2017年12月09日

メンタルヘルス・マネジメントの教科書

本日は清水隆司 氏の
メンタルヘルス・マネジメントの教科書
です。
人事担当者・管理職のためのメンタルヘルス・マネジメントの教科書

本書は出版関係者の方よりご献本いただきました。
オトバンクの上田様、ありがとうございました。

本書は産業医として長年キャリアを積まれ、
現在は産業保険コンサルタントとしても
活躍される著者による一冊です。

労働力の減少もあって、
メンタルヘルスへの認識が広まっています。

しかしながら、仕事のOA化、正規・非正規社員の混在、
コミュニケーションの希薄化など、
メンタル不調の社員の発見が困難になっています。

この中で、どのように社員のメンタルを保つか、
休職や職場復帰をどのように行うか、
というテーマについて書かれたのが本書です。


本書では「精神科主治医」と「産業医」の
違いについて強調されています。

精神科主治医は患者の病気に集中すれば良いですが、
企業に雇われる産業医は、職場環境や職場の負担も考慮し、
最適解を判断するのです。

企業経営者や管理職に必要なのは、
当然後者の視点でしょう。

産業医としての経験に裏打ちされた知識は、
メンタルヘルス問題に直面したときに
必ず役に立つことでしょう。

個人的には、
睡眠のとり方の部分が参考になりました。
これは健常者にもあてまることでしょう。


管理職の方はもちろん、
会社勤めの人なら確実に読む価値のある一冊です。
メンタルにどう向き合えば良いのか、
予備知識を持つことができるでしょう。





「うつ病」は、まさに精神的な不調、
すなわち脳の使い過ぎによる疲労が原因で発症するものなのです。


コミュニケーションとは、話し手の意図に関することでもなく、
正確な言葉を話すことでもない。
それは聞き手の中に一つの経験を作り出すことであり、
聞き手から反応を得ることである


いつも元気な人が元気でなくなった場合だけでなく、
いつも静かな人が明るく元気になった場合も注意が必要です。


メンタルヘルス不調になると、
普段の性格や行動が反転することを知っておく必要があります。


気をつけたいのは、
「そこに相談する人はメンタルが弱っている」
という印象を与えないようにする、ということです。


メンタルヘルス不調に限らず、
社員の体調不良には兆候があります。


普段とは異なる「有給休暇取得」の申請には
注意しておいた方がいいでしょう。


つまらないミスが頻発するようになったり、
ちょっとしたことで怪我をするようになったりする場合です。
メンタルヘルス不調の人は、自分では気をつけているつもりでも、
集中力を欠いてしまっているために、こういうことが起こるのです。


顕著に表れるのは残業時間です。
仕事のパフォーマンスが上がっていないにも関わらず、
残業時間ばかりが増えている場合は、
メンタルヘルス不調を疑った方がいいかもしれません。


寡黙な人が饒舌になったり、
従順な人が文句を頻繁に言うようになったりなど、
普段の行動が反転したらメンタルヘルス不調を
疑うようにしてください。


うれしいことや楽しいこともストレッサーになります。
直近1年間に仕事や生活で大きな出来事が3つ以上起きている場合は、
要注意と考えましょう。


うつ病が脳神経系の疲労だとすると、治療には、
何が必要になると考えられるでしょうか。
それはズバリ、「寝ること」と「休息する」です。


「休むこと」と「寝ること」を同じと勘違いしている人がいますが、
それらは明確に異なります。
たとえば、休暇をとってゲームをするのは、
たしかに「休んでいる」と言えるかもしれませんが、
脳の休息にはなりません。


緊張しているという意味では、仕事もゲームも変わらないのです。


メタボリック症候群の人は、そうでない人に比べて
1.5倍もうつ病になりやすいと言われています。


脳は、自らの疲れを認識できないので、
意識的に休ませる必要があります。
脳は、他の身体の部位のように、
痛みを感じることがないのです。


「自死のサイン」と考えられる言動を紹介しましょう。
以下の言動があった場合は、特に注意が必要です。
1,周囲からの救いの手を拒絶するようになる
2,感情が不安定で、気が沈んだり、攻撃的になったりする
3,今まで元気がなかったのに、不自然なほど、明るく問題ないように振る舞う
4,強い絆のあった人(配偶者、子ども、親、親友など)から見捨てられる、もしくは失う
5,過度に危険な行為に及ぶ(薬の過剰摂取、大量飲酒など)
6,死についての文章や詩、ブログなどを書く、SNSからアカウントを理由なく削除する
7,「遠くへ行きたい」「誰も知らないところへ行きたい」と発言する


予約せずにすぐ診てもらえる病院はあまりお勧めしません。
(中略)
大都市圏で定評のある医院は、
少なくとも2〜3週間待ちがほとんどです。


インターネットで精神疾患に関する記事を検索すると、
どうしても不安をあおる記事に目が行ってしまいます。


人間は寝ていても、明るい部屋で寝ていれば、
脳は日中であることは認識できるので、
病状の改善とともに、睡眠リズムを整いやすいです。
絶対に、遮光カーテンを使って、
日中も暗い部屋で寝るようなことはしないようにしましょう。


筆者の経験では、自宅療養して最初の1ヶ月間ぐらい
昼まで寝る方が多いです。
若い人ですと夕方まで寝ている人もいます。
しかし、元気になってくると、
自然に朝早く起きてきますので安心してください。


筆者の経験で、スポーツジムに毎日通って、
運動を1日2〜3時間している人をみかけますが、
そういう人に限って復職1年以内に体調を崩します。


注意すべきなのが、家族の方が患者本人に対して
過度に干渉しすぎてしまうことです。
メンタルヘルス不調だからと、気を遣いすぎてしまったばかりに、
家族までが体調を崩してしまうケースが少なくありません。


「叱ってはいけない」「注意してはいけない」と、
過度に身構えてしまうのも考えものです。
できるだけそっとしておこうと考えた結果、
コミュニケーションが希薄になってしまえば、
家族関係はギクシャクしてしまうでしょう。


「病気を理解する」ことは「期待しないこと」です。
「早く治ってほしい」と期待が強くなりすぎると、
「まだ治らないの」と、家で体調悪く横になっている家族に対して
イライラしてしまう危険性があります。


傷病手当金の証明書を主治医が書くとなると、
復職までの期間は主治医が決めていると
誤解してしまうのも無理はありません。
しかし、実際は、最終的な判断をするのは会社です。


最悪なのは、病気の情報をインターネットで調べて、
それについて話をすることです。
中にはプリントアウトして持参する人もいるようですが、
絶対にやめるべきです。医者でない人が、
医学的なことに言及するのは避けるようにしてください。






engineer_takafumi at 20:51│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ ビジネスその他

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