2020年03月17日

確定申告 得なのはどっち?

本日は小林義崇 氏の
確定申告 得なのはどっち?
です。


著者の小林氏は、元国税庁の職員で、
現在ライターをされています。

その著者が確定申告をする上での
ポイントをまとめたのがこの一冊です。

国税で働いたキャリアがある方なので、
文章にも信頼感があります。

税金関係はケースバイケースの場合も多いですが、
ちゃんと区切って正確に伝えようとしている
文章に好感が持てました。

個別に複雑なケースになりそうな場合でも、
本書を読んで、必要な情報にたどり着くことが
できると思われます。


その中でも、〇〇と××のどちらが得?
という切り口で書かれているので、
類書より理解しやすいと思います。


個人的には、
青色申告のメリットのところが特に参考になりました。
自分が申告方法を考える際に役立ちそうです。


独立をして個人事業主になる人にお勧めの一冊です。
税金関係のポイントがコンパクトに学べるでしょう。



節税をフルに行うためには確定申告は必須事項なのですが、
人によっては確定申告をせずに済ませることができます。
これは裏を返すと、
「節税のチャンスをみすみす逃している」
ということです。


不用品はいくら売っても非課税です。
確定申告をする必要もまったくありません。


青色申告のおもなメリット3点を紹介しましょう。
(中略)
まずは、「青色申告特別控除」です。
(中略)
青色申告の2つ目のメリットは「青色事業専従者給与」です。
(中略)
3つ目は、「損失の繰り越し・繰戻し」です。


開業届を出すことによって、
はじめて個人がビジネスで得た所得が
「事業所得」として取り扱われるようになり、
青色申告の恩恵を受けることができるからです。


地方税のなかには、「個人事業税」というものがあり、
事業所得が290万円をこえると、
個人事業税の対象となってしまいます。


もし、給与所得1000万円、事業所得の赤字が1000万円であれば、
損益通算ができますから、税金はかかりません。
このように、赤字が出た場合に、事業所得なのか、
雑所得なのかは大きな問題になります。


不動産所得よりも事業所得のほうが、
早い段階で青色申告の特典を最大限享受することができます。


フリーランスの人で、消費税の課税事業者になりそうな場合は、
売上が1000万円を超えないように仕事を絞ってもいいかもしれません。


株式の場合は申告分離課税のため、
いくら給与をもらっている人でも税率には影響しません。


ビットコインの場合は、株式のような
損失の繰越しや非課税制度は存在しません。
否応なしに総合課税所得として、所得税・住民税合わせて
最高55%もの税金を払わなくてはいけないということです。


株式の損失を繰り越す場合は、その損失を使い終えるまで、
最低3年間は確定申告をする。


同居の家族に報酬を支払う場合、専門用語を使えば
「事業主と生計を一にする配偶者やその他の親族が対価の支払いを受ける」
ということになると、基本的には必要経費に算入できません。


銀行から借りた場合は必要経費にできる借入金の利息が、
生計を一にする親族から借りると必要経費にならない


たとえば事業資金を親から借りたとします。
このときに利息のやりとりがなかったとしたら、
「それは贈与ではないですか?」と
税務署から指摘を受ける可能性があるのです。


家賃や固定資産税であれば、
自宅の図面をオフィス部分と共用部分に分け、
その床面積の割合で計算するという方法が考えられます。
電話料金であれば、仕事で使った時間を、
1分あたりの通話料と掛け合わせるといった方法になるでしょう。


店舗を建てはじめたときを開業日とするのではなく、
じっさいにお店をオープンして売上が立った日を開業日にすれば、
オープンの準備費用を開業費とすることができます。


青色申告にはさまざまな特典があったことを思い出して下さい。
この特典のなかに、「少額減価償却資産の特例」
というものがあります。
これは、「1個または1組当たり30万円未満の少額減価償却資産については、購入開始した年分に一括で経費計上することができる」
というものです。


法人税のルールでは、社員の残業日の食費を
負担して損金にできるのですが、
個人事業の場合は同じように食費を負担したとしても
必要経費になりません。


相続税なら、生命保険金が支払われる場合はもちろん、
「生命保険を受け取る権利」を引き継いだ場合も、
課税の対象になります。


医療費控除というと、健康のためにかかったお金であれば
何でも認められると思われがちですが、
予防や付添、美容目的といった、
治療に直接当てはまらないものは
対象にならないということを覚えておきましょう。


セルフメディケーション税制は、病院に行かず、
市販薬でみずから治療をした場合に使える医療費控除で、
年間1万2000円を超える支払いがあれば
利用することができます。


年間150万円以内の給与であれば、
配偶者控除・配偶者特別控除には影響がありません。


妻の収入が増え、130万円以上になると
夫の健康保険上の不要から外れてしまいますので、
保険証も没収されます。


故郷に寄付しても、母校に寄付しても、
絶税効果としては同じです。
上限額に収めれば実質的な自己負担額が2000円に収まります。


配当収入がある人は、毎年「確定申告をする・しない」
「総合課税を選ぶ・分離課税を選ぶ」という選択を、
所得税と住民税のそれぞれについて
おこなわなくてはならないということです。


配当所得の住民税申告をすると、
国民健康保険料が高くなったり、
幼稚園の助成金などに影響したりする可能性があるので、
申告してもまったくいいことはありません。


国民年金基金などの公的制度に対する節税効果は、
ある意味で個人事業主の特権といえるものです。
これを使わないのはもったいないです。


完璧な内容の確定申告書をつくるよりも、
期限を守るほうを優先させてください。
なぜならペナルティの重さに違いがあるからです。






engineer_takafumi at 19:44│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ 経済・会計・お金

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