2017年12月14日

コミュニケーションをデザインするための本

本日は岸 勇希氏の
コミュニケーションをデザインするための本
です。
コミュニケーションをデザインするための本

本書は電通でコミュニケーションデザイナーとして
活躍されていた著者による、
コミュニケーションデザイン論です。

電通というと一般的なイメージは広告会社ですから、
どのような広告を作るのか、どんなメディアを選ぶのか、
といった話だと思われるでしょう。

確かに、それも一部分ではあるのですが、
本書ではある刺激を通じて、ターゲットがどう感じるか、
そしてどう行動するかを計算して、
コミュニケーションを設計する方法を説きます。

あえてターゲットを狭く設定してみたり、
あえて理不尽なほど難易度を高くしてみたり、
あえて商品名を一切出さなかったりと、
少し常識とは異なる事例が、紹介されています。

しかし、それも明確な意図の元に設計されているのです。

何気ない場所にも意図が隠されていることに感心しました。
また、それ以上に、広告慣れした現代の消費者の
興味をひき、商品を購入してもらうことは、
ここまで難しいのだとも、思い知りました。


個人的には、
当初全く商品名を出さなかった
「漢検DS」の事例が印象的でした。

広報はもちろん、営業の方にもお勧めの一冊です。
顧客の気を引くためにはどのレベルの行動が必要か、
理解することができることでしょう。




コミュニケーションデザインでは、本質かつ正論と
徹底的に向き合うスタンスでプランニングを行います。
そこを避けて、すんなり結果がでるほど
今の広告環境が甘くないとシビアに考えているからです。


一般的には購入して失敗したくないもの(リスクのあるもの)、
例えば車や家電などの高価格帯の商材は
「AISASモデル」と相性が良いと言われています。


「AISASの法則」が持つもうひとつの特徴はShareです。
(中略)
これらのShareされた情報が、
再びSearchされるというループを生み出すのです。


街を歩いていていきなりWEBに当たることはあり得ないし、
急に検索行為を強制されることもありません。
つまり両方ともが、必ず自分の意思に基づいて
能動的に接触しているメディアなのです。


広告に対してそもそも懐疑的である現代の生活者は、
同じ生活者の立場でShareされる情報に
強い信憑性を感じます。


"Interest"、つまり"気になる"から能動的になる(=検索する)のです。


より多くの人に同時に"気になる"を
つくれるのはマスメディアであり、
これは逆にネットメディアの弱い点と言えます。


商品を「売る」ことをはじめ、クライアントの課題を
解決するうえで必然的に複数のメディアが必要となり、
結果的にクロスメディアになるというのが
正しい考え方なのです。


OLとひと言でいっても、実際には年齢も嗜好も、
言葉以上にターゲットの幅が広く、
効果的にアプローチできるメディアが少ない。
逆に女子大生のほうが、
正確かつ確実にリーチできるメディアが存在した


仮に"OLの冷え対策"という切り口でコミュニケーションした場合、
それよりも若い女子大生たちにとっては
自分事化しづらい話であり、
極端なことを言えば"自分たちには関係のない話"
になってしまう危険性さえあります。
逆に"女子大生の冷え対策"をテーマにすれば、
仮にOLがその話題に接触した場合でも、
自分事化できるに違いないと、
コミュニケーションの間口が広い女子大生を選びました。


演出と割り切って手を加えるのは簡単なことですが、
今の生活者はこういうことに非常に敏感です。
演出であっても、嘘だとわかった瞬間、
ネットで非難されかねないリスクがあります。


バイラル(Viral)とはウィルス(Virus)の形容詞で、
ウィルスのように人伝いに感染していくような
クチコミの手法のことをいいます。
厳密な定義があるわけではありませんが、
個人的には同じくクチコミの手法である
バズ・コミュニケーションとは似て非なるものだと考えています。
具体的なコンテンツ(動画、ゲーム、写真)が
人伝いに次々と広がっていくような場合をバイラル、
話題の対象がコンテンツに限らず曖昧でも、
世の中全体をざわざわと騒がせるような話題、
嘘のようなものをバズと私は定義しています。


PR戦略には防ぎようのないリスクが伴うため、
その説明と対策が不可欠である。


どんなに面白いコンテンツを作っても、
それが広告であることを忘れない。


キャンペーンが始まったら終わりではなく、
キャンペーン開始後の利用者の声に耳を傾け、
必要な工夫や修正を行う。


最近は、生活者のメディア・リテラシーが向上しており、
"売らんかな"的な仕掛けはすぐに生活者に見抜かれてしまうため、
このような回りくどい手法をとったのです。


パソコン上に「漢検DS」をほぼ完璧な状態で再現し、
疑似体験してもらう。


出し惜しみをしないことで、商品の価値を感じてもらう。


先に展開した戦略PRと広告キャンペーンが、
生活者に届く際には違う情報ソースとして
届けられている感じが重要だったためです。
さまざまな情報ソースで漢字が話題にされることにより、
「最近、漢字の話題が多いなぁ」といった
世の中の空気づくりに貢献すると考えたのです。


サービスの詳細については、検討段階で
WEBサイトや見学会などで調べることが明白なため、
15秒という短いテレビCMでは
無理にサービス内容を伝えることよりも、
ネガティブな先入観で候補から落ちないよう、
しっかり女性の気持ちをつかむことに特化したほうが
得策だと判断したのです。


キャンペーン全体における
テレビCMの役割を明確にする。


この表現は、そもそも何度も何度も
接触する露出量を前提にして考えたものです。
実際わすか2週間で、40タイプ合計で
1000回以上もオンエアーされました。
圧倒的な露出量を前提に表現が考えられているわけです


最近とても気になっていることがあります。
それは、いつ、どんなメディアに、どのくらいの量、
露出されるかを知らずに表現を製作している
クリエイターが意外と少なくないという事実です。


伝えたい人が、伝えやすいよう
キャンペーンを設計する。


新聞は掲載情報の重みをレイアウトに繁栄するという
ブログにはない特性がある。


学校生活が時間的にも人間関係的にも
生活の大半を占めている彼女たちにとって、
学校にいる時間にあえて携帯電話で連絡を取り合う
必要がある人などはほとんどいないため、
わざわざ家に取りに帰ったりはしない、ということでした。


感覚だけでついていけるほど
シンプルで変化のない世の中ではありません。
だから常に臆病で自信がありません。
だから徹底的に調べます。感じます。


最初から手段を限定してしまうと、
自由な発想が妨げられてしまいます。
最終的に誰を、どうしたいのかという目的をまず明確にし、
そのための最適な手段を自由に考えていくべきです。


定性調査にこだわる最大に理由は、
そこに人の心を動かすヒントが
眠っていることが多いからです。
既に説明した通り、どんなにみごとに
コミュニケーション・ターゲットを設定したとしても、
また最適なメディアを配置したとしても、
それだけでは人は動いてくれません。
そこに人が動くだけのエモーショナルな動機が不可欠なのです。
ターゲット・インサイトは、
"仕組みではなく、気持ちをデザインする"を
実現する上で最も重要なプロセスであり、
絶対に手を抜いてはいけません。


ここで重要なのは、キー・アイデア=表現のアイデア
ではないという点です。
例えば「漢検DS]の事例では、
「日本人の漢字力の低下という事実を戦略PRで広げ、
それによってターゲットを掘り起こす」
ということがキー・アイデアでした。
「メ〜テレ」の事例なら、
「ながら視聴者のパソコン画面をメディアにする」
ということがキー・アイデアでした。
いずれのキャンペーンも、そのキー・アイデアをもとに
各表現へと落としていったのです。





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