2018年05月28日

ピーター・ティール

本日はトーマス・ラッポルト氏の
ピーター・ティール
です。
ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望

スティーブ・ジョブズやイーロン・マスク
マーク・ザッカーバーグは起業家として
日本でも有名です。

しかし、本書で取り上げられる
ピーター・ティールはその業績の割には
日本で知られていません。

ティールはペイパルの創業者で、
フェイスブックを最初期から支え、
イーロンマスクと肩を並べていたという
シリコンバレーでは知らない人がいない人間です。

また、当選前からトランプ氏を支援し、
現政権では「影の大統領」と呼ばれるほど
強い影響力を持っています。


本書ではティールの生い立ち、信条から
起業・経営・投資戦略など彼の全てを語ります。

特に、起業やベンチャー投資をしたい人にとっては
彼の思考は大変参考になることでしょう。

また、起業家の頭の中にある、世の中の未来像を
示してくれる一冊でもあります。


個人的には、日本では名前を聞くことも少ない、
パランティアという会社についての
部分が一番参考になりました。

この会社の存在を知っただけで、
本を読んだ価値がありました。


起業を志す人、テクノロジーによって
未来がどのように創られていくかに
興味がある人にお勧めの一冊です。
天才の視点から、未来を垣間見ることができるでしょう。





ティールの言動は一筋縄では理解しがたい。
ティールがとりわけ人々を驚かせたのは、
2016年の米国大統領選に出馬した
ドナルド・トランプを支持し、
125万ドルを寄付したことだ。
リベラル派の予想を裏切ってトランプが当選すると、
彼は政権移行チームのアドバイザーとして
トランプに迎えられ、
現在にいたるまで大統領の政策顧問をつとめている。


若い頃をふりかえると、僕は不健全なコースを歩んできて、
競争に勝つことばかり考えていたのも不健全でした。
そういう人間は、他の人と争う場面ではいい成績を上げますが、
陰でたくさんの犠牲を払ってきてるんです。


いまでもティールにとって、
ハーバードは誤った競争主義の象徴だ。
(中略)
「あそこの学生たちはアスペルガー症候群の対極にあります。
やけに外交的で、自分の考えというものを持っていない。
2年間もこういう連中と一緒にいると、群衆本能ばかりが発達し、
誤った決断を下すようになってしまいます」


もっとも成功した存命の投資家ウォーレン・バフェットに
「能力の輪」という有名な言葉がある。
「投資は自分が理解できている範囲に絞れ」という意味だから、
ティールにとってその「輪」とは、
「スタンフォードから半径5マイル(約8キロ)以内」だ。


ジラールによれば、人間の行動は「模倣」に基づいてる。
人間には他人が欲しがるものを欲しがる傾向がある。
したがって模倣は競争を生み、競争はさらなる模倣を生む。


ジラールはさらに、競争者は自分の本来の目標を犠牲にして、
ライバルを打ち負かすことだけに夢中になってしまう
傾向があると言っています。
競争が激しいのは、相手の価値が高いからではありません。
人間は何の意味もないものをめぐって必死に戦い、
時間との戦いはさらに熾烈になるんです


エリート事務官を目指すという彼の目標は、
未来を見据えた計画というよりは、
むしろ「現在のためのアリバイづくり」だった。
両親や周囲に対して人生は万事順調だと
弁明するためのアリバイだ。
だがその道がどんな未来につながっているのかを
吟味せず出発してしまったことが最大の問題だったと、
いまになってティールは考えている。


95年8月9日、創業からわずか14ヵ月後に
ネットスケープはウォール街デビューを果たす。
1株の価値は28ドル。株式市場価格は10億ドル相当になる。
売上が1700万ドルで損失が1300万ドルの企業としては上々だ。


イーロン・マスク登場 ―― 最悪の敵から同志へ


他人資本の新企業のCEOは、
15万ドルを上回る年間報酬を受けとるべきではありません


年収が30万ドルを超えると
「CEOは創業者というよりも政治家」
のようにふるまい出し、現状維持に固執するようになり、
それは革新的スタートアップの死を意味するというのだ。


大半の人が理解していない事実を
メンバーだけが深く理解するというのは、とても大事です。


重要なのは「とりくむのにふさわしい課題を解決する」ことだ。
「早すぎもせず、遅すぎもせず、とりくむにふさわしい
顧客との約束を果たすことができれば、
スタートアップは原則として成功します」
とベクトルシャイムは言う。


『毎日を人生最後の日であるかのように生きよ』
という決まり文句を聞いたことがあるでしょう?
でも実際は逆です。
『毎日を自分が永遠に生きるかのように生きよ』が正しい。


この二人の億万長者は、
友人のネットワークを何十年も大切にすることが、
自分と会社とに並外れた経済的成功をもたらすことを、
ビジネス界の誰よりもよく理解している。


僕がペイパルの経営者としてやった最良の仕事は、
社員全員にそれぞれ一つの仕事の責任を任せたことです。
この仕事だけによって僕がその人物を評価することを、
誰もが知っていました


採用にあたっては
「20番目の社員が、他ではなくきみの会社に入りたい
と思う動機は何か?」
という問いが重要なのである。


ペイパルは徹底してアジャイル型開発を
追求した最初のスタートアップだ。


イーロン・マスクは、ペイパルのアジャイル型開発手法を、
自分のスタートアップである電気自動車メーカー、
テスラ・モーターズに持ちこんで大成功した。


ペイパルのアジャイル型開発は、
自由闊達な社内文化のたまものである。
全社員が提案を出すことを求められた。
ペイパルの文化は、社員に大きな視野で
考えることを許したのみならず、
まさにそうすることを要求したのだ。


