2018年11月14日

広告でいちばん大切なこと

本日はクロード・ホプキンス 氏の
広告でいちばん大切なこと
です。


本書は19世紀末から20世紀はじめにかけてのアメリカで
大活躍した広告家、ホプキンスの一冊です。
広告業界の古典とも呼べる本と言えるでしょう。


話は著者の半生をたどる形で書かれており、
一貫して商品を売ることにこだわること、
広告をテストして結果に潔く従うこと、が
著者の非凡な結果につながったのだとわかりました。

一方で、100年も昔の本ですから、
今とは事情が違う部分も出てきます。

例えば、カラーの広告は効果がない、とか
文字をつめこんで情報量を増やしたほうがよい、
などという部分です。

これは今の常識とは異なりますが、
当時の鉄則であったことは疑いないのです。
なぜ、このような差が生まれたのか、
社会情勢を考察してみるのも面白いと思います。

ここで紹介されている方法論は、
「SNSによる集客テクニック」のように
即効性のあるものではないかもしれません。
しかし、今の世の中、時代はすぐに移り変わり
今の最新はすぐに過去のものとなるでしょう。

そんな中でも、普遍的なものは何なのか。
それを探ることに本書の価値があると思いました。


個人的には、
広告の惨禍は例外なく、性急に行動したことに起因している
という部分が一番印象に残りました。

広告ではテストと効果測定が重要である。
それは、時代を超えて変わらない真実なのでしょう。


インターネットマーケティングなど
集客に携わる方にお勧めの一冊です。
歴史を加えることにより、自分の技術を
普遍化させることができるかもしれません。






ビジネスに例外はつきものだが、広告の世界では違う。
広告の惨禍は例外なく、性急に行動したことに起因している。


遊びに対する愛情と同じように、
仕事に対する愛情も育むことができる。


良い商品はそれ自体が
最良のセールスマンだというものだ。
広告であれ対面販売であれ、
サンプルを使わずにものを売ることは難しい。


広告代理店は常に多数派の感覚を持つ人材を求めている


この仕事を始めたばかりの者は、
言葉や表現力に頼ろうとすることが多い。
(中略)
こうした広告は必ず読み手の反発を招く。
わたしの知る真の広告人たちはみな庶民階級の出身であり、
自分の仲間である庶民を理解している。


チャンスを握っている人が選ぶのは倹約家と働き者だ。
そして、この選択がしばしば相手の人生を
大きく左右するのである。


真の経営者はその若者が仕事に
情熱を持っているかどうかを見る。


彼女たちは機械工じゃない。私は女性が読んで、
これはいいと思うような情報を伝えたいんです


ものを売ることはサンプルを提供し、実演を行うことだ。
実演は魅力的であればあるほどよい。


広告の世界で成功する者は、
上流階級の生まれでもなければ楚々した上品な人間でもない。
広告の世界で成功する者は、
何が庶民を熱狂させるのかを知っている。


わたしは多くの広告で、
同業者なら誰でも知っているような単純な事実、
あたりまえすぎて誰も伝えてこなかった事実を伝えた。
こうした事実は、それを最初に伝えた商品に
永続的で独占的な名声をもたらした。


企業は自社の商品にあまりにも近い場所にいるので、
自分たちの手法をありふれたものと考えている。
その手法が一般大衆をあっと言わせる可能性があること、
自分たちの目には平凡に映る事実が、
大きな差別化要因になる可能性がある
ということに気づいていない。


人生の転機になった行動はどれも、
当初は周囲の人々の嘲笑や反対にあった。
幸福、富、満足の面でわたしが手に入れた
大きな勝利はすべて、
四面楚歌に近い状況の中で勝ち取ったものだった。


世間の大半の人は成功していない。
目標を達成している人、心の底から
幸福や満足を感じている人に出会うことはまれだ。
ならば、自分の人生を左右する問題において、
多数派の言いなりになる必要はないのではないか。


広告における大きな過ちを二つ挙げるなら、
それは自慢と利己心である。


どんなサービスを提供するのかを語れば、
人々は耳を傾けるだろう。
しかし、自分の優位を見せつけようとすれば、
人々はそっぽを向く。永遠にだ。


ビジネスの目的は利益を得ることだ。
自分のアイディアを売り込むことではない。
利益が出ないことが明らかになれば、
アイディアは一瞬で存在価値を失う。


ときどき、本質とは関係ない部分にこだわる人がいる。
彼らは自分の偉業を自慢したいと考えている。
実際、彼らは何らかの面で大物であることが多い。
現実的なアイディアを放棄するなら、
彼らを喜ばせることは簡単だ。
彼らは広告を複雑で理解できないものだと考えている。
しかし、そのようなプロジェクトは遅かれ早かれ失敗する。
ビジネスの究極の目的は利益だ。
それ以外のものを追求するなら、
広告制作者はすぐに信用を失うだろう。


