2018年11月17日

ある広告人の告白

本日はデイヴィッド・オグルヴィの
ある広告人の告白
です。


本書は『現代広告の父』と呼ばれる
デイヴィッド・オグルヴィの代表作です。
世界14ヶ国で翻訳され、100万部を超えたと
いわれる世界的な名著になります。

本書では、最初に自らの生い立ちを語り、
広告業界の話に移ります。

純粋なクリエイティブの話でなく、
広告会社の経営者としての視点も多く、
経営者にとっても学ぶことが多い本でしょう。

広告会社という、ある意味特殊な会社を
どのように経営していくべきかという話は
純粋に好奇心が生まれます。

もちろん広告の考え方についての
話もたくさんあります。
本質的な話ですので、今でも
それほど色あせるものではないと思います。

例えば、広告で一番大切なのは『テスト』だ。
消費者はあなたの奥さんなのだ。
商品について嘘を言えば必ず見抜かれる。
などという心構えからはじまります。

そして、ヘッドラインの書き方、
売れる言葉の特徴、
イラストより写真である、
売れる写真の特長、など
今でも使えそうなテクニックも満載です。
まさに、広告の本質ではないでしょうか。


個人的には、
ヘッドラインに否定形を使ってはいけない
という部分が特に印象的でした。

今後はヘッドラインは肯定系の
強い言葉を使うようにしようと思いました。


クリエイティブに関わる人はもちろん、
広告会社のクライアントである企業の
経営者にお勧めの一冊です。
広告業界とはどんなものなのか、
広告会社とはどのように付き合うべきなのかを
学ぶことができるでしょう。



頭がいいだけでは駄目だ。
一流の頭脳に加えて、
知的に誠実であることが不可欠なのだ。


私は心から楽しんで働く人を尊敬する。
もしこの仕事が楽しくないのなら、
頼むから他の仕事を探してもらいたい。


最高の仕事を追及することは、
会社を大きくしようとするのに比べれば確かに儲からないが、
得られる満足感は比べものにならない。


およそクリエイティブな組織というものには
圧倒的な指導者が必要で、
それなしでは絶対に大きな仕事はできない
ということもわかった。


優れたクリエイターに温厚で
人あたりのよい人間は少ない。
たいていは気難しいエゴイスト、
今の企業社会では敬遠されるような人間だ。


広告会社にとって、何もしなくても儲かっているときに
ことさら新しい取引先を開拓するのは至難の技だ。
しかし不況で景気が動揺すると、
時代遅れの化石はボロを出し、活力にあふれた
新しい広告会社に飛躍のチャンスが訪れる。


心の中では軽蔑している製品を広告するという
数少ない例もあるが、そういうときは必ず失敗している。


長期間売り上げが落ち込んでいる商品には
近づかないことにしている。
そういう場合には必ずと言っていいほど、
商品自体に本質的な欠点があるか、
もしくは経営陣が無能なのだ。


自社で最高の頭脳を、新しいクライアントを
追いかけるのに差し向けるのではなく、
今あるクライアントのサービスに充てることだ。


私は(アカウント・エグゼクティブ。取引先担当責任者)が
新しいクライアントを探すのを禁じている。
競馬にはまるのと同じで、ワイロに屈することになるからだ。
今あるクライアントをないがしろにするようになり、
かくて急速に取引先の顔ぶれが変わりだすのだ。


クライアントとのコンタクトはAEだけに
限るべきだという説に、私は与しない。
調査、メディア、コピー、アート、TV番組、販売促進等々を
含めたサービス部門全体がクライアントを知ることによって
よい結果が生まれるのだ。


間違いをしでかした場合には、まずそれを認めること、
それもクライアントから非難される前に認めることが大事だ。


我が社はクライアントから切られた三倍、
自らクライアントの元を去っている。


私は自社のスタッフが暴君にいじめられるのを許さないし、
基本的に妥当だと認めないかぎり、
クライアント主導でのキャンペーンは行わない。
そんなことをすれば、広告会社のもっとも貴重な財産である
クリエイティビティに対する評判を危うくする。


製品に対する信頼をなくしたときも、
広告から手を引くことにしている。
自分の女房に買わせたくないような商品を
消費者に買わせようと仕向けるとは、
広告人として許すべからざる不誠実ではないか。


デトロイトは小さな町です。
もし貴殿が我が社においでになれば、
必ず誰かに見られずにはすまないでしょう。
現在の我が社の広告会社もそれを聞きつけて
不安に思うことでしょう。
彼らを不安がらせるのは私の本意ではないのです。


我が社を使いたいと言ってくれた企業に、
今の広告会社をそのまま使ったほうがいいと
忠告したことが何度もある。


こうした入札で勝つ広告会社は、
社内最高のスタッフを新規広告の獲得に費やしており、
既存のクライアントには二級クラスのスタッフを充てる。


商品開発の技術面に費やすコストの半分でも、
売り出しのためのクリエイティブな業務にまわしてくれたら、
せっかくの新製品が流産するようなことは
ずっと少なくなるだろう。


