2019年08月03日

使える脳の鍛え方

本日はピーター・ブラウン氏らによる
使える脳の鍛え方
です。


例えば、資格試験を受けようと思ったとき、
どのように勉強するでしょうか?

テキストを買って、
マーカーを引きながら、何回も読み込む。
用語をカードなどに書いて、くり返して覚える。
そして、ある程度頭にはいったと思ったら、
分野ごとに問題を解いていく。

おそらく、高校生の頃とそんなに変わらない
方法で勉強を進めるでしょうね。

しかし、この方法は効果的ではないのです。
本書では科学的に検証された勉強方法を説きます。

「東大に入った勉強法」という本は
世の中にたくさんあります。

しかし、これはたまたま成功した人の
方法を集めたものにすぎません。

一方、本書では多数の人に対して実験を行って、
検証された方法が紹介されています。

そして、その中には今までの常識を
覆すものも含んでいます。

学習とは後天的な技術であり、
もっとも効率のよい学習法は
だいたい直感に反しているのです。


個人的には、
「人の神経回路は身体的な発達ほど早く進まない代わりに、
40代、50代、60代になっても変化と成長を続ける」
という部分が特に印象的でした。

これを信じて、いつまでも学び続ける
自分でありたいものだと思います。


大学生や資格試験の勉強を始める人など、
これから試験を受ける人にお勧めの一冊です。
同じ時間で、学習成果を飛躍的に増やすことができるでしょう。




学習とは後天的な技術であり、
もっとも効率のよい学習法はだいたい直感に反する。


困難であるほど学習効果は高まり、長持ちする。


ただくり返すだけでは学習効果は高まらなかった。


最初に読んでから充分時間をあけて
再読することは有意義だが、
短期間に何度も再読することは時間がかかるわりに
大した効果も得られず、もっと即効性のある手法を
犠牲にしてまでやることではない。


文章に慣れてすらすら読めるようになることで、
習得したという錯覚に陥るのだ。


知らないということがわかっていないこともあるのだ


学習効果の改善でまっさきに取り組むべき課題は、
忘れるプロセスを止める方法を見つけることだ。


もとの学習教材を見直すより、
過去に学んだことを記憶から呼び出す
想起練習をするほうが、
はるかに記憶が定着しやすいことがわかっている。


時間をあけて想起練習すると、
テストとテストのあいだにいくらか忘れるせいで、
すぐにテストをしたときより長期の記憶は強化される。


たとえば奴隷制の歴史に関する文章を読んだあとで、
それまで知らなかった奴隷制に関する事実を10個書き出す。
想起練習をするのに最新の電子機器は必要ないのだ。


テストだけの場合よりフィードバックを与えるほうが
記憶を定着させやすい。さらに興味深いことに、
すぐにフィードバックを与えるより、
少し遅らせてから与えるほうが記憶が長続きする


思い出そうと努力することで学習と記憶が強化される。


練習は学んで記憶するために欠かせないけれども、
むしろ間隔をあけておこない、
あいだにほかの練習を挟んだほうがずっと効果的だ。


研究によって、集中練習より相互練習のほうが
習熟と長期記憶の維持に役立つことがわかっている。


あまり努力を要しない集中練習で学んだことは、
さまざまなことに対応できる
柔軟な部分に組み込まれるのだ。


集中練習や同種類の問題のくり返しばかりしていると、
そもそも種類を見分けるという
重要なプロセスの練習ができない。


相互練習では、ひとつのテーマを完了させてから
次のテーマに移るのではない。
それぞれの練習が終わるまえに次に移るのだ。


相互練習と同じく多様練習でも、
より大きな枠組みで理解し、
状況の変化を見きわめて対応する能力が磨かれる。


保持している情報を適切なタイミングと
場所で思い出す効果的な想起の手がかりを作ることは、
学習時に見落とされがちだが、
じつは記憶に知識を蓄えるより大切なことだ。


ふだんの暮らしのなかでは、
新しい知識の手がかりをつくるために、
競合する古い知識の手がかりを
忘れなければならないことがよくある。


人生でしっかり学んだことの長期記憶は、
新しいことを学んでもほとんど失われないが、
使わなかったり、手がかりの再編があったとすると、
思い出しづらくなるという意味で忘れてしまう。


想起(実質的な「再学習」)をするのに
努力が必要であるほど、しっかり学べる。
言い換えれば、課題の内容を忘れるほど、
長期記憶を形成する効果的な再学習ができるのだ。


むずかしくやりづらいと感じる相互練習は、
種類によるちがいを見抜く力もつくうえ、
一種類の共通点を学ぶことの妨げにもならない。


解答を暗記するより、問題を解こうとするほうがいい。
あきらめて試さないより、解いてみてまちがうほうがいいのだ。


まるごと書き写した範囲より、
自分のことばで書き直した範囲について、
明らかに成績が高くなり(五段階評価でおよそ0.5)、
たんに概念を知るだけでは学習効果が得られない


短期記憶から想起するのは学習法として効果がなく、
新しい知識を身につけるためには、
間違えることが不可欠なのがわかっている。


われわれが判断を誤る理由のひとつは、多くの場合、
いつ勘ちがいしたか気づかないことにある。


能力がない者は自分の力を過大評価し、
変わる必要はないと考えがちだ。


われわれは自分の感情をもっともよく表している
物語に強く引かれる。


われわれの直感的な判断や行動において、
記憶の物語が中心的な役割を果たすのだ。


自分がすでに習熟した知識や作業を
ほかの人が新たに学ぶ際に、
かかる時間を少なく見積もってしまうのだ。


聞き憶えのある説明を聞くと「知っている気がする」ので、
真実だと錯覚する。


むずかしい概念をとくにわかりやすく説明されると、
概念自体がじつは単純で、
自分も最初から知っていたと思いこむことがある。


能力不足の人に改善の技術が欠けているのは、
有能と無能の区別がつかないからだ。


二、三回正しくできただけで課題をテスト範囲から
はずしてはならない。


何を知っていて、何を知らないかという感覚を検証するのに
もっとも有効なフィードバックは、現場での「失敗」だ。
ただし、それを乗り越え、教訓を学ぶだけの
感受性があることが条件になる。


多大な費用と時間をかけて学生の好む学習法を見つけ、
それに合った指導法を再構築することは正当化できない


脳に備わった知的な潜在能力は生まれたときから
多かれ少なかれ決まっていると教えられてきたが、
いまやそうではないのがわかっている。


人の神経回路は身体的な発達ほど早く進まない代わりに、
40代、50代、60代になっても変化と成長を続ける。


学習と成長ではなく、成果に執着すると、
人はリスクを避けるようになる。







engineer_takafumi at 20:09│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ 仕事術、思考法・ツール

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