商品名には造語よりも人名を
付けた方がうまくいくことが多い。
単なる商標よりははるかにいい。
人名の付いた名前は、広告主を自分の製品に
誇りを持っている人間のように見せるからだ。
組織より個人を有名にする方がはるかに易しい。


正しいと思われる針路がわかった時は、
その針路を維持するべきだ。
同じくらい、あるいはもっと大きな成功を
おさめる方法がないとは言わない。
しかし、その可能性はきわめて小さい。


利益をあげる方法がわかったら、わたしはそれにこだわる。
小さなテストを繰り返し、もっと効果的な方法が
明らかになるまでは現在の方法を手放そうとは思わない。


華美な文章に効果があるとすれば、
広告主に不利益をもたらすことくらいだ。
このような文章は売ろうとする努力を示している。
そして売ろうとする努力は必ず買い手の抵抗を引き起こす。


個性的な文体は障害だ。
広告の主役である商品から注意をそらすものは何であれ、
広告の印象を弱めてしまう。


なぜ、それを強調しないのですか。
人々が求めているのは結果です。
結果をもたらす仕組みではありません。


消費者の需要が高まれば、何もしなくても
販売店と問屋や商品を仕入れる。
消費者だけでなく、販売店や問屋にも商品を
売ろうとした企業は多額のコストを背負うことになった。


「すべての本に金文字でお名前をお入れします」
という文章を挿入することだった。
ビジネスマンがそんな特典に
つられるはずがないと思うだろう。
ところが、このひとことによって
書籍セットの売り上げは飛躍的に伸びたのである。


たとえ10セントのメモ帳でも、自分のために特別に
用意されたものを実業家が見逃すことはない。
人間の性質とはそういうものである。


新しい習慣を生み出すためには、
まず大衆を啓蒙しなければならない。
これは通常、記者の仕事だ。
わたしの知る限り、広告主が単独で、かつ
利益を生む形で大衆の習慣を変えたことはない。
[※監修注 今日では、新しい習慣を導入することで、
新市場を形成することは、広告戦略のひとつとなっている]


テストは広告を成功させるための唯一の方法
と言っても過言ではない。


人々は災難を防ぐことにはほとんど関心がない。
人々が興味をもっているのはもっぱら成功であり、
幸福であり、美であり、活力なのだ。


デザートの広告で無料進呈を呼びかければ、
人の性質をうまく利用することができる。
しかし、衛生に関わる商品の広告で
「無料」という言葉を前面に持ってくると、
すべての主張が説得力を失ってしまう。


スペースを無駄にしないという原則は、
何百もの商品で何千回ものテストを繰り返した結果、
普遍性があることがわかっている。


わたしが何度も大成功をおさめることが
できたのはなぜか。
それは小さな間違いを何度もおかし、
その全てから学んだからだ。
同じ間違いを二度おかしたことはない。
その過程で、わたしは広告の重要な原則を
少しずつ発見していった。
これらの原則は今もその価値を失っていない。


キャンペーンの戦略や内容を考える時、
わたしは常にひとりの庶民を思い浮かべる。


現時点ではわたしの知る限り、
広告に対する反応を追跡した結果、
カラーのイラストに余分なコストをかける
価値があると証明されたことはない。
[監修注※現在では印刷技術や写真技術が向上しているので、
カラーのほうがより効果が高いと考える方が一般的である]


ものを買う理由は人それぞれだ。
効果があるとわかった主張はすべての広告に盛り込もう。
[監修注※当時の広告表現はたくさんの文字が詰め込まれており、
今の感覚では読む気が起きにくい印象を受ける]


黄ばんだ歯を見せ、虫歯や歯槽膿漏の話をして
好印象を残した歯磨きメーカーはない。
広告は常によい側面を描くことで成功をおさめてきた。


広告制作者が最も多くを学ぶことができるのは
訪問販売である。
すぐれた広告製作者の多くは、
自分の時間の半分を個別訪問に費やしている。


わたしはそれまでの経験を通して、
広告に対する反応を追跡することの重要性を
持ち合わせていた。






engineer_takafumi at 22:27│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ クリエイティブ

コメントする

名前
 
  絵文字