「壊れているものを探せ」――
スタートアップの出発点は、いつでもこれだ。


パランティアのソフトウェアは大きな成功を収めた。
これまでオサマ・ビン・ラディンの発見や、
巨額金融詐欺事件の犯人バーナード・マドフの
逮捕に決定的な役割を果たしたとされている。


高額な製品を売る場合、営業部門がないほうがうまくいきます。
僕たちの成約額は100万ドルから1億ドルのオーダーです。
このくらいの取引額になると、売り込みのさい、顧客は、
僕たちの営業部長ではなくトップと直接話たがるものです


レフチンは、できて間もない若いチームにおいては、
多様性が重要だという考えは
まったくまちがっているとまで言っている。


大多数の投資家がもてはやす
ビッグデータやクラウドコンピューティングといった
派手なテーマには目もくれない。
そうではなく、世界を持続的に変える潜在力がある
テクノロジーを手がけるスタートアップと創業者を探す。


彼はあるインタビューで、スタートアップを成功に導くための
10のルールについて述べている
1 きみは人生の起業家である
2 一つのことを、他の人を寄せつけないほどうまくやろう
3 きみの人生と会社に、自分と結びつきのある人を的確に配置しよう。互いに補い合える相手と組もう
4 独占をめざそう。競争からはさっさと身を引き、他者との競合を避けよう
5 フェイク起業家になるな
6 ステータスや評判だけを基準に評価するな。ステータスに惑わされて下した決定は長続きせず、価値がない
7 競争は負け犬がするもの。まわりの人間を倒すことに夢中になってしまうと、もっと価値があるものを求める長期的な視野が失われてしまう
8 「トレンド」は過大評価されがちだ。最新ホットトレンドに飛びついてはならない
9 過去に執着するな。なぜ失敗したのかすばやく分析、あとは前を見て、方向を修正していこう
10 成功に通じる秘密の道を探そう。その他大勢がすることを真似してはいけない


経済学者にとって、独占はしばしば競争における
小さな例外でしかない。
しかしティールにとって独占は一つのパラダイムだ。


グーグルが持ち株会社をアルファベットと改称したのは、
高速インターネットアクセスや自動走行車といった
まだ不完全なムーンショップ・プロジェクトで
(困難だが実現すれば大きなインパクトのある事業)
監督官庁の注意をそらし、
グーグル検索の著しい市場集中を
水で薄めるためでもあるのだろう。


どの会社のどのアプリを自分たちの生態系に
接続するかを自社で決めることができる。
ときにはそのアプリを許可しないことによって、
好ましくない競争相手を妨害することもあった。


フェイスブックがデジタル広告ビジネスの
新しい勝者であることは、
その価格決定力にもあらわれている。
広告を高い価格でマーケティングできたからだ。
営業利益率は2016年全体で45パーセントであるのに対し、
2015年は35パーセントだった。


フェイスブックが買収をつうじてSNS市場の支配を
強めているのに対して、
監督官庁が積極的に動いていないのは不可解だ。
同社が2015年だけで米国内のロビー活動に
980万ドルを投じていることが
ヒントになるかもしれない。


ザッカバーグの手本はスティーブ・ジョブズではなく
ビル・ゲイツである。
彼はゲイツがMS-DOSとウィンドウズで成し遂げた快挙を、
フェイスブックで再現しようとしている。


バフェットが師とあおぐベンジャミン・グレアムの
『証券分析』(パンローリング)に
全幅の信頼を寄せているのに対し、
ティールはルネ・ジラールに傾倒している。


『世の初めから隠されていること』は、
彼にとってジラールの最高傑作である。


2016年秋、ピーター・ティールは
またしても逆張りで勝利をおさめた。
あらゆる政治評論家が、ヒラリー・クリントンの優勢を
はっきり予想しているのに、
ティールはドナルド・トランプに賭けていたのだ。


ゴーカーはこの訴訟によって破産を申請した。
なおティールは数年前にゲイであることを
ゴーカーに暴露されている。
ゴーカー潰しによって、ティールのような
財力をもつ人間は裁判すら思いどおりにできるのだと
メディアは思い知らされることになった。


オンライン政治メディアのポリティコはティールを
「影の大統領」と名づけた。
最近では彼に近いスタッフがそう呼んでいるらしい。


コンピュータおよびソフトウェア分野だけが、
独自のデジタル世界の中で、
ムーアの法則とPCおよびインターネット産業の
成長に支えられて大きな発展を遂げた。
だがティールによれば、
「私達の社会を確実に前に進める」
だけでは十分ではない。
スマートフォンから現実の世界に目を転じると、
「たとえばニューヨークの地下鉄網は敷かれてから100年以上たっているし、インフラの多くはアップデートされていない」
ありさまだからだ。


政府に希望がないといわけではない。
かつては核開発や宇宙計画のような複雑な
人類史的プロジェクトを成功に導くこともできた。
だがこの40年間に力点が置かれてきたのは
社会保障やヘルスケア事業などだ。
ティールはテクノロジー分野を重視する政治を望んでいる。


官公庁はシリコンバレー発のイノベーションに対して
ひどい偏見を持っているのだ。


ティールは原子力の信奉者で、
この分野の研究に多くの予算を投じることに賛成している。


起業を志す18歳から20歳の若者にそれぞれ10万ドルを提供している。
唯一の条件は、高校または大学を中退することだ。






engineer_takafumi at 00:05│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ 経営

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