2018年03月16日

間違う力

本日は高野 秀行氏の
間違う力
です。
間違う力 (角川新書)

本書は「オンリーワンの辺境冒険作家」と名乗り、
だれも行かないところへいき、誰もやらないことをやり、
それを面白く書く、という著者による人生訓です。

この著者の経歴を見ると、
大学の探検部時代に謎の怪獣「ムベンベ」を探しに
アフリカのコンゴに行ったり、
反政府ゲリラに支配された
ゴールデン・トライアングル地帯で
現地の人と一緒にケシやアヘンを育てたりと
とんでもない経歴が並んでいます。

普通の人から見ると、変わっているを通り過ぎ、
「間違っている」と言わざるを得ません。
だから、タイトルが「間違う力」なのです。

しかし、この間違いには論理があります。
ただ単に変わったことをしているのではなく、
著者はある思想に基づいて行動しているのです。

普通の人にはマネすることはできませんが、
個性を打ち出すことが注目される中
人と違う成果を出すためには
どんな思考回路を身につければ良いのか
教えてくれることでしょう。

あと、読んでいて単純に面白いです。
個人的には「怪しい人にはついていく」の部分が
とくに面白かったです。
何回も痛い目に遭っても、ごくまれに起きる幸運を
求めてしまうのですね。


人と違う個性を出したい、
と思う人にお勧めの一冊です。
極端な例を通して、人と違う方向性を
打ち出すための方法が見えてくることでしょう。




私にとって個性なんてものがもしあるとするなら、
それは「ネタ」じゃないかと思う。
人とはちがう体験や過去みたいなものが
要するに個性じゃないのか。


1,他人のやらないことは無意味でもやる
2,長期スパンで物事を考えない
3,合理的に奇跡を狙う
4,他人の非常識な言い分を聞く
5,身近にあるものを無理やりでも利用する
6,怪しい人にはついていく
7,過ぎたるは及ばざるよりずっといい
8,奇襲に頼る
9,一流より二流をめざす


誰に訊いても「いいこと」というのは
「給料が上がる」と「管理職に出世」
くらいしかわからない。
あとは退職金が高いとか年金の額がちがうとか。
どうでもいいことばかりだ。


タイでは大学や高校を卒業して
すぐ就職するという習慣がない。
というより、タイの人にしてみると、
「どうして? 学校と仕事、何も関係ないでしょう」
と不思議に思うらしい。


ネッシーでもウモッカでもいいが、
とにかく「夢(ロマン)」と言った瞬間に
人はそれを現実から「夢(ロマン)」の領域に
追いやってしまうのだ。


「あの人が見たってさ」という情報を
百個集めてもしかたがない。
「あの人」を探し出し、直接話を聞くのである。


未知動物だろうと迷宮入り事件だろうと、
合理的に奇跡を狙えば確実に近づくことはできる。
だが近づけるだけであって
奇跡そのものにたどりつくことは困難であり、
歴史に名を残すのも一攫千金もなかなか遠いのである。


コンゴ文学でフランス文学科の卒論最高点―。
絶対におかしいのだが、こちらの間違った熱意に
教授の方々も騙されてしまったのだろう。


酒はムスリムの多くの国で原則的に禁止だ。
酒を探したり飲んだりすることが
警察による逮捕につながる危険性もある。
ただでさえ酒を飲むと人は本音を
言いやすくなるのに、最初から
酒を飲む場がアンダーグラウンドだから、
みんな、共犯者意識をもち本音で話ができる。


私の知るかぎり、イスラム圏でとくに知的レベルが高く、
酒好きな人が多いのは意外にもイランだ。
文化芸術に関する話もホメイニ師の悪口も
酒を飲みながら存分に聞くことができる。


彼は自分の会社付属の空手道場を作り、
「従業員は自動的に道場生」という
前代未聞のシステムを構築した。
給料の査定も、仕事より、
「どれだけ道場で頑張っているか」
を重視するという。


怪しい人についていくと、ときどき、
思いがけず面白いことに出くわす。


もし、あのとき、
じいさんを警戒して誘いに乗らなかったら、
ケシ栽培には行けなかっただろう。
あとで知ったが、クンサーの周りで、
そのじいさん以外に信用できる人間はいなかった。
そしてそのじいさんがアジトにやってきたのも
たまたまだった。
要するに、千載一遇のチャンスをものにした――と、
結果論でいえばそうなる。


怪しい人についていくと、たいていは痛い目に遭うが、
ときには素晴らしい幸運に出会うこともある。
それを前もって知ることはできない。
だから、怪しい人に誘われたら、
とりあえずついていくしかないのである。


どんなにアホでもデタラメでも
今やっている者がやらない者よりえらいのだ。


間違いだったのは、自分だけは
深みにハマらないであろうという確信である。
一ヶ月後にはきれいに、一人前のアヘン中毒となり、
村の人からも「あいつは毎日アヘンばかり吸って」
と後ろ指をさされることになった。


アヘンを吸うと、欲望がなくなる。
何もほしくなくなる。金も名誉もいらない。
性欲も独占欲もなくなる。
人やモノへの執着心も消滅する。
しまいには生き死にすらどうでもよくなる。
要するに、仏教でいう究極の境地に達してしまう。


自分のバカさ加減に呆れるが、
やっぱりあのときの「やりすぎ」は評価したい。
結果的に、そのときの体験を綴った本は
別に評価もされなければ売れもしなくて、
「何のために俺は何年もかけてアヘン中毒にまでなったんだ!」
と思って、ますます酒びたりになったのだが、
それでもその体験があるから、今の自分があると思う。


私はそれまで団体生活は人に合わせるものと思い、
疑ったこともなかったのだが、
リーダーになると人に合わせなくてすむ。
自分のやりたいことをやりたいようにやることができる。
嫌なことはやらなくてよく、ラクをし放題だ。


私は京王線の社内で見つけたフランス人に頼み込み、
フランス語をせっせと習った。
奇襲には労を厭わない性格なのである。


王道はたとえ失敗してもさまになってるものだが、
奇襲は失敗すると単なるマヌケなので目も当てられない。


コロンビアやペルーの田舎では多くの人が
「世界中の人がスペイン語を話している」と、
ブラジルでは「ポルトガル語が世界の共通語だ」
と思い込んでいるからだ。


コンゴ以来、どこの地域に行くにも、
奇襲の作法として、現地の言葉を習う癖がついた。
要するに、大本の部分で自信がないから、
人がやらない方向に気が向くのだ。


世界中どこの国の人でも、
自分の母語を覚えようとする人に
好意を抱かない人はいない。






engineer_takafumi at 00:48│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ 自己啓発

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