2017年09月20日

ドキュメント トヨタの製品開発

本日は安達 瑛二 氏の
ドキュメント トヨタの製品開発
です。
ドキュメント トヨタの製品開発: トヨタ主査制度の戦略,開発,制覇の記録

本書はマークII、チェイサー、クレスタと
トヨタの一時代を築いた三兄弟を
主査付として担当された著者による
開発の回想記です。

トヨタの主査制度は、
「主査」という絶対的な権力者の元に
新車開発を進める方法として有名です。

製品開発は合議だけでは成り立たず、
本当に良いものをつくるためには、
ある意味、独断的に仕事を進める必要もあります。

そんな中で生まれてきたのが主査制度なのでしょう。


本書では、著者がドキュメンタリー形式で
製品開発の流れを記しています。

かざらない生の記述なので、車の専門家でなければ、
意味をつかむのも難しいと思いますが、
それでも開発の空気感や雰囲気は伝わってきます。

1970年代の話になってしまうので、
直接役に立つ知識は得られないかもしれません。
しかし、製品開発を疑似体験できるという意味で、
大きな価値を得ることができます。

あとがきで、
「全体から細部にまで深く関与できた最後の世代かもしれない」
という記述がありますが、現在の車は電子制御など、
個別技術が進化しすぎて、一人で扱うことは難しいのでしょう。

そんな中で、本書は貴重な記録として輝き続けるのです。


ハードの製品開発に携わる方にお勧めの一冊です。
製品開発の原点が学べることでしょう。



担当車種に関しては、主査が社長であり、
社長は主査の助っ人である


主査は、たとえそれが主査の意思に反していても、
主査付の発言・行動とその結果についての責任を負う。
そのため、日頃、主査は自分の意思・方針・見通し・考え方を
主査付に周知徹底させておく、主査付はそれを理解し、
予想される問題についての主査の考えを事前に打診しておく。


主査は直属の主査付を除く製品開発チームのメンバーへの
人事権も命令権も持たず、
「説得・調整する権利」だけを持つので、
主査は「なぜそれが必要か」、
「なぜその成功確率が高いと予想できるか」
をひらすら説くしかない。


主査に命令権を与えない理由は
「主査の提案が妥当なものであれば必ず相手が納得するはずで、
主査が誠心誠意説得すれば必ず相手が心動かされるはずである」
にある。


設計では頭(論理)よりも腹(勘と決断力)で仕事をする


新車広告は男子中学生の認知度が90%を超えたら大成功なんだ。
中学生が買ってくれるわけではないが、
そのくらい話題になっていると、
ターゲットの顧客にも十分認知されていると考えて良い


発売後の実際の購入層は製品開発におけるイメージユーザよりも
5〜10歳ほど高目になることも多いが、それはかまわない。


顧客は、造ることにかけては素人でも、
買うことにかけてはプロなのだ。
商品からにじみ出る何か、きっと商品コンセプト、
を見抜いて選択するに違いない。






engineer_takafumi at 23:31│Comments(0)★理系本の書評 | ⇒ その他の工学

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