2020年03月05日

つけびの村  噂が5人を殺したのか?

本日は 高橋 ユキ 氏の
つけびの村  噂が5人を殺したのか?
です。


本書はフリーライターとして、
殺人等の刑事事件を中心に裁判傍聴記録を
雑誌、書籍等に発表している
著者によるノンフィクションです。


2013年7月に山口県の限界集落で起こった
5人の殺人、2件の放火事件。
犯人は間もなく逮捕されますが、
妄想の傾向が見られ、
事件の真相はよくわからないまま
裁判で死刑判決が出されます。


この犯人は幼少時代をこの集落で過ごし、
その後、首都圏で働きます。
そして、40歳を超えてから、
集落にUターンしてきています。

ですから、ネット上では、
犯人が村八分にされたという噂が出回ります。

また、犯人の家に犯行を示唆するような
張り紙がしてあることから、
それも人々の興味を引きました。


著者は現地で取材を重ね、
そんな事件の真相に迫ります。

田舎の集落ならではの空気が
文章から伝わってくる本でした。


また、本書は原稿を書いたものの、
当初は出版社に認められませんでした。

そこで、著者が「note」に記事を投稿して、
そこから火がつき、出版に至りました。

そのいきさつについても書かれており、
興味深く感じました。


個人的には、
「ことの真相」というところが
印象的でした。

小説だったらこうはなりませんが、
ノンフィクションだとこんなことが
あり得るのですね。


田舎の特異さに興味がある方には
おすすめの一冊です。
田舎の不気味な空気を
味わうことができるでしょう。





この村では
誰もが、誰かの
秘密を知っている。


うわさ話ばっかし、うわさ話ばっかし。
田舎には娯楽はないんだ、田舎には娯楽はないんだ。
ただ悪口しかない。


鑑定人により結果が出る精神鑑定書をもとに、
それぞれに報じられ方の異なった
事件を扱うことで、
責任能力の判断はブラックボックス化している。


私も当初は、そのスタンダードなスタイルに
はめ込むようにと取材を重ねていた。
そんな中で、ワタル本人が事件について
正直に語ることのできない状況にあることを知り――
取材して記事を書き、それを売ることで
生活している身としては――
ひどくがっかりしたものの、同時にこれまでとは違う、
もう一つの切り口に気が付いたのだった。
まるで金峰地区を乱舞する大量の羽虫のように、
この事件の周りには、うわさ話が常に
まとわりついていた。


いざ村に足を踏み入れてみれば、
そこにはネットやテレビ、雑誌といった
メディアに全く流れていないうわさが、
ひっそりと流れ続けていた。






engineer_takafumi at 00:38│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ その他の本

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