2017年09月07日

量子コンピュータが人工知能を加速する

本日は西森秀稔 氏、大関真之 氏の
量子コンピュータが人工知能を加速する
です。
量子コンピュータが人工知能を加速する

物理を学んだものからすると、
量子コンピュータは大きな魅力があります。

理論を学んだにもかかわらず、
どことなく別の世界のように感じる量子力学を
目の前に見える形で、社会に役立たせられる
という意味で人を惹きつけるのでしょう。

量子コンピュータを実現する方法は
いくつか提案されていますが、
本書ではその中で「量子アニーリング」を取り上げます。

というのも、著者の西森氏はこの量子アニーリング
の提唱者の一人だからです。

「量子アニーリング」は現在商用化している会社がある
(カナダのD-wave社)、人工知能への応用が可能である、
ということで、現在有力視されています。

夢物語であった量子コンピュータも、
開発がここまで進んでいるのだと、
ワクワクさせられる内容でした。


また、量子コンピュータの本というと、
とにかく難解なものが多いですが、
本書は応用よりの話に触れられていたり、
文字数が少なめだったりして読みやすかったです。


量子コンピュータについて学びたい
一般の方にお勧めの一冊です。
これなら最後まで読むことができるでしょう。



量子アニーリング方式の量子コンピュータが注目されているのは、
それが「人工知能」に応用できるという期待によるところが大きい。


D-Waveの量子コンピュータは、ある特定の目的でしか使えない。
その特定の目的とは、「組み合わせ最適化問題」
を解くというものである。


2013年からD-Waveマシンを導入して本格的な研究を始めたグーグルは、
2014年からは量子ゲート方式のハードの研究に着手した。
そして2016年6月には、独自に量子アニーリング方式の
量子コンピュータを開発していることを明らかにしたのだ。


複雑な地形の土地で最も低い場所を探すときに、
降った雨が自然と低い盆地に集まることで
答えがわかるようなものだ。
(中略)
普通の雨水の場合と違うのは、
量子アニーリングでは1番ではなく2番目に
低い盆地に水が集まってきたとき、
そこに留まらずに立ちはだかる山の下に
量子力学の力でトンネルを掘ってすり抜けて
1番目に移ることが可能なのだ(量子トンネル効果)


量子アニーリングは本来、厳密解を得るためのアルゴリズムである。
それを利用した量子コンピュータを作ったのであれば、
きっちりと「厳密解」が得られなければ
「成功」とは言えないと思う人もいるだろう。
だがそれは狭く考えすぎた。
多くの近似解を短時間に出力するのに使える
サンプリング用のマシンと見れば、失敗を別の方向へと行かせる。


「量子アニーリング」はもともと、
社会の役に立つかどうかは意識しない、
純粋に学問的な興味から生まれた。
本当に大きなブレークスルーは、損得勘定などをはるかに超えて、
我を忘れて没頭する集中力の中から生まれてくる。
その成果が、結果として思わぬところで役に立つことがあるのだ。







engineer_takafumi at 23:54│Comments(0)★理系本の書評 | ⇒ コンピュータ・情報科学

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