クライアントと広告会社の関係がもっともうまくいくのは、
広告会社がクライアントを説得して
広告にできるだけ金を使わせ、
それによって報酬を確保しようとしなくていい場合のようだ。


「オグルヴィ・ベンソン&メイザーはフィー(広告主に直接一定額を請求する方式)で広告を請け負う」という発表は、
広告業界以外の心ある多くの人々に喝采をもって迎えられた。


広告用語の中で最も重要な言葉は「テスト」だ。


広告費を確実に浪費するには、
ちゃんとした仕事が不可能なくらい
広告費を出し惜しみすることだ。
ヨーロッパに行こうとして、全工程の四分の三だけ
切符を買うのと同じだ。
金は使うが目的地には到着しない。


重要なのは、「どう」言うかより「何を」言うかだ


私が書いたロールスロイスの広告では、
真実以外のことは一切言っていない。
形容詞もなければ、「優雅な人生」などという
台詞のひとつもない。


消費者はバカではない。
消費者はあなたの奥さんなのだ。
つまらないスローガンと気の抜けた形容詞の
二つも三つも与えれば奥さんが何か買うと思うなら、
彼女の知性に対する冒涜だ。


もっとも人にものを買わせる力がある広告は、
たった一人の人間が作ったものだ。


商品について嘘をつけば、必ず見破られる。
政府に見破られれば捕まるし、消費者に見破られれば、
その商品を二度と買わないという報復を受ける。


バーゲン品のイメージが定着したブランドの
化粧直しは容易なことではない。
新しいブランドを最初から立ち上げた方が
いい場合が多い。


ヘッドラインのない広告を書くなどは、
すべての罪の中でも一番重い罪だ。


ヘッドラインにもっともよく使われる言葉は
「無料」と「新」の二つだ。


他に、魔法のように効くのはこんな言葉だ。
「〜になる方法」「突然」「今」「発表」「紹介」
「これこそ」「とれたて」「大きな進歩」「向上」
「驚くべき」「センセーショナル」「輝かしい」「革命的」
「衝撃の」「軌跡」「マジック」「提供」「あっというま」
「簡単」「求む」「挑戦」「〜へのアドバイス」
「〜の真実」「〜に比べて」「バーゲン」「急いで」
「ラストチャンス」
使い古された言葉だとおもってバカにすることなかれ。
手あかのついた言いまわしかもしれないが、効果は抜群だ。


リサーチによれば、ヘッドラインに否定形を使うのは危険だ。
たとえば、「この塩にはヒ素は含まれていません」
と書いたとすれば、ほとんどの読者は否定を見落として、
「この塩にはヒ素が含まれています」
という印象を受けてしまう。


シロウトの間では、一般的に
長いコピーは読まれないと考えられている。
これほど真実から遠いこともない。


コピーが50語を超えると読んでもらえる率が
急速に落ちるということが確かめられているが、
50語から500語まではほとんど変わらない。


事実を述べれば述べるほど売り上げは伸びる。
広告により多くの適切な商品情報が含まれていれば、
その広告の成功のチャンスも必ず高まる。


華麗な文章は絶対に損である。ユニークな文語体も同じだ。
こういう書き方をすると、
肝心の主題に注目されなくなってしまう。


企業が大げさに誠実などと言い立てるとき、
あるいは女が貞節を吹聴するときには、
企業からは逃げろ、女とは親交を深めろ


効果的なのは、読者の好奇心をかき立てるような写真だ。
それを見て「これはどうなっているんだ?」と思い、
それを見つけるためコピーを読む――。
こういうしかけにしなければならない。


リサーチが繰り返されるたびに、
「イラスト」よりも「写真」の方が
ずっと商品が売れることが確認されてきた。


KLMオランダ航空の広告に、飛行機の写真と
行き先の写真のどちらを使うべきかという論争に
決着をつけるためにこのテクニックを使った。
行き先の写真の方が飛行機の写真の二倍も
クーポンが送られてくる率がよかった。


雑誌の編集者たちは、記事自体よりも
写真下のキャプションの方がより多くの人に
読まれることに気づいた。同じことが広告にも言える。


優れた医薬品広告にはニュース性がある。
(中略)
臭い息を「ハリトーシス(口臭)」と
ネーミングするように、これまでにもあった
不具合に新鮮な名前がついたということかもしれない。


品質の劣るブランドを消滅させるのに
一番手っ取り早い方法は、積極的に宣伝することだ。
その質の悪さが、それだけ早く人々に知れわたる





engineer_takafumi at 01:36│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ クリエイティブ

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