2020年06月30日

ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか

本日は酒井大輔 氏の
ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか
です。


本書は新業態「ワークマンプラス」を出店し、
コロナ下でも、猛烈な伸びを記録している
「ワークマン」の成長の理由について、
第三者視点で書いた一冊です。

元々が職人向けのお店ですので、
飾りとかそんなものよりも、
高品質、低価格が求められるわけです。

だから、店のシステムも、
徹底的にそれに特化されています。

商品の品質が高いため、粗利率が低いですが、
販管費や家賃を抑え、
しっかりと収益を確保します。

また、「全社員がエクセルの達人」と
言えるほどデータ解析に注力していること、
インフルエンサーとのコラボレーションや
「西宮戦争」の広報戦略も面白かったです。


そんなワークマンが今の時代になって、
一般消費者の志向にピタリと
マッチしたということでしょう。

本書は社長ではなく、
キーマンである土屋氏を
中心においた構成となっており、
本としての品質の高さにも
驚かされた一冊でした。


個人的には、システムを作る時に
100個作って80個使わないよりは、
10個つくって10個足したほうが良い
というところが特に印象的でした。

システムに魂を入れるのは現場の活用、
ということが徹底されているのです。


小売り、流通関連の仕事をされている方は
必読の一冊だと思います。
基本に忠実なワークマンの経営から
学ぶことは多いはずです。



あえてワークマンという名前を冠することで、
これまでとの"イメージのギャップ"を楽しんでもらえる


まさかワークマンにそんなブランド力があるとは。
目からうろこだった。社員の士気が上がった。
プロ品質、プロの誇り、作業服の動作性、
職人がこだわる機能、これが受けるんだと。
私は、ワークマンのブランド価値を見誤っていた。
100%過小評価して、ワークマンという名前を
消そうとさえ思った


業績がどうかなんて誰も見ていない。
直営店の売り上げに依存するようじゃ、
世も末なんで。
うちが業績の代わりに見ているのは、
社員の能力が伸びたかどうか


ワークマンでは、なんと経営幹部にまで毎年、
データ分析講習を課している。
加齢とともに、学んだことを
忘れていくからだという。


エクセルがいいのは、
自分で考えるようになるからだ


AIにはプロセスがなかった。
思考のプロセスがブラックボックスになって見えない。


今まではコミュニケーションが
得意な人が部長になっていた。
店長に顔が広いとか融通が利くとか。今は違う。
最適在庫をどう実現するかなど、
データを分析できる人が部長になる


このシステムは、
市販のパッケージソフトをベースにしているが、
需要予測のアルゴリズムだけは
エクセルを使って内製化した。


最初から100個でつくっちゃうと
使わない機能が80個もある。
メーカーさんは、会社の業務が分かっていないので、
結構でたらめにつくる。
追加開発にはお金がかかるが、
100個作って80個使わないよりは、
10個つくって10個足したほうが安いと割り切っている。


善意型SCMという仕組みだった。
ワークマンは国内31の主要メーカーとの間で、
全量買い取りを約束している。


我々は『安いから売れている』というよりも、
『売れているものが安い』という発想に立っている。


デカトロンが主で、
ワークマンが従という並びではあったが、
1位は1位で変わりない。
土屋氏は、この一件から「ライバルつくる」
という作戦が極めて有効だと学んだ。


過激だとちょっと危ない感じがするが、
『過酷ファッションショー』なら、
すごく興味を引くフレーズ。


ワークマンプラスは見せ方を変えたから売れた。
ただ、見せ方を変えたがゆえに、
ワークマンとワークマンプラスが
同じ商品を扱っており、
ワークマンでもワークマンプラスの商品が
買えることが伝わっていない。
(中略)
棚割りを全く変えずに、時間帯によって看板を変える。
そうすれば、誰の目から見ても、
ワークマンとワークマンプラスの商品は
同じであることが伝わる。


職人にも一般客にも自分の店だと思ってもらえる、
共存共栄の店づくりを目指す


ワークマンプラスが当たったからと言って、
決してアパレル企業にはならず、
作業服専門店としての品ぞろえを
おろそかにしなかったことが、
この非常時に生きたのだ。


決算時に残量を減らすには、
経理部が頑張るのではなく、
決算発表を1週間遅らせればいい。
(中略)
ネットからの注文が殺到し、
出荷が追いつかなくなったときには、
販売サイトを一時的に閉めたことすらある。


「原価率」は驚異の64%(目標は65%)。
つまり、商品が売れても粗利は36%にとどまる。
ここからフランチャイズ加盟店に利益を分配しても、
なお10%を超える営業利益を出している。
ローコスト経営が徹底されているからだ。


ワークマンには余計な仕事は
やらないという文化がある。
「仕事が終わったら帰って休んだほうがいい」
という考え方のため、
歓送迎会といった社内行事や
日本フランチャイズチェーン協会といった
業界団体への加入、仕入先への接待はしない。






engineer_takafumi at 22:30│Comments(0) ★一般書の書評 | ⇒ 経営

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