2020年02月29日

ベストセラーの値段 お金を払って出版する経営者たち

本日は水野 俊哉 氏の
ベストセラーの値段 お金を払って出版する経営者たち
です。


本書の著者は30冊近い著作を持ちながら、
経営コンサルタントや起業家として活躍、
その一方、出版セミナーを主宰したり、
自ら出版社を立ち上げるなど、
出版マーケティングの専門家として、
出版プロデュースの事業もされています。


本書のテーマは「出版マーケティング」です。

著者のクライアントさんは、出版して、
自ら数千万円というお金を使っています。

それに対して印税は数百万程度ですから、
明らかに赤字となるのです。

なぜそんなことをするのか?
そのカラクリを暴くのがこの一冊です。


例えば、「売れている雰囲気を出すため」
書店を回って自著を買い取るなど、
少しグレーに感じる方法も取られています。

しかし、なぜ彼らがそこまでするのか、
ということを考えると、出版の持つ価値や、
その可能性を認識することができます。

本書では、マーケティングという観点で
出版業界の裏側をあばきます。

読む人は限られるテーマかもしれませんが、
コンサルタントやWebビジネス、セミナー講師などを
されている人であれば、
出版を使ったマーケティングは効果的です。

勉強してみる価値は十分にあるでしょう。

個人的には、
クライアントさんは年商が3000万円くらいから
出版マーケティングを視野にいれる人が出てくる
というところが特に印象的でした。

この部分に限らず、具体的な数字が出てくるので、
著者の経験の深さを感じさせられました。


コンサルタントやセミナー講師をされている方で
本を出そうという人は必読の一冊です。
本をどのように自分のビジネスに繋げるか
イメージすることができるようになるでしょう。




ベストセラーはお金をかければ作ることができる


出版をうまく使うことで、
出版とは関係のないビジネスを伸ばすことができる


有用なノウハウを文章にするだけなら
ブログでもSNSでも発信することができます。
(中略)
しかし、本を出版するというのは、
それらとはまた違った価値を持ちます。
これは、本を書くと言う、
はるか昔から受け継がれてきた文化の力です。


「いくら使えばベストセラーができるのか?」
と考えると、ズバリ3000万円あれば大成功、
すなわち3万部以上の売上が見込める、
というのが2019年現在の
出版業界における相場観ではないかと思います。


そこまでかけなくても1000万円使えば
1万部の成功ラインが見えてきます。


普通に考えれば初版3000部のところを、
自己買取をしてくれるから5000部に、
といったパターンもあり得ます。


自分で自分の本を買うことによって、
書店から「この本は売れ行きが良い」と
認識されます。


ランキング操作、などと言うと
不正を働いているような印象を受けますが、
たいていの本が、人々にそこにあることを
認知すらすてもらえないまま売れ残ることを考えれば、
まず「知ってもらう」ための努力は
必要不可欠なことなのです。


自己買取については当然、
著者が出版社にお金を払うわけですが、
広告や書店買取に必要な経費も、
著者が払うのが出版業界では一般的です。


多くの著者にとっては出版は
「印税を稼ぐ手段」でなく「投資」であるからです。


これはただCMを流し見している視聴者に比べて、
圧倒的に質の高い潜在顧客であると言えるでしょう。


経営者たちが自社のマーケティングのために
出版を使うと同時に、出版そのものも
マーケティング力で勝負しなければならない時代である、
ということがインフルエンサーたちの活躍からも
見て取れます。


内容が良いのは大前提で、
「その良さをどうやって伝えれば良いのか?」
ということなのです。


本を出している人=その道の専門家である、
これはほとんどの人が幼少期から
自然と刷り込まれている価値観と言って良いでしょう。


書籍というのは通常の広告やCMと比べて
圧倒的に情報量が多い媒体です。


書籍を読んだ読者から
「ぜひあなたの下で働かせてください」
と連絡をもらうことがあるのです。
実際に私も、そうやって連絡をくれた方を
何人か雇っています。


その本を読んで応募してきた人というのは、
あなたのビジネスモデル、あなたの発したメッセージ、
あなたの信念に対して、共感し、魅力を感じ、
「この人の下で働きたい!」と
思った人ということになります。


これまで私がコンサルティングをしてきた
クライアントを見た限りでは、
年商が3000万円くらいから出版マーケティングを
視野にいれる人が出てくるような印象です。


あらゆるビジネスにおいて「著書がある」
というブランド価値はプラスになりえますが、
それが特に大きいのは不動産、コンサルタント、
セミナーや講演活動、ウェブビジネス、クリニックの
5種類だと思っています。


コンサルタントというのは「自分の考えを売る職業」であり
「信用がなければ成立しない職業」であるという点が、
出版マーケティングと相性が良いのです。


実際に本を読んで、その内容に感銘を受けた読者が
あなたに抱く信用はそんなものではありません。


本を読んで「この人の考え方に感銘を受けた!」
となれば実際に会ってさらに深い話を聴きたい
と思うのは自然な流れです。


「ウェブビジネス=怪しい」
というデジタルアレルギーに対して、
書籍をいうアナログなコンテンツを投下することで
対処できるといのはおもしろい現象です。


医療に関する知識や情報というのは専門性が高く、
それでいてほとんどの人が興味のあるものです。
クリニックにとっての
ブランディング効果が高いのはもちろん、
書籍としての売上も期待できるジャンルで、
本と出版との親和性が非常に高くなりやすい
というのも、この業種における出版マーケティングが
うまくいきやすい要因となっています。


山田真哉さんは
「あの本は1000万円かけてベストセラーにした」
という発言をしたと言われていますが、
その1000万円のほとんどが新聞広告
ではないかと思います。


本質的なことを考えれば、インターネットの専門家であれば
インターネットだけをやっているのが普通で、
アナログな媒体である書籍など出す必要はないわけです。
けれど、書籍というはるか昔からある
アナログなコンテンツだからこそ、
「本を出すのは立派な人」という
イメージができあがっていて、人はその著者を信用します。
結果として、新しいビジネス、デジタルなビジネスを
している人ほど、本を出すことの恩恵が大きい
というケースが往々にして起こるのが面白いところです。


ビジネス書の初版部数はたいていが
3000部〜5000部といったところです。
これの2〜3割と考えて1000部の自己買取が
できるのであれば、出版社側も
かなりあなたの本を出しやすいと言えるでしょう。


実際にどのように制作を進めていくかは
著者の意向にもよりますが、
出来る限りリソースを割かずに完成させたい
ということであれば、
本のコンセプトを決めるための数回の打ち合わせと、
実際の内容を聞くための数回の取材をして、
あとはライターや編集者に
任せてしまうということも可能です。


「自分は文章なんて書けないから出版できるわけがない」
と思う必要がまったくないということは、
ぜひ覚えておいてください。


そもそもアマゾン総合1位という肩書に
どれほどの価値があるか、というところからして疑問なわけで、
それよりも書店側の評価を上げて
しっかりと返本されずに長い間平積みしてもらう
ことのほうが、重要であると感じています。


ある程度マーケティングの成果が出てきたり、
書籍の売上も伸びてくるのが3冊目くらい、
という傾向があります。


出版マーケティングが最大の効果を発揮するのは
2冊、3冊と出版を続けた時です。
すなわち、本業を回しながら、コンスタントに本を
作り続ける体制を築き上げることがキモなのです。
それを経営者自身、もしくは社内のリソースを
使ってできるでしょうか?


出版業界というのは何の仕掛けも打たなければ
オワコンであり、本は売れない時代です。
お金をかけることでベストセラーにすることができる
という最大の長所を放棄してしまっては、
ただの思い手作りになってしまいます。






engineer_takafumi at 00:20│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ マーケティング・営業

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