生産するので、
運用中に燃料として搬入する必要がないのです。


「プラント内で閉じ、かつ放射性燃料の移送がない」
という核融合ならではの特長は、
かなり大事なポイントになり得るはずです。






engineer_takafumi at 01:34│Comments(0)★理系本の書評 | ⇒ 原子力・放射能

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