2018年01月06日

人工知能は人間を超えるか

本日は松尾 豊氏の
人工知能は人間を超えるか
です。
人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

本書は東大の准教授による人工知能の入門書です。

10万部を突破して、東大生協で1位を獲得したという
実績のある本になります。

ディープラーニングの理解に必要な本質的な部分が、
とてもシンプルにまとめられているので、
近年のAIのブーム(?)がなぜ起きたのか、
専門知識のない人でも理解できると思います。


人工知能を勉強して感じるのが、
自分たちの「知能」とは何か、ということを
考える良いきっかけになるということです。

われわれが何気なくやっていることでも、
アルゴリズム化がとても難しく、
コンピュータにしてみれば非常に高度な判断が
たくさんあるのです。

人工知能の研究はAI技術の進展だけでなく、
人間が自分の頭の使い方を見直し、
さらに進化するきっかけになるのかもしれません。

実際に将棋の世界では、
棋士がコンピュータの手を研究することにより、
さらなる高みへ到達しているようです。

人間かAIか、ではなく、
その中間に最適解が存在しているのでしょう。


個人的には、著者が、
人間の知能はプログラムで実現できないはずはない。
という態度を貫いていることが印象的でした。

人工知能を勉強してみたい人が
まず最初に読む本としておすすめです。
より速く、本質的な理解を得られることでしょう。





かつて人工知能と呼ばれていたが、実用化され、
ひとつの分野を構成すると、人工知能と呼ばれなくなる。
これは「AI効果」と呼ばれる興味深い現象だ。
多くの人は、その原理がわかってしまうと、
「これは知能ではない」と思うのである。


いちいち手の意味を考えず、ひらすらランダムに指し続け、
その勝率で盤面を評価したほうが、人間がスコアのつけ方を考え、
重みづけをして盤面を評価するよりも、
最終的には強くなることがわかってきた
(実際には完全なランダムではなく、いろいろ工夫をしている)


単純な1つの文を訳すだけでも、
一般常識がなければうまく訳せない。
ここに機械翻訳の難しさがある。
一般常識をコンピュータが扱うためには、
人間が持っている書ききれないくらい膨大な知識を
扱う必要があり、きわめて困難である。


フレーム問題は、あるタスクを実行するのに
「関係ある知識だけを取り出してそれを使う」という、
人間ならごく当たり前にやっている作業が
いかに難しいかを表している。


機械学習の研究の世界では、
多くの研究者がエムニストのような共通のデータセットを使う。
なぜなら別々のデータを使っていると、
よいアルゴリズムができたのか、
たまたまデータがよかっただけなのか、わからないからだ。


これらの問題は、結局、同じひとつのことを指している。
いままで人工知能が実現しなかったのは、
「世界からどの特徴に注目して情報を取り出すべきか」に関して、
人間の手を借りなければならなかったからだ。


自己符号化器でやっていることは、
アンケート結果の分析などでおなじみの
「主成分分析」と同じである。


さまざまな「手書きの3」を読み込み、
4、5回抽象化を繰り返すと、現れるのは「典型的な3」だ。
これこそ「3の概念」にほかならない。


相関のあるものをひとまとまりにすることで特徴量を取り出し、
さらにそれを用いて高次の特徴量を取り出す。
そうした高次の特徴量を使って表される概念を取り出す。
人間がぼーっと景色を見ているときにも、
実はこんな壮大な処理が脳の中で行われているのである。


人間の知能はプログラムで実現できないはずはない。
ところが、それが人工知能の分野で長年実現できなかったのは、
コンピュータが概念を獲得しないまま、
記号を単なる記号表記としてのみ扱っていたからだ。
記号を「概念と記号表記がセットにしたもの」
として扱ってこなかった、
あるいは扱うことができなかったからである。


ドアを開けたからドアが開いたのか、勝手にドアが開いたのかは、
人間の生存にとって非常に重要な差異である。
敵が潜んでいるかもしれないからだ。


人間は、(時には必要以上に)原因と結果という
因果関係でものごとを理解しようとするが、
それはつまり、動物としての行動の計画に活かしたいからだろう。


「何かをしたからこうなった」という
原因と結果で理解していれば、
それらをつなぎ合わせることで目的の状態をつくりだす
「計画的な行動」が可能になる。


「人間=知能+生命」であるからだ。
知能をつくることができたとしても、
生命を作ることは非常に難しい。


生命の話を抜きにして、人工知能が
勝手に意思を持ち始めるかもと危惧するのは滑稽である。







engineer_takafumi at 16:58│Comments(0)★理系本の書評 | ⇒ コンピュータ・情報科学

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