2018年05月15日

「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた

本日は橋本 幸士 氏の
「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた
です。
「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた 天才物理学者・浪速阪教授の70分講義 (KS科学一般書)

本書は理論物理学者である著者による、
学者が女子高生に素粒子論を教えるという設定の
読み物にした素粒子物理学入門です。


私も大学で4年物理を勉強してきましたが、
素粒子関連の物理学は結局歯さえ立たず、
挫折してしまいました。

その難しさの本質は、素粒子の物理学が、
あまりに普通の人の直感と離れていることと
それを記載する数学の難易度があまりに高いことです。

それほど難解な素粒子物理学を、
本書では数式を直接つかうことなく、
言葉で理解させてくれます。


しかし、題材が題材だけに
易しく書くといっても限度があります。

例えば、運動方程式と言われてわからない人は
残念ながら、この本の読者ではありません。

聞き手の設定は女子高生といいながら、
理系の女子高生です。
やはり最低限のハードルが上がってきます。

実際には、理工学部の学部生以上ではないと、
何かを得ることは難しい気がします。

それでも、素粒子物理専攻の大学院生以上の世界を
学部生レベルで垣間見ることができる本書は
本当に意義深い、画期的な一冊だと感じました。


いくら勉強しても素粒子物理の理解への
糸口が見えない、理学部の物理学科生にお勧めです。
0から1へと進むことができるでしょう。




この世で一番大きいはずの「宇宙」と、
この世で一番小さいはずの「素粒子」が
両方とも入っている数式。


「美咲パパ」が持ち出してきた、4行の数式。
これは、「素粒子の標準模型」と呼ばれるものに、
重力作用を加えたものです。
この世界を構成する18種類の素粒子の
(実際に発見された17種類に、未確認の重力子を加えたもの)、
運動や相互作用を司る式です。
具体的には、この数式は
「場の量子論の作用」と呼ばれるものの一種です。
「素粒子の標準模型」は、場の量子論の一種です。
それが、この宇宙を支配しているのです。


「場の量子論」とは、量子力学の親玉のようなものです。
場の量子論から、量子力学が導出されます。
量子力学は基本的に1個の電子を取り扱う理論体系です。
一方、場の量子論は、電子がたくさんある場合を
取り扱える、量子力学の一般化です。


マセマティカは命令したら解いてくれるけど、
何を命令するかは、人間が決めるんや。
宇宙のどういう問題をどう設定するか、
それは、人間が決めることなんやで


次の二つだけ、わかればええんや。
第1に、宇宙は素粒子でできている。
第2に、素粒子には運動方程式がある。


ひとことに『宇宙』ゆうても、
ほんまにいろんな現象があるわな。
けど、いろんな『モノ』があるわけちゃうねん。
じつはな、この宇宙は、ほぼ18種類の素粒子で
ぜーんぶできていることがわかってるねん



どんどん切り刻んでいくと、最終的には、
人間のテクノロジーでは分割でけへん
最小のとこまでいくんや。
それを、素粒子って呼んでるねん。
分割でけへんから、その大きさはわからへん。点や。
それでな、おもろいことに、どんな物質を切り刻んでも、
結局、同じ素粒子が出てくるちゅうことがわかったんや。
それが18種類やな


電子も18種類のうちの一つや


二つだけ、この数式では再現でけへん
自然現象が見つかってるねん。
一つは、ニュートリノ振動現象、
ほんでもう一つは、暗黒物質ってやつや。


あらゆる物理学理論は、はじめは「模型」です。
それが確立してくると、
「理論」という名前になってくるのです。


作用とは、それが与えられると、
それからある操作によって、
運動方程式を導くことができるものです。
したがって、「作用とは運動方程式の親玉である」
と言うことができるでしょう。


複数の素粒子は、それぞれが個性を持っているわけではなく、
全く同じものである、という意味です。


棒がついてないほうのψは、素粒子を作る。
で、棒がついているほうで、素粒子を消す。
こういうのを『生成消滅』っていうんや


式だけ見てるとな、物理学者でもヤヤこしいヤヤこしい、
ってなってしまうからな、式を素粒子の対応を
むっちゃわかりやすい絵で表現するんや


ψは素粒子では電子とかに対応している、
ってゆうたやろ。
これな、電子って、数えられるねん。
一方、Fは光子に対応しているけど、
光子は数えられへんねん。
数えられる素粒子は棒がつくねんけど、
数えられへんやつは、棒がつかへんねん


電子には裏の顔があって、
そいつは陽電子って呼ばれてるんや。
ディラックが陽電子の存在をψの数式から予言して、
ほんで、実際に発見されたんやで。
陽電子は、電子と逆符号の電荷を持つんや。
裏表の関係にあるんやな。
電荷があるから、電子は数えられるんやで


数えられる素粒子は、時間が経ってもなくならへんのや。


反粒子とかはない、っちゅうことや。
電荷がないから、数えられへんのや。
光って目で見るやろ。
見えるっちゅうのは、やってくる光を目で吸収して、
光子の数が変わるから、見えるんや


作用Sが対称性を持つと、その対称性に付随して、
必ず「電荷」のような保存量が存在する、
という定理があります。


ある種の対称性は、力を生み出すのです。
むしろ、力の根源は対称性であるとも言えます。
自然界に四つの力があるのは、
作用Sに四つの対称性がある、
ということに起因しています。


ちょうど、二つの電子の間に
光子が一つ飛んでる絵になる。
これは、二つの電子の間に電磁気力が働いた、
っちゅう絵なんや。


ファインマンは、それを図式化したんや。天才やで。
ほんで、ファインマン図を組み合わせることで、
計算がグラフィックみたいになってな、
物理学者がすぐに計算を理解できるように
なってるんやで


あの宇宙を支配する数式、完全やないねん。
あれでは再現できへん現象が観測されてるんや。
それは、暗黒物質ってやつや


暗黒物質は重力以外は感じへんような物質のことや。
光子の吸収と放出は、電磁気力になる、ってゆうたやろ。
暗黒物質は、そういう力は感じへん、重力だけや。


最近の観測やと、宇宙の組成のうち、
人類が知っている素粒子の分はたった5パーセントで、
一方、暗黒物質は26パーセントにもなるんやで。


『知らん』っちゅうのは、
それを人類は実験で生成したりしたことがない、
という意味やな。
宇宙の精密な観測が進んできて、どうやら、
重力だけを感じる物質がある、と判明した。


宇宙には暗黒物質があることが、
宇宙の精密観測でわかった。
そしたら、それを再現できるように、
今の数式を修正するか、新しい項を足すか、
そのどっちかをやらなあかんわけや


陽子はクォーク三つでできているんや。
もし、クォークと電子が移り変わったとすると、
陽子が陽子ではなくなってしまうわけやから、
そういう現象を陽子崩壊、っちゅうんや。
陽子崩壊を物理学者は実験で捜し求めてるけど、
今んとこ、観測されてへんねん






engineer_takafumi at 00:50│Comments(0) ★理系本の書評 | ⇒ 物理・科学哲